アーバネットコーポレーションは年初来高値更新の展開、17年6月期2桁増益・増配予想

 アーバネットコーポレーション<3242>(JQ)は東京23区中心に投資用・分譲用マンションの開発・販売事業を展開している。17年6月期2桁増益・増配予想で、18年6月期も好業績が期待される。株価は年初来高値更新の展開だ。依然として4%台の高配当利回りも注目点であり、上値を試す展開が期待される。13年5月高値が視野に入りそうだ。

■東京23区中心に投資用マンション開発・販売

 東京23区中心に投資用・分譲用マンションの開発・販売事業を展開している。

 15年7月連結子会社アーバネットリビングが操業し、当社は投資用ワンルームマンション開発・1棟販売や分譲マンション開発などBtoB卸売、アーバネットリビングは当社開発物件の戸別販売、他社物件の買取再販、マンション管理・賃貸などBtoC小売を基本事業とする。

 自社開発物件ブランドは、ワンルームマンションの「アジールコート」、コンパクトマンションの「アジールコフレ」、ファミリーマンションの「グランアジール」、戸建住宅の「アジールヴィラ」である。

 収益面では物件売上計上によって変動しやすい特性がある。またアウトソーシングを積極活用し、少数精鋭の組織体制で固定費の極小化を図っていることも特徴だ。

 配当性向についての基本方針は、従来は当期純利益から法人税等調整額の影響を排除した数値の30%を配当するとしていたが、16年6月期より当期純利益から法人税等調整額の影響を排除した数値の35%を配当するとした。

■開発物件の分野を拡大

 16年3月には東京23区における事業用地購入の環境、ならびに将来の不動産市場の環境を考慮し、これらへの積極対応として開発物件の分野拡大を発表した。

 当社グループが展開している開発地域(東京23区駅10分以内に特化)の事業用地については、都心への人口流入や開発の一極集中による価格上昇もあり、優良事業用地の確保が難しい状況となっている。
 
 こうした環境に対応するため、従来は投資用ワンルームマンション用地として取得しなかった狭小用地についても、アパートや戸建住宅として開発する。また川崎市や横浜市など人口増加・優良地域への開発エリアの拡大、売上総利益率安定化に向けた分譲物件開発の平準化などの施策に加えて、開発物件分野拡大による業績の向上を目指す方針だ。

■海外投資家への直接販売強化

 投資意欲旺盛な台湾・シンガポール・香港・中国本土の海外投資家への直接販売など販売手法の多様化も推進している。14年7月売買契約締結した投資用ワンルームマンション「アジールコート銀座イースト」が海外投資家への直接販売第一弾となった。

 16年4月には台湾投資家への当社の浸透を図ることを目的として、アンビシャス・コンサルタント・インターナショナル(台湾台北市)が台湾在住の投資家を対象に日本の不動産を紹介する拠点として開設する「M.I.J.サロン」(台北市)に当社常設ブースを設置した。

■17年6月期第3四半期累計大幅増収増益

 今期(17年6月期)第3四半期累計(7月~3月)連結業績は、売上高が前年同期比15.4%増の127億68百万円、営業利益が同77.5%増の19億14百万円、経常利益が同2.0倍の17億27百万円、純利益が同2.1倍の11億79百万円だった。

 不動産開発販売で、自社開発投資用ワンルームマンション11棟・377戸(前期からの繰越物件1棟・14戸および店舗1戸を含む)および用地転売1物件、不動産仕入販売で買取再販物件4戸を売上計上した。自社開発投資用ワンルームマンション11棟のうち4棟が国内外法人への一括販売だった。

 売上総利益は同50.6%増加し、売上総利益率は23.3%で同5.4ポイント上昇した。販管費は同18.4%増加し、販管費比率は8.4%で同0.3ポイント上昇した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期39億91百万円、第2四半期66億99百万円、第3四半期20億78百万円、営業利益は5億46百万円、12億15百万円、1億53百万円だった。

■17年6月期2桁増益・増配予想

 今期(17年6月期)通期連結業績予想(4月20日に売上高を減額、利益を増額修正)は、売上高が前期(16年6月期)比0.1%増の177億30百万円、営業利益が同17.2%増の23億50百万円、経常利益が同20.3%増の20億70百万円、純利益が同22.9%増の14億円としている。

 売上計上の計画は、自社開発投資用ワンルームマンション13棟・587戸、アパート1棟・12戸の合計599戸(16年6月期の分譲戸建4棟含む合計662戸に対して63戸減少)および買取再販4戸、土地転売1物件である。一括販売は国内法人3棟・176戸、国内個人1棟・56戸である。

 なお5月18日に販売用不動産の売却を発表している。投資用ワンルームマンション・西巣鴨Ⅱプロジェクト(仮称)で、総戸数123戸のうち112戸を国内法人へ一括販売する。18年10月引き渡し予定で、19年6月期売上計上となる。

 超低金利継続や相続税対策による不動産投資などを背景として、海外投資家も加わり、投資用ワンルームマンションに対する投資・購入マインドは旺盛である。さらに国内外法人・個人への一括販売が増加して売上総利益率が上昇傾向である。そして来期(18年6月期)も好業績が期待される。

 配当予想(4月20日に期末2円増額修正)は同4円増配の年間20円(第2四半期末9円、期末11円)としている。予想配当性向は35.8%である。

■株価は年初来高値更新の展開、依然として4%台の高配当利回りも注目点

 株価の動きを見ると年初来高値更新の展開だ。5月24日に449円まで上伸し、その後も高値圏で堅調に推移している。

 6月7日の終値448円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS55円88銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は4.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS234円60銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約112億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドである。依然として4%台の高配当利回りも注目点であり、上値を試す展開が期待される。13年5月高値560円が視野に入りそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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