- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- マルマエは受注好調で17年8月期業績予想に3回目の増額余地
マルマエは受注好調で17年8月期業績予想に3回目の増額余地
- 2017/6/15 08:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東マ)は半導体・FPD製造装置に使用される真空部品などの精密切削加工事業を展開している。5月の受注残高も大幅増加し、17年8月期業績予想に3回目の増額余地がありそうだ。株価は上場来高値更新の展開だ。好業績を評価し、目先的な過熱感を冷ますための自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。
■真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開し、新規分野として光学装置・通信関連分野も強化している。
■ロボット分野への参入も推進
15年10月策定の新中期事業計画「Evolution2018」(16年8月期~18年8月期)では、経営数値目標として18年8月期連結売上高40億円、営業利益10億円(単体ベースで売上高30億円、営業利益7億円、M&Aで売上高10億円、営業利益3億円)を掲げている。
半導体分野は微細化投資の本格化に対応して、洗浄分野への参入やエッチング分野の試作強化を推進する。FPD分野は8Kなどで需要拡大が見込まれるため、自社における設備投資ではなく、協力企業の拡大によって需要変動に対応する。その他分野では自動車関連やロボット関連市場に参入し、生産余力の効率的活用と協力企業の拡大を図る。
半導体分野を成長ドライバーとする既存事業のブラッシュアップ、自社投資による生産能力増強に加えて、現業とのシナジー効果や半導体・FPD分野の需要変動に対するリスクヘッジとしてM&Aも活用する方針だ。
また15年12月鹿児島大学大学院理工学研究科との共同研究契約を締結した。リハビリ装置の研究開発と作業筋力補助ロボットの研究開発の2件について、早期の実用化を目指して共同研究する。市場ニーズの高さを考慮し、脳卒中の後遺症として腕や足に残る運動麻痺の改善を狙うリハビリ装置の製品化を先行し、腕の麻痺改善装置の開発を推進している。16年11月にはリハビリ装置(上肢の麻痺改善装置)の試作機が完成した。
株主還元は配当性向35%以上(順次向上)を目指している。また計画期間中に東証1部への市場変更を目指す方針だ。
■17年8月期第1四半期は減益だが、受注は大幅増
今期(17年8月期)第2四半期累計(9月~2月)の非連結業績は、売上高が前年同期比12.6%増の12億96百万円、営業利益が同4.0%増の2億77百万円、経常利益が同8.0%増の2億70百万円、純利益が同5.8%増の1億84百万円だった。
分野別の受注高は半導体分野が同94.7%増の10億09百万円、FPD分野が同10.4%減の4億18百万円、その他分野が同6.4%減の8百万円、合計が同44.4%増の14億36百万円で、分野別の売上高は半導体分野が同50.1%増の8億80百万円、FPD分野が同25.1%減の3億78百万円、その他分野が同62.0%減の16百万円、合計が同12.6%増の12億96百万円だった。
売上総利益は同9.6%増加し、売上総利益率は33.6%で同0.9ポイント低下した。販管費は同21.2%増加し、販管費比率は12.2%で同0.9ポイント上昇した。売上増に伴って材料費や外注加工費が増加し、需要拡大に対応した生産設備増強や流動的人材活用で減価償却費、労務費、研究開発費などが増加した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期6億18百万円、第2四半期6億78百万円、営業利益は1億12百万円、1億65百万円だった。四半期ベースでも収益拡大基調である。
■17年8月期大幅増収増益予想、さらに3回目の増額余地
今期(17年8月期)通期の非連結業績予想(5月11日に2回目の増額修正)は売上高が前期(16年8月期)比26.7%増の28億40百万円で、営業利益が同39.3%増の6億80百万円、経常利益が同44.1%増の6億60百万円、純利益が同24.0%増の4億50百万円としている。半導体分野とFPD分野の受注が好調に推移して3回目の増額余地がありそうだ。
なお月次受注残高(速報値)を見ると17年5月度は半導体分野が6億20百万円(前月比28.7%増加、前年同月比242.3%増加)、FPD分野が2億14百万円(前月比1.4%増加、前年同月比23.6%増加)、その他分野が24百万円(前月比216.6%増加、前年同月比91.2%増加)で、合計は8億59百万円(前月比22.6%増加、前年同月比133.9%増加)と好調が続いている。
半導体分野は出荷検収が高水準で推移したうえで受注も大幅に拡大した。今後もロジックの微細化投資と3D NANDの設備投資拡大で好調に推移する見込みだ。FPD分野は出荷検収・受注とも高水準である。今後も特にテレビ向け第10.5世代大型パネル関連の受注が拡大する見込みだ。
半導体分野の急激な需要増加に対応するため、設備投資計画を当初の約4億円から7億円近くまで増加させる計画に上積みしている。この結果、半導体分野およびFPD分野の生産能力(販売価格換算)は、協力企業を含んで前期末時点の月産2億円程度から直近では月産2.6億円程度まで増加している。さらに現在の投資計画が一段落する来期(18年8月期)第1四半期には月産3億円程度まで増加する見込みとしている。
配当予想は17年3月1日付で株式2分割を実施して第2四半期末8円、期末4円としている。株式2分割後に換算すると17年8月期は年間8円となり、16年8月期の年間7円50銭に対して50銭増配となる。予想配当性向は26.3%となる。
■株主優待制度は17年8月末から実施
株主優待制度は、毎年8月末日現在、6ヶ月以上継続して1単元(100株)以上(17年3月1日付株式2分割後)保有株主を対象として、クオカード1000円分を贈呈する。17年8月期末から実施する。
■株価は上場来高値更新の展開
株価の動き(17年3月1日付で株式2分割)を見ると上場来高値更新の展開だ。4月高値1098円を突破して上げ足を速める形となり、6月8日には1747円まで上伸した。その後は利益確定売りが一旦優勢になったが自律調整の範囲だろう。
6月14日の終値1379円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS42円71銭で算出)は32~33倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想に株式2分割を考慮した年間8円で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮したBPS92円90銭で算出)は15倍近辺である。時価総額は約154億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。高値圏で上ヒゲを付けたが、好業績を評価し、目先的な過熱感を冷ますための自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)