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キムラユニティーは調整一巡感、18年3月期最高益更新予想で0.6倍近辺の低PBRも見直し
- 2017/6/12 08:15
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
キムラユニティー<9368>(東1)はトヨタ自動車向け部品包装が主力の総合物流サービス企業である。物流請負のNLS事業が成長し、北米や中国の収益拡大も進展している。18年3月期は2桁増益で過去最高益更新予想である。株価は反発力の鈍い展開だったが調整一巡感を強めている。0.6倍近辺の低PBRも見直して戻りを試す展開が期待される。
■トヨタ向け部品包装が主力の総合物流サービス企業
トヨタ自動車<7203>の補修部品・KD部品の包装・物流、および一般物流請負のNLS(ニューロジスティクスサービス)を主力とする総合物流サービス企業である。自動車販売・リース・整備などの自動車サービス事業、物流分野における情報サービス事業、派遣・アウトソーシングなどの人材サービス事業、太陽光発電による売電事業なども展開している。
17年3月期セグメント別売上構成比(連結調整前)は物流サービス事業が66%(うちトヨタ自動車16%、トヨタグループ24%、NLS20%)で、自動車サービス事業が31%、情報サービス事業+人材サービス事業+その他が4%である。
主力の物流サービス事業は、トヨタ関連の堅調推移に加えて、ネット通販市場の拡大も追い風として物流請負のNLSが拡大基調である。自動車サービス事業では13年12月軽自動車販売専門店を運営するスーパージャンボを子会社化した。
海外はトヨタ自動車の海外生産拡大に合わせて米国、メキシコ、ブラジル、中国、タイに拠点展開している。米国子会社は13年7月カナダの大手自動車部品メーカーMAGNAグループのDRIVE社から倉庫内物流請負を新規受注、14年7月新倉庫が稼働した。中国では自動車保有台数の増加に伴い、自動車アフターマーケットにおける補修部品需要の拡大基調が予想される。
■17年3月期は営業減益だが経常利益と純利益は増益
前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比2.2%減の469億83百万円、営業利益が同12.2%減の17億11百万円だが、経常利益が同1.4%増の19億63百万円、純利益が同2.3%増の10億42百万円だった。
国内の格納器具製品事業の受注減少、円高による海外子会社の為替換算影響、自動車販売の落ち込みで7期ぶり減収となり、営業利益は退職給付費用積立額の増加も影響して2期ぶり減益だった。ただし持分法投資利益の増加や為替差損の減少で経常利益と純利益は3期ぶり増益だった。
売上総利益は同1.6%減少したが、売上総利益率は16.2%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同2.1%増加し、販管費比率は12.5%で同0.5ポイント上昇した。また営業外では持分法投資利益が増加(前々期1億87百万円、前期2億47百万円)し、外貨建て資産に係る為替差損が減少(前々期1億72百万円、前期59百万円)した。特別利益では退職給付信託設定益2億71百万円、特別損失ではスーパージャンボののれん減損損失2億82百万円を計上した。
ROEは4.2%で同0.2ポイント上昇、自己資本比率は49.8%で同1.2ポイント上昇した。また配当は前々期と同額の年間27円(第2四半期末13円、期末14円)で配当性向は31.3%だった。
セグメント別(連結調整前)に見ると、物流サービス事業は売上高が同1.7%減の311億13百万円(包装が同1.6%増の269億19百万円、格納器具製品が同18.4%減の41億93百万円)で、営業利益が同8.1%減の20億83百万円だった。北米事業は物流業務が順調に拡大したが、国内の格納器具製品事業の受注減少、熊本地震の影響、円高による海外子会社の為替換算影響、北米子会社の物流業務における修繕費の増加などで減収減益だった。
自動車サービス事業は売上高が同3.4%減の145億71百万円(車両リースが同2.9%増の71億47百万円、車両整備が同1.1%増の37億37百万円、自動車販売が同18.9%減の27億85百万円など)で、営業利益が同4.2%増の5億91百万円だった。個人消費低迷やメーカー燃費不正問題の影響で自動車販売が減少したが、リース契約台数・メンテナンス契約台数が増加し、前々期発生したメンテナンス契約における車検費用の発生時処理が一巡して増益だった。
