【アナリスト水田雅展の銘柄診断】メディアフラッグは調整一巡、15年12月期の増収増益期待で出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 店舗巡回・覆面調査のメディアフラッグ<6067>(東マ)の株価は、9月の戻り高値661円から反落して500円近辺まで調整したが、今期(14年12月期)利益見通し減額修正も8月の年初来安値473円まで下押すことなく、12月1日には547円まで戻して切り返しの動きを強めている。調整が一巡した形であり、来期(15年12月期)の増収増益期待で出直り展開だろう。

 店舗・店頭に特化して流通・飲食チェーンや消費財・食品メーカーなどのフィールドマーケティングを支援する企業だ。リアルショップサポート(店舗巡回)で消費財・食品メーカーなどの店頭販売を支援する営業支援事業、リアルショップリサーチ(覆面調査)で流通・飲食チェーンなどの店舗活性化を支援する流通支援事業を主力として、店舗・店頭状況をデータベース化する独自ソフトウェアのASP事業、コンビニエンスストアなどを運営するストア事業、子会社化した十勝たちばなの和菓子製造販売事業などを展開している。

 これまでに巡回調査を行った企業は約500社、のべ60万店舗以上という実績を誇り、覆面調査などに携わるメディアクルーの登録数は14年6月時点で全国19万人を突破している。北海道から沖縄の離島まで登録ネットワークがあり、日本全国の流通店舗の巡回調査を可能としている。4年以内に売上高100億円という目標達成に向けて、M&Aも活用しながら小売・飲食店舗の受託運営事業、流通・小売企業に特化した再生事業、ASEANを中心とした海外事業の拡大戦略も積極推進している。

 13年8月関西で推奨販売事業を展開するキャビックを子会社化、13年9月スポーツ関連のフィールドマーケティング強化に向けて子会社K9を設立、13年10月和菓子製造販売の十勝とその子会社たちばなを子会社化(14年6月十勝がたちばなを吸収合併して十勝たちばな)、13年11月事業再生コンサルティングの子会社O&Hを設立、14年6月推奨販売事業の取引先であるジェイフロンティアの第三者割当増資を引き受け(出資比率1.9%)、そして14年7月には小型デジタルサイネージ市場NO.1企業であるシアーズを子会社化した。

 なお11月17日に連結子会社3社の商号変更を発表した。メディアフラッグ沖縄をMEDIAFLAG沖縄、シアーズをimpactTV、キャビックをcabicに変更する。

 海外は、インドネシアおよびインドで大手流通チェーンからコンビニエンスストアの店舗改善コンサルティング案件などを受注し、中国ではメディアフラッグ上海が営業活動を強化している。

 今期(14年12月期)の連結業績見通し(8月11日に売上高を増額、利益を減額修正)については、売上高が前期比92.1%増の66億円、営業利益が同1.1%増の2億50百万円、経常利益が同10.7%減の2億20百万円、純利益が同18.4%減の1億10百万円としている。なお配当予想は「未定」としている。

 第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比2.1倍増収、同8.2%営業増益、同9.4%経常減益、同50.0%最終減益だった。単体ベースの営業支援事業と流通支援事業が好調に推移し、小型電子POP開発・販売のシアーズの新規連結も寄与して大幅増収、営業増益だった。営業支援事業ではリアルショップサポートや推奨販売サービスの新規案件が増加し、流通支援事業では地方銀行や高速道路サービスエリアでの調査が順調に推移した。ASEANでのコンビニエンスストアの店舗改善コンサルティング案件も寄与した。

 通期ベースではフットサルコートなどを運営するK9、事業再生途上で新規ブランド立ち上げに伴う出店費用が先行する十勝たちばなの収益が想定を下回るため利益を減額修正したが、売上面では単体ベースの営業支援事業と流通支援事業の稼働店舗数が増加基調である。シアーズの新規連結も寄与して大幅増収見込みだ。

 14年10月度の月次実績(キャビックの推奨販売、シアーズの商品出荷店舗を含む)は、リアルショップリサーチが前年同月比22.7%増の8491件、リアルショップサポートが同2.1倍の3万7001件、そして合計が同83.8%増の4万5492件だった。リアルショップリサーチでは商業施設の調査が大幅に増加し、リアルショップサポートでは定期稼働案件が初めて1万店舗を超えた。14年1月~10月累計の総稼働店舗数は27万8303件となり、13年の25万2123件を上回った。

 主要株主である博報堂DYホールディングス<2433>など大手広告代理店経由の新規受注も増加傾向を強めている。さらにアベノミクス重点戦略「地方創生」も追い風となりそうだ。来期(15年12月期)は連結子会社の収益改善や海外事業の収益化も寄与して増収増益が期待されるだろう。

 株価の動きを見ると、9月の戻り高値661円から反落して10月30日に500円、11月14日に503円まで調整したが、今期利益見通し減額修正も8月の年初来安値473円まで下押すことなく、その後は12月1日に547円まで戻して切り返しの動きを強めている。

 12月1日の終値544円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS24円03銭で算出)は22~23倍近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS206円97銭で算出)は2.6倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を回復し、週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。来期の増収増益期待で出直り展開だろう。

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