【アナリスト水田雅展の銘柄分析】キーウェアソリューションズは15年3月期減額修正に対する売り一巡、16年3月期の収益改善期待で反発局面

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

システム受託開発やシステムインテグレーションのキーウェアソリューションズ<3799>(東2)は、1月30日に今期(15年3月期)の業績と配当予想の減額修正を発表し、株価は急落した。ただし足元では下げ止まり感を強めている。売りが一巡した可能性があり、来期(16年3月期)の収益改善期待で反発局面だろう。

システム受託開発事業(公共システム開発、ネットワークシステム開発)、経営とITの総合コンサルティング事業(システムインテグレーション、ITサービス、サポートサービス)、その他事業(機器販売など)を展開している。

主要顧客は、筆頭株主であるNEC<6701>グループ向けが約4割を占め、NTT<9432>グループ、JR東日本<9020>グループ、三菱商事<8058>グループ、日本ヒューレット・パッカードなどが続いている。NECと連携して医療分野や流通・サービス業分野へ事業領域を広げ、ERP(統合業務パッケージ)関連やセキュリティ関連も強化している。

なお1月8日に経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」の「職場における健康投資に関する効果指標および投資環境整備(健康データのオープン化・小規模事業所)」に、フジクラ<5803>が代表団体として選出され、職域健康投資コンソーシアムとして当社が参画すると発表した。また1月15日には、総務省「新たなワークスタイルの実現に資するテレワークモデルの実証」プロジェクトにモデル企業として選ばれ、15年1月から実証を開始したと発表している。

1月30日に今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績と、通期連結業績および配当予想の減額修正を発表した。

第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比6.1%減の113億20百万円で、営業利益は4億49百万円の赤字(前年同期は2億74百万円の黒字)、経常利益は4億63百万円の赤字(同2億29百万円の黒字)、純利益は5億32百万円の赤字(同2億40百万円の黒字)だった。複数の不採算案件に加えて、競争激化による全体としての採算性低下も影響したようだ。受注高は同9.1%減の115億66百万円だった。

通期の連結業績見通しについては前回予想(5月14日公表)に対して、売上高を18億30百万円減額して前期比6.0%減の161億70百万円、営業利益は非開示、経常利益を5億円減額して0億円(前期は3億67百万円の黒字)、純利益を5億40百万円減額して1億30百万円の赤字(同2億40百万円の黒字)とした。

複数の不採算案件の影響、見込んでいた大型案件の失注・延期・凍結などが影響して売上高、利益とも減額修正した。配当予想は無配(前期は期末一括の年間10円)とした。14年11月から実施している常勤役員、執行役員および常勤監査役の役員報酬の一部返上を、15年3月まで継続することも発表した。

なお四半期別の営業利益を見ると、第1四半期(4月~6月)が3億24百万円の赤字、第2四半期(7月~9月)が1億95百万円の赤字だが、第3四半期(10月~12月)は70百万円の黒字となり改善傾向を強めている。来期(16年3月期)は不採算案件の一巡、販管費の削減などで収益改善が期待されるだろう。

中期的には、15年から本格化するマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)導入関連のシステム投資、国・地方を通じた行政情報システムの改革、さらに20年東京夏季五輪に向けたインフラ投資などで受注拡大が期待され、収益は改善基調だろう。

株価の動きを見ると、500円近辺でモミ合う展開だったが、1月30日の今期業績と配当予想の減額修正の発表で、1月30日終値485円から昨年来安値となる2月3日の369円まで急落した。ただし10日は終値で394円まで戻して下げ止まり感を強めている。売りがほぼ一巡した可能性があるだろう。

週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が15%程度まで拡大している。売りがほぼ一巡した可能性があり、来期の収益改善期待で一旦は反発局面だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る