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インテリジェントウェイブは07年来の高値圏、17年6月期増収増益予想でAI関連やセキュリティ関連も注目
- 2017/6/9 07:56
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテリジェントウェイブ<4847>(JQ)は金融分野や情報セキュリティ分野を中心にシステムソリューション事業を展開している。17年6月期増収増益予想で18年6月期も収益拡大が期待される。株価はAI(人工知能)関連やセキュリティ関連にも注目する形で急伸し、15年高値を突破して07年来の高値圏だ。上値を試す展開が期待される。
■金融システムや情報セキュリティ分野のソリューションが主力
大日本印刷<7912>の連結子会社で、ソフトウェア開発中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野中心にパッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。
16年6月期セグメント別売上構成比は金融システムソリューション事業89%、プロダクトソリューション事業11%である。収益面では金融業界のシステム投資や案件ごとの採算性が影響し、期後半の構成比が高い特性がある。
■クレジットカード決済関連システムで高シェア
高度な専門性が要求されるクレジットカード決済のフロント業務関連システムで高シェアを持ち、クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスを収益柱としている。
クレジットカード利用承認や銀行ATMネットワーク接続などの決済ネットワークを支える仕組みのNET+1(ネットプラスワン)、クレジットカード不正利用検知のACEPlus(エースプラス)、情報漏えい対策システムCWAT(シーワット)などの製品を強みとしている。CWATはPCなど情報端末のファイル操作、メール送信、外部メディアへの書き込み、接続などを監視し、企業の情報を守る情報漏えい対策システムである。
■事業領域拡大に向けて新製品・新サービスを強化
金融システムソリューション事業ではクレジットカード決済のフロント業務関連システムから、バックオフィス業務関連など基幹業務システム関連への事業領域拡大を目指している。またプロダクトソリューション事業では、サイバー攻撃や情報漏えいに対応したセキュリティ関連のソリューションを強化している。
当社保有技術を活用した新製品OnCore(オンコア)は、NET+1やACEPlus等の機能を搭載し、さまざまなシステム開発におけるプラットフォームの基盤となる製品だ。16年1月から国内販売を開始し、国内第一号案件として大手クレジットカード会社のカード決済関連業務で売上を計上した。さらにハードウェアをセットにしたパッケージ型製品として、金融以外の業界向けや東南アジアでの販売も視野に入れている。
17年3月には独自のAI技術を活用した新製品OpAI(オーピーエーアイ)を利用した開発プロジェクトを大手損害保険会社から受注した。17年6月期のOpAI関連の売上高は約1億円を見込んでいる。
クレジットカード加盟店契約業務のシステムを複数の顧客で共同利用するサービス「共同利用型サービス」については、16年10月ネット銀行、16年11月クレジットカード会社、17年1月琉球銀行のサービスを開始し、4社目(クレジットカード会社)の受注も決定している。
■アライアンス戦略も積極推進
アライアンス戦略も推進している。14年2月ジーフィー(GIFI)と個人投資家向け次世代オンライントレードシステム分野で業務提携、16年4月ソフトバンクと日本IBMの「IBM Watson エコシステムプログラム」のテクノロジーパートナー認定、16年11月米First Performanceとカード利用者が自身の決済カードの利用条件をリアルタイムにコントロールする「Budgeting Control & Alerts」クラウドプラットフォームサービス事業で提携した。
■17年6月期(非連結決算に移行)第3四半期累計は実質大幅増収増益
今期(17年6月期、非連結決算に移行)第3四半期累計(7月~3月)の非連結業績は売上高が60億56百万円、営業利益が5億22百万円、経常利益が5億63百万円、純利益が4億06百万円だった。
前年同期の連結業績との比較で23.9%増収、21.7%営業増益、26.2%経常増益、42.0%最終増益と実質大幅増収増益だった。カード系開発案件が増加し、スマホ決済のためのネットワーク接続機能を提供するOnCoreの販売も順調だった。売上総利益は15.0%増加したが、売上総利益率は25.9%で同2.0ポイント低下した。販管費は同12.0%増加したが、販管費比率は17.3%で同1.8ポイント低下した。