また情報サービス事業は売上高が同1.1%減の11億49百万円で営業利益が同15.5%減の1億01百万円だった。人材サービス事業は売上高が同2.4%増の4億62百万円で営業利益が2百万円の赤字(前々期は14百万円の黒字)だった。その他は売上高が同0.8%減の46百万円で営業利益が同2.6%減の14百万円だった。
■18年3月期は2桁増益で過去最高益更新予想
今期(18年3月期)連結業績予想(4月27日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.3%増の490億円、営業利益が同22.7%増の21億円、経常利益が同12.1%増の22億円、純利益が同24.7%増の13億円としている。配当予想は前期と同額の年間27円(第2四半期末13円、期末14円)で予想配当性向は25.1%となる。
物流サービス事業は国内外での拡販を見込み、自動車サービス事業ではリース契約台数・メンテナンス契約台数の増加を見込んでいる。個人向け自動車販売はスーパージャンボと一体となった販売体制を展開する方針だ。のれん償却費の圧縮や継続的な原価改善活動も寄与して2桁増益予想である。売上高、各利益とも過去最高更新の見込みである。
セグメント別(連結調整前)の計画は、物流サービス事業の売上高が同1.3%増の315億20百万円(包装が同1.5%増の273億30百万円、格納器具製品が同0.1%減の41億90百万円)で、営業利益が同4.2%増の21億70百万円、自動車サービス事業の売上高が同9.3%増の159億20百万円(車両リースが同6.3%増の75億95百万円、車両整備が同6.4%増の39億75百万円、自動車販売が同19.5%増の33億30百万円など)で、営業利益が同31.9%増の7億80百万円としている。
また情報サービス事業は売上高が同16.2%増の13億35百万円で営業利益が同42.4%増の1億45百万円、人材サービス事業は売上高が同75.1%増の8億10百万円で営業利益が30百万円(前期は2百万円の赤字)、その他は売上高が同4.1%減の45百万円で営業利益が同5.7%増の15百万円としている。
■中期的に収益拡大基調
15年5月策定「中期経営計画2017」では目標値として18年3月期の売上高520億円、営業利益25億円、経常利益27億円、純利益16億円、EPS132円56銭、ROE6.0%を掲げている。利益還元については連結配当性向30%以上を目標としている。
セグメント別(連結調整前)の目標は、物流サービス事業の売上高が337億円で営業利益が25億50百万円、自動車サービス事業の売上高が168億15百万円で営業利益が9億円、情報サービス事業の売上高が14億円で営業利益が1億20百万円、人材サービス事業の売上高が7億円で営業利益が50百万円、その他サービス事業の売上高が45百万円で営業利益が15百万円としている。
中期重点強化事業の目標値として、深トヨタグループ事業の売上高を15年3月期比9.2%増の194億30百万円、NLS事業の売上高を同29.2%増の108億50百万円、海外事業の売上高を同29.8%増の80億円、またBtoB(CMS=カーマネジメントサービス)事業の管理台数を同90.7%増の4万台、BtoC(車両販売)事業の車両販売台数を同70.5%増の4500台に拡大する方針としている。
18年3月期連結業績の会社予想によると、中期経営計画における18年3月期目標値の達成がやや難しくなった形だが、中期的には収益拡大基調が期待される。
■株主優待は3月末と9月末の年2回実施
株主優待制度は毎年3月31日現在および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株数に応じて「お米券」を贈呈している。さらに500株以上を継続2年以上保有している株主に対しては、保有株数に応じて長期優待が上乗せされる。
■株価は調整一巡感、0.6倍近辺の低PBRも見直し
株価の動きを見ると反発力の鈍い展開だったが、地合い悪化も影響した4月の年初来安値1101円まで下押すことなく調整一巡感を強めている。
6月9日の終値1158円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS107円72銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2104円19銭で算出)は0.6倍近辺である。なお時価総額は約140億円である。
週足チャートで見ると52週移動平均線近辺下値を支える形だ。そして13週移動平均線突破の動きを強めている。0.6倍近辺の低PBRも見直して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)