【アナリスト水田雅展の銘柄診断】イーグランドは調整一巡して9月の戻り高値目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 中古住宅再生事業のイーグランド<3294>(JQS)の株価は、9月の戻り高値916円から反落して700円~800円近辺のレンジでモミ合う展開だ。ただし700円台を割り込むことなく、徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。中古再生住宅の販売は堅調で日銀の追加金融緩和も追い風であり、調整が一巡して9月の戻り高値を目指す展開だろう。

 首都圏を地盤に中古マンション・戸建住宅の再生事業を主力として、その他不動産事業(不動産賃貸、リフォーム工事請負など)も展開している。中古住宅再生事業は、競売や任売(任意取引)で仕入れた中古住宅を個々の状況に応じてリフォームし、中古再生住宅として販売する。

 長年の不動産競売取引で培った価格算定力を活かして、首都圏(1都3県)での不動産競売において業界一の落札実績を持ち、若年ファミリー層など初めて住宅を購入する層をメインターゲットとして、ボリュームゾーン2000万円以下の低価格帯居住用物件の取り扱いを主力としている。リフォームコストを抑えることで良質で安価な中古住宅を提供するとともに、家具付き販売や最低10年アフターサービス保証などで他社物件との差別化を図っていることも特徴だ。

 リスク低減への取り組みとして仕入から販売までの期間を適切に管理するとともに、原則1戸単位でエリアを分散した仕入を実行している。14年3月期の物件平均保有期間は5.7ヵ月で13年3月期の6.3ヵ月から0.6ヵ月短縮した。現在の仕入は約3分の2が競売仕入、約3分の1が任売仕入だが、今後は首都圏での任売仕入強化に伴って任売仕入の比率が上昇する見通しだ。

 中期成長に向けて仕入力強化と事業エリア拡大戦略を推進している。10年3月に札幌支店、11年11月に宇都宮支店、14年5月に関西支店を開設した。新たな事業展開エリアとして今後は名古屋、福岡、仙台への進出を視野に入れている。中期目標数値としては仕入件数を毎期2割増加させ、19年3月期をメドに売上高300億円を目指している。ストック型収益基盤構築に向けて不動産賃貸事業も強化する方針だ。

 今期(15年3月期)業績(非連結)見通しは前回予想(5月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比26.8%増の158億85百万円、営業利益が同3.0%増の12億32百万円、経常利益が同6.6%増の10億15百万円、純利益が同7.8%増の6億29百万円としている。配当予想は8月8日に発表した株式4分割(効力発生日14年10月1日)に伴って年間10円(期末一括)としている。株式4分割を考慮すると実質的に前回予想に変更はなく、前期との比較でも同額となる。

 首都圏での販売強化、および関西支店の開設・本格稼働による物件仕入・販売件数の増加、さらに賃料収入の増加などで人件費や仲介手数料の増加を吸収して増収増益見込みとしている。販売件数は同175件増加の823件、平均販売価格は前期と同水準の19百万円の計画である。低価格の中古再生住宅の販売は堅調であり、消費増税の影響は比較的小さいようだ。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比19.7%増収、同28.2%営業減益、同32.4%経常減益、同23.7%最終減益だった。消費増税の影響で首都圏中古マンション市場全体の成約件数が減少するなど、高利益率の市場環境から正常レベルに収束しているため売上総利益率が低下し、仲介手数料や人件費の増加も影響して減益だったが、売上高は大幅増収だった。関西支店の稼働も寄与して物件販売数が同36件増加の358件と好調に推移し、期初計画の348件に対しても10件上回った。平均販売価格は20百万円で想定を上回る水準だった。また仕入件数は同103件増加の438件で、販売用不動産の積み上げも順調に推移している。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.1%、営業利益が40.5%、経常利益が39.9%、純利益が40.4%である。物件販売数の四半期推移を見ると、13年7月~9月期152件、10月~12月期163件、14年1月~3月期163件、4月~6月期157件、7月~9月期201件で、消費増税後も概ね堅調に推移している。そして10月~12月期(第3四半期)以降は関西支店の本格稼働が寄与する。消費増税の影響も概ね一巡して通期ベースで好業績が期待される。

 株主優待制度(8月8日に新設を発表)については、毎年3月末および9月末時点で1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。14年9月末から実施した。

 株価の動き(効力発生日14年10月1日付で株式4分割)を見ると、9月26日の戻り高値916円から反落して概ね700円~800円近辺のレンジでモミ合う展開だ。ただし700円台を割り込むことなく、徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。

 12月1日の終値766円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS99円92銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式4分割を考慮したBPS622円82銭で算出)は1.2倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって徐々に下値を切り上げ、13週移動平均線突破の動きを強めている。日銀の追加金融緩和も追い風であり、調整が一巡して9月の戻り高値を目指す展開だろう。

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