セグメント別に見ると、金融システムソリューションは売上高が同22.9%増の53億41百万円で営業利益が同14.0%増の5億20百万円だった。不採算案件に係る損失として第1四半期に38百万円、第3四半期に12百万円計上したが、これを吸収して増益だった。プロダクトソリューションは売上高が同32.7%増の7億15百万円で営業利益が2百万円(前年同期は26百万円の赤字)だった。他社製品の売上が拡大した。
受注残高は16年6月期末比73.1%増の47億58百万円となった。内訳はソフトウェア開発が同2.3倍の24億59百万円、新規の共同利用型サービスが9億51百万円、その他が同19.1%減の13億48百万円である。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期16億53百万円、第2四半期21億39百万円、第3四半期22億63百万円、営業利益は37百万円、2億10百万円、2億75百万円だった。
■17年6月期(非連結決算に移行)通期も増収増益予想
今期(17年6月期)の非連結業績予想(8月3日公表)は売上高が80億円、営業利益が8億円、経常利益が8億円、純利益が5億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間6円(期末一括)で予想配当性向は28.7%となる。
前期(16年6月期)の連結業績との比較で11.0%増収、12.0%営業増益、9.6%経常増益、15.1%最終増益、また個別業績との比較で11.0%増収、9.3%営業増益、6.6%経常増益、7.2%最終増益である。
需要が高水準であり、マネジメント体制整備・強化による開発プロジェクト単位での労務管理および収支管理徹底も寄与して実質増収増益予想である。銀行やクレジットカード会社に対してクレジットカードのアクワイアリング業務(加盟店契約業務)システムをクラウド型で提供する共同利用型サービスも第2四半期から開始して増収に寄与(今期3社開始、5社まで見込む)する。
セグメント別計画は、金融システムソリューションの売上高が同8.0%増の69億円で営業利益が同7.5%増の7億20百万円、プロダクトソリューションの売上高が同34.1%増の11億円で営業利益が同86.0%増の80百万円としている。金融システムソリューションはカード系・証券系のシステム開発が伸長し、プロダクトソリューションは他社製パッケージの好調が続く見込みだ。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.7%、営業利益が65.3%、経常利益が70.4%、純利益が73.8%である。高水準の需要を背景に通期ベースでも好業績が期待される。
■クレジットカード・金融業界のシステム投資は高水準
クレジットカード・金融業界では、システム・ハードウェア更新投資、クレジットカード会社の資本関係変化に伴うシステム開発投資、不正検知を含むFEPシステム投資、ブランドプリペイドカードやモバイル端末決済など決済サービス多様化に対応したシステム投資、訪日外国人旅行客の増加に伴うコンビニエンスストアATMや海外カードに対応した新規投資などで、設備投資が高水準に推移する見通しだ。
中期成長戦略として、需要変動や採算性の影響を受けやすい開発請負型から、ASP方式によるセキュリティソフト・システム利用課金などストック型収益構造への転換を推進する方針だ。
中期経営目標値としては、売上高100億円、営業利益10億円を目指している。高水準の投資需要を背景にクレジットカード・金融関連の開発案件受注増加が期待され、さらにサイバー攻撃対策や情報漏えい対策などセキュリティ関連の需要増加も期待される。中期的に収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年6月末に実施、セキュリティ製品を贈呈
株主優待制度は、毎年6月末現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、Dr.Web社のセキュリティ製品(Windows版またはMac版)1ライセンス(PC1台用)を贈呈する。
■株価は急伸して07年来の高値圏
株価の動きを見ると、直近安値圏500円近辺でのモミ合いから上放れ、AI(人工知能)関連やセキュリティ関連にも注目する形で6月8日の789円まで上伸している。15年7月高値690円を一気に突破して07年来の高値圏だ。
6月8日の終値778円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS20円88銭で算出)は37~38倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績個別BPS190円34銭で算出)は4.1倍近辺である。時価総額は約205億円である。
目先的にはやや過熱感もあるが、週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線がいずれも上向きに転じて先高感を強めている。上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)