思いつきでの売買は大ケガのもと=犬丸正寛の相場格言
- 2017/6/10 05:30
- 特集
■思いつきでの売買は大ケガのもと
相場は一見、時の流れに身をまかせるかのように気まぐれに動いているようにみえても、実際は人間にとって命から2番目に大切なお金を動かしているのですから、思いつきで投資して儲かるほど単純なものではないと戒めている言葉です。
たしかに、景気が大きな底入れから回復に転じているような時は、何を買っても儲かるような時もないとはいえません。むしろ、そういう局面ではあれこれ理屈を言うより、思いつきやひらめきの単純さで買った方がよい場合もあります。
しかし、それは偶然に景気回復局面に出くわしたからにすぎません。今までうまくいったからといって、いつまでも景気が好調という単純な発想を続けていますと、仮に、その景気が天井圏だったとしたら大きな下げに見舞われ、損失が出ることは明らかです。
プロ野球は年間140試合程度あります。この140試合をどう戦っていくかをチームのリーダ達は考えているのです。年間のチーム勝率が6割を超えれば、リーグでの優勝が可能になります。監督、コーチのみなさんは、140試合中、6割に当たる84勝以上に、いかにもっていくかを考えて戦っているのです。決して、思いつきだけで戦っているのではありません。思いつきの野球ではリーグ優勝はできません。選手一人一人を知り、適材適所で力を発揮させることのできる監督が優勝の美酒を飲めるのです。
株式投資もまったく同じです。選手にあたるのが個々の銘柄であり、その銘柄がどのような局面で活躍するのかなどを研究しなくてはいけません。もちろん、あれこれ考えたり研究した末で、ジャッジ(決断)しなくてはいけないときはヒラメキのような直感も大切だろうと思います。しかし、そうしたヒラメキも日ごろの考える行動の積み重ねの中から生まれてくることを知るべきです。
ツキやヒラメキは単純な日ごろの思いつき生活スタイルからは、決して生まれてきません。まして、経営においては、株式投資以上に考えることが大切です。株式投資なら自分だけのこととして片付けることもできますが、会社には従業員やその家族、さらには関係取引先もあります。経営トップの軽率な思いつき経営では会社を破綻に追い込んでしまう可能性がありますし、現実に上場企業の中からも「思いつき経営者」によって倒産したところもあります。とくに、思いつきは、過去の成功に頼った自惚れから派生する場合がほとんどですから、株式投資も経営も謙虚さを失ってはいけないといえるでしょう。