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日本エム・ディ・エムは自律調整一巡して上値試す、18年3月期も2桁増益で連続増配予想
- 2017/6/12 08:10
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
日本エム・ディ・エム<7600>(東1)は整形外科分野の医療機器専門商社である。米国子会社ODEV製品の拡販によって自社製品比率が上昇し、収益力が向上している。18年3月期も2桁増益予想、そして連続増配予想である。株価は5月の戻り高値から一旦反落したが、自律調整が一巡して上値を試す展開が期待される。
■整形外科分野の医療機器専門商社、自社製品比率上昇して収益力向上
人工関節製品、骨接合材料、脊椎固定器具など整形外科分野を主力とする医療機器専門商社である。メーカー機能強化による高収益体質への転換を目指して米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品の拡販を推進し、自社製品比率が上昇して収益力が向上している。米ODEV社製の人工膝関節製品は中国でも薬事承認を取得している。
なお16年5月に日本特殊陶業<5334>と資本・業務提携した。伊藤忠商事<8001>が保有する当社株式を日本特殊陶業が取得した。
17年3月期セグメント別売上高構成比は日本国内販売66%、米国販売34%である。製品別売上構成比は日本国内の人工関節33%、骨接合材料22%、脊椎固定器具10%、人工骨1%、その他2%、米国の人工関節33%、脊椎固定器具1%である。また自社製品比率は16年3月期比2.4ポイント上昇して87.5%となった。
収益面の特性として、医療機器償還価格の影響や為替変動の影響を受けるほか、整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があるため、業績も下期の構成比が高い傾向があるとしている。
■自社製新製品中心に品揃え強化
米ODEV社製の自社製品を中心に品揃えを強化している。
15年5月米ODEV社製の人工膝関節製品「バランスド・ニー・システム TriMax PS」の販売を開始し、販売中の「バランスド・ニー・システム」シリーズにHigh-Flexタイプ製品が加わった。15年7月ベルギーのMaterialise社と3D技術を用いた人工股関節置換術に使用する患者毎の手術器械PMIに関して取引契約を締結(17年から順次販売)した。15年9月アイスランドのオズール社製造ハローベストシステム「ReSolveハローシステムCE」を販売開始した。
16年2月米ODEV社製の人工股関節新製品「Alpine ヒップシステム」を販売開始した。16年5月米ODEV社製の人工股関節新製品「Alpine Cemented Hip System」を米国で販売開始した。販売中の「Alpine Hip System」の間接固定(骨セメントを用いて固定)タイプで、16年6月には日本国内でも販売開始した。
16年10月ベルギーのMaterialise社製造の患者適合型関節手術用器械「Acetabular Cup Orientationガイド」の薬事承認を取得した。人工股関節置換術手術の際に患者のCTデータをもとに設計され、3Dプリンタによって作成される手術用器械である。
16年12月日本特殊陶業の人工骨「セラリボーン」を販売開始した。先行販売している人工骨「プリマフィックス」および「プリマボーン」に、新たなバリエーションとして吸収型の人工骨が加わった。また米ODEV社製の骨接合材料新製品「ARISTOネイルシステム」を販売開始した。販売中の上腕骨近位端骨折に対応する骨接合材料に本製品が加わった。
■17年3月期は計画超の2桁増益で増配
前期(17年3月期)の連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比4.6%増の136億29百万円、営業利益が同11.8%増の19億09百万円、経常利益が同13.7%増の17億47百万円、純利益が同41.2%増の11億30百万円だった。
国内においては、16年4月および17年1月の償還価格引き下げがマイナス要因だったが、米ODEV社製製品の売上が堅調に推移した。米国は円高による換算影響を受けたが、現地通貨ベースでは同17.0%増収と好調だった。自社製品比率は同2.4ポイント上昇して87.5%となり、売上総利益率が改善して計画超の2桁増益だった。
売上総利益は同5.5%増加し、売上総利益率は71.2%で同0.5ポイント上昇した。販管費は同4.0%増加したが、販管費比率は57.2%で同0.4ポイント低下した。特別損失では固定資産除却損が減少(前々期3億24百万円、前期1億73百万円)した。ROEは9.6%で同2.4ポイント上昇した。自己資本比率は57.0%で同0.8ポイント上昇した。また配当は同1円増配の年間7円(期末一括)で配当性向は16.4%だった。
セグメント別(連結調整前)に見ると日本は売上高が同3.8%増の90億63百万円で営業利益が同7.0%増の10億62百万円、米国は売上高が同13.4%減の69億47百万円で営業利益が同29.4%減の4億94百万円だった。人工関節分野で米ODEV社製人工関節製品オベーションヒップシステム、骨接合材料分野ではMDMプリマヒップスクリューシステムが堅調だった。
製品別売上高は人工関節が同9.1%増の89億41百万円(国内が同9.3%増の44億79百万円、米国が同8.9%増の44億61百万円)、骨接合材料(国内)が同0.5%増の29億52百万円、脊椎固定器具が同5.0%減の14億04百万円(国内が同1.4%増の12億99百万円、米国が同46.6%減の1億04百万円)だった。人工骨(国内)は同2.1%増の1億14百万円、その他(国内)は同28.9%減の2億17百万円だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期32億29百万円、第2四半期31億67百万円、第3四半期35億05百万円、第4四半期37億28百万円で、営業利益は3億41百万円、5億20百万円、6億11百万円、4億37百万円だった。
■18年3月期も2桁増益・増配予想
今期(18年3月期)の連結業績予想(4月28日公表)は売上高が前期(17年3月期)比8.6%増の148億円、営業利益が同15.2%増の22億円、経常利益が同20.2%増の21億円、純利益が同15.0%増の13億円としている。配当予想は同1円増配の年間8円(期末一括)としている。連続増配予想で、予想配当性向は16.3%となる。
17年4月実施の償還価格段階引き下げや、北米市場における集中購買等による販売価格低下などの影響があるが、米ODEV社製の人工股間接製品オベーションヒップシステムや脊椎固定器具IBISスパイナルシステム、当社と米ODEV社が共同開発した骨接合材料製品MODEシリーズなど、主力製品の販売が引き続き好調に推移し、自社製品比率上昇も寄与して2桁増益予想である。なお想定為替レートは1米ドル=110円としている。
■中期計画の目標18年3月期ROE8.0%は17年3月期に前倒し達成
15年4月策定の新中期経営計画「MODE2017」では、経営指針を「成長領域への積極投資を通じ新たなステージへ成長を加速させる」として、顧客ニーズに対応した自社新製品開発強化、10品目以上の自社開発新製品群の継続的市場投入、整形外科領域周辺・隣接分野での調達力強化、製品ラインナップ強化、北米市場での販売拡大、自社製造能力(米ODEV社)拡大と製造コスト低減、品質管理強化、製造から販売・市販後まで一貫した安全管理体制整備などの施策を推進している。
経営目標数値としては18年3月期売上高160億円、営業利益20億円、経常利益18億円、ROE8.0%を掲げている。17年3月期にはROE目標値を前倒し達成した。そして18年3月期には利益目標を達成する見込みだ。高齢化社会到来の背景もあり、自社製品拡販が牽引して中期的に収益拡大基調が予想される。
■株価は自律調整一巡、好業績を評価して上値試す
株価の動きを見ると、5月17日の戻り高値911円から一旦反落したが、4月の年初来安値圏まで下押す動きは見られない。自律調整の範囲だろう。
6月9日の終値828円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS49円19銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.0%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS464円72銭で算出)は1.8倍近辺である。なお時価総額は約219億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線に接近して反発のタイミングのようだ。自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)