【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ソーバルは下値固め完了して出直り、今期増収増益見通しを評価して9月高値目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ソフト開発技術者派遣のソーバル<2186>(JQS)の株価は出直りの動きを強めている。9月の年初来高値1049円から急反落したが、820円~850円近辺で下値固めが完了し、11月28日と12月1日には900円台まで戻す場面があった。調整が一巡して強基調の形であり、今期(15年2月期)増収増益見通しや2%台後半の高配当利回りを評価して9月高値を目指す展開だろう。

 ソフト開発技術者分野のエンジニアリング事業(ソフトウェア・ハードウェアのエンジニア派遣および受託開発)、その他事業(RFID製品・システムの開発・販売など)を展開している。

 前期(14年2月期)の顧客別売上構成比はキヤノン<7751>グループ66.0%、ソニー<6758>グループ9.5%、富士通<6702>グループ8.6%、NTT<9432>グループ3.9%、その他12.0%で、優良な大口顧客を抱えていることが特徴だ。12年9月にオムロン<6645>向け主力のモバイルコンピューティングテクノロジーズ(現MCTEC)を子会社化するなど、M&Aも活用して顧客や分野の多様化を進めている。

 今期(15年2月期)の連結業績見通しについては前回予想(4月10日公表)を据え置いて売上高が前期比1.1%増の67億円、営業利益が同4.2%増の5億40百万円、経常利益が同5.9%増の5億47百万円、純利益が同5.9%増の3億20百万円、配当予想が配当性向35%を目標として同5円増配の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第2四半期累計(3月~8月)は前年同期比3.9%増収、同6.0%営業減益、同5.7%経常減益、同5.5%最終減益だった。本社移転費用計上が影響して営業減益だったが、主力のエンジニアリング技術者派遣需要が好調に推移して、業務ベースでは実質的に営業増益だった。その他事業のRFIDでは電波法改正に伴うソフトバンク<9984>関連の機器置き換え需要も寄与した。

 通期ベースでも主要顧客の研究開発関連プロジェクトなどに対する派遣需要が旺盛であり、新規顧客開拓も寄与して派遣稼働率が高水準に推移する。本社移転によって受託案件の作業効率化や各種ノウハウの共有化などの効果も寄与する。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が51.6%、営業利益が50.2%、経常利益が50.3%、純利益が49.7%と順調な水準であり、通期ベースで好業績が期待される。

 製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対する派遣・請負ニーズが一段と高まっている。派遣・請負会社としての人材確保が課題となるが、派遣単価の上昇も期待され、中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、第2四半期累計の営業減益を嫌気する形で9月29日の年初来高値1049円から急反落した。ただし820円~850円近辺で下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。11月28日と12月1日には900円台まで戻す場面があった。

 12月1日の終値897円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS73円57銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は2.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS559円59銭で算出)は1.6倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を続けて突破した。調整が一巡して強基調の形であり、今期増収増益見通しや2%台後半の高配当利回りを評価して9月高値を目指す展開だろう。

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