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燦キャピタルマネージメントは底打ちして戻り歩調、18年3月期黒字化予想
- 2017/6/5 08:13
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
燦キャピタルマネージメント<2134>(JQ)は事業再構築し、インバウンド向け宿泊関連事業、資産運用向け販売用不動産事業、クリーンエネルギー関連事業を展開している。18年3月期は黒字化予想である。特にバイオマス発電関連への事業展開を加速して収益改善を目指している。株価は底打ちして戻り歩調だ。
■事業再構築して収益改善・安定化目指す
投資事業、アセットマネージメント事業、その他の事業を展開してきたが、17年3月期から、宿坊や古民家など観光客や留学生を対象としたインバウンド向け宿泊関連事業、資産運用向け販売用不動産事業、および国内外でバイオマス発電用原料(木質系ペレット)を製造販売するクリーンエネルギー関連事業を新たな軸として、収益改善・安定化を目指している。
なお過去継続して営業損失、経常損失、当期純損失を計上しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。
■インバウンド向け宿泊関連事業は高利回り目指す
インバウンド向け宿泊関連事業は、不動産ファンドのSPV(特別目的事業体)を設立・出資し、観光客や留学生を対象とした宿坊や古民家など大手と競合しない小型案件で、稼働率の高い宿泊施設に投資して高利回りを目指す。京都府および和歌山県での案件を関係企業と協議中としている。
17年4月には子会社サンエステートを設立した。資産運用向け不動産売買事業とインバウンド向け宿泊関連不動産事業を展開する。
■クリーンエネルギー関連事業はバイオマス発電原料を製造販売
クリーンエネルギー関連事業は国内外でバイオマス発電用原料(木質系ペレット)を製造販売する。16年11月シンガポールのSGPE社を完全子会社化(旧MGPE社、子会社化に伴って社名変更)した。
SGPE社はタイにおける木質系ペレット製造販売、インドネシアにおけるバイオディーゼル燃料を使った発電事業、インドネシアにおけるPKS(油やし核殻)の集荷・販売など、東南アジアにおけるバイオマス関連製品製造販売事業、および日本への木質系ペレットの輸出販売事業などを計画している。
17年3月には、国内におけるバイオマス発電用原料の製造販売事業、太陽光発電への投資事業、その他クリーンエネルギー関連事業を展開するための準備会社としてSGPE社の100%出資子会社SGPEジャパンを設立した。
また17年3月にはSGPE社が、タイにおけるバイオマス発電関連事業を行うために設立したSGPE社100%出資子会社シンガポールSUN-BIOMASS社を通して、タイのバイオマス燃料製造企業LCB-BIOMASS社および日本のエネルギー商社との覚書に基づいて設立したSPC(特別目的会社)TRANG-BIOMASS社に出資した。
17年4月にはTRANG-BIOMASS社が、タイのトラン市にバイオマス燃料製造施設を建設するための事業用地を取得した。
なおSUN-BIOMASS社は協業を予定している日本のエネルギー商社の資本参加を受け入れる予定で、TRANG-BIOMASS社の製造設備が完成次第、当該日本のエネルギー商社へバイオマス燃料を販売する予定としている。また本事業ではTRANG-BIOMASS社からの配当収入を見込んでいるが、SUN-BIOMASS社に対する日本のエネルギー商社の出資比率、総事業費、施設稼働時期などのスキームおよび事業詳細は確定次第、逐次開示するとしている。
■17年3月期は赤字拡大
前期(17年3月期)の連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比19.0%減の2億89百万円で、営業利益が2億49百万円の赤字(前々期は94百万円の赤字)、経常利益が3億22百万円の赤字(同1億57百万円の赤字)、そして純利益が10億08百万円の赤字(同1億93百万円の赤字)だった。
前々期に投資不動産5物件を売却して賃料収入が減少したこと、天候等の自然災害の影響で鳥取カントリー倶楽部の売上が減少したこと、大阪市天王寺区下寺町の宿坊施設開発・運営事業に関するアレンジメント・サービス業務終了に伴って、計画していたアレンジメント報酬およびSPVエグジット時のキャピタルゲイン報酬を計上できなかったことを主因に大幅減収となった。
利益面では減収による売上総利益の減少、新体制構築に伴う人件費の増加、東京支店開設および新規海外事業に係る費用の発生、第三者割当増資に係る費用の発生、SGPE社における海外事業会社への貸付金に対する貸倒引当金の計上、SGPE社取得に係るのれん評価見直しによる減損損失計上、NQ屋台街有限責任組合の評価見直しによる減損損失計上、SGPE社保有の海外事業会社の株式評価損の計上などで赤字が拡大した。
■18年3月期は黒字化予想
今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比78.1%増の5億15百万円、営業利益が57百万円、経常利益が53百万円、純利益が46百万円の黒字化としている。
SGPE社を中心とするクリーンエネルギー関連事業の収益寄与は来期(19年3月期)以降となる見込みだが、インバウンド向け宿泊関連事業と資産運用向け販売用不動産事業の推進、鳥取カントリー倶楽部の営業強化などで増収、黒字化予想としている。収益改善・安定化に向けて、新たな戦略の進捗および成果が注目点となる。
■株価は底打ちして戻り歩調
なお5月15日に、第1位株主であるOCEAN PACIFIC MANAGEMENT PTE LTDの保有比率が低下して、主要株主でなくなったと発表している。
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響した4月12日の年初来安値57円から切り返して70円台まで回復した。戻り歩調だ。
6月2日の終値は72円だった。時価総額は約23億円である。日足チャートで見ると、戻りを押さえていた25日移動平均線を突破して下値を切り上げている。また週足チャートで見ても、戻りを押さえていた13週移動平均線を突破した。底打ちを確認した形だろう。戻りを試す展開が期待されそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)