【編集長の視点】三栄コーポは年初来高値を視野、新ブランド投入で業績上ぶれ期待を高め超割安修正買いが増勢
- 2017/6/9 07:50
- 編集長の視点
三栄コーポレーション<8119>(JQS)は、前日8日に10円高の3770円と続伸して引け、2月6日につけた年初来高値3850円を視界に捉えた。同社は、今年5月22日に自社ブランドの理美容機器「mod’s hair(モッズ・ヘア)」の台湾での販売開始を発表しており、ブランド事業の売り上げ構成比アップに寄与するとして、減益転換予想の今2018年3月期業績の上ぶれ期待を高めてディフェンシブ関連の超割安株買いが増勢となった。前2017年3月期業績も、期初の減益転換予想が、期中の2回の上方修正を受けて続伸して着地したことも、連想された。
■期初減益予想の前期業績も期中の2回の上方修正を経て増益転換着地
同社は、「世界から世界に良いものを」をキャッチコピーに生活関連用品を取り扱う専門商社で、相手先ブランド製品を調達するOEM事業と、世界から選りすぐったブランドや自社ブランド商品を販売するブランド事業を展開している。両事業の売上高構成比は、それぞれ75%、25%となっているが、ブランド事業の構成比を高めるために新たな販売政策を進めている。今年5月22日には、このブランド事業で理美容機器の「モッズ・ヘア」の台湾での販売開始を発表しており、昨年5月に香港、台湾で販売を開始した新規家電ブランド「Vitantonio(ビタントニオ)」に次ぐ第2弾の積極策となる。
一方、今3月期業績は、売り上げ500億円(前期比0.4%増)、営業利益21億円(同22.4%減)、経常利益21億円(同13.8%減)、純利益13億円(同9.0%減)と連続増収・減益転換と慎重に予想している。新規商材や販路拡大に向け積極投資をするブランド事業で、服飾雑貨事業セグメントの売り上げ回復などで売り上げは500億円台乗せとなるが、OEM事業で企画段階から生産まで一貫して相手先ブランドを開発するODM開発の費用増や、販路拡大のための先行投資、業務基盤システム投資の負担増などが重なり減益転換と見込んだ。ただ、同社は、前期業績も、期初に前々期の過去最高業績から減益転換を予想したが、昨年10月、今年2月と2回も上方修正し、営業利益は増益転換、経常利益、純利益は期初予想の減益率を縮めて着地しており、今期も同様の業績推移となるとの期待も底流している。今年7月28日には今3月期第1四半期(2017年4月~6月期、1Q)決算を発表予定にあるが、前期も1Q業績が高利益進捗率を示したことがその後の2回の上方修正につながっただけに、動向が注目される。
■25日線水準でPER6倍台、PBR0.7倍、配当利回り3.1%と超割安放置を示唆
株価は、前期業績の2回目の上方修正、期末配当の増配を歓迎して年初来高値3850円まで買い進まれ、配当権利落ちに地政学リスクによる全般波乱相場の波及が重なって同安値3390円へ突っ込んだ。同安値からは下げ過ぎとして年初来高値目前まで急速に戻したあと、25日移動平均線で下値を確認しつつ上値を窺ってきた。PERは6倍台、PBRは0.7倍、配当利回りは3.18%となお超割安放置を示唆しており、年初来高値3850円から昨年10月高値3995円を上抜き、昨年年初水準の5000円台へのキャッチアップも意識しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)