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ASIANSTARは下値固め完了して基調転換の動き、17年12月期大幅増益予想で収益改善を見直し
- 2017/6/15 08:18
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ASIANSTAR(エイシアンスター)<8946>(JQ)は不動産関連事業を展開している。17年12月期は第1四半期が黒字化し、通期も大幅増収増益予想である。株価は下値固め完了して基調転換の動きを強めている。収益改善を見直して戻りを試す展開が期待される。
■国内と中国で不動産事業を展開
15年4月、陽光都市開発からASIANSTAR(エイシアンスター)に商号変更し、不動産関連事業を展開している。収益は大型案件によって変動しやすい特性がある。
投資用マンション「グリフィンシリーズ」企画・販売事業を一旦縮小し、国内の不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへ事業構造を転換した。14年2月中国における不動産関連事業(サービスアパートメント運営管理事業、ワンルームマンション賃貸事業)へ進出した。
なお16年5月に資本提携先を変更し、上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携契約を締結した。
■中国でワンルーム賃貸事業を推進
中国における不動産関連事業では、14年2月香港柏雅および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)などベルグラビアグループ3社を連結子会社化した。このうち上海柏雅投資管理を14年6月売却し、14年7月香港柏雅の子会社として陽光智寓(香港)を設立、14年12月陽光智寓(香港)が上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立した。
15年8月柏雅酒店管理(上海)と東急不動産上海が、合弁会社の上海雅東企業発展有限公司を設立(柏雅酒店管理の出資比率55%)した。両社の強みを融合したサービスアパートメント運営管理事業を展開する。
■国内ではリゾート開発事業も推進
15年2月リゾート開発事業を発表した。日本国内で約70ヶ所合計約46万坪の事業用地を取得し、宅地造成後に住宅用建物を建設してセカンドハウスなどとして販売する事業、概ね10年を目途に別荘地として区画分譲する事業、開発や区画分譲を開始するまでの期間を固定資産として賃貸する事業である。
その後、別荘地としての土地区画販売については16年5月までに約27千平方メートルを販売して76百万円の売上を計上した。セカンドハウスなどとして販売する事業については白浜事業用地(和歌山県白浜市)を第1段事業と定め、タイムシェア型商品を開発して主に中国の投資家に販売する計画を策定した。
16年12月には、リゾート事業運営を行う目的で設立した連結子会社の合同会社TYインベスターズの出資持分全てを、上海兆世信息科技有限公司に譲渡した。今後は当社自体がリゾート開発事業を推進し、白浜事業用地に次ぐ第2段事業用地の選定等を行っていくとしている。
■中期経営計画で18年12月期営業利益4億円目指す
中期経営計画(17年12月期~18年12月期)では、資本提携先である上海徳威企業との協業、および収益不動産の仕入・販売体制をさらに強化することにより、不動産販売事業を拡大するとしている。さらに不動産販売事業と不動産管理事業のシナジー効果が見込めるインバウンド関連の新規事業(インバウンド戦略)を開始することで、グループとしての収益力向上を目指す。
収益不動産の仕入・販売体制の構築では、積極的な人材の獲得・育成、1棟マンションから区分所有マンションまで収益不動産の商品構成多様化、直接金融を含む多様な資金調達を推進する。上海徳威企業との協業では、インバウンド戦略を活用した新規顧客の獲得、上海徳威企業他と合弁で新設する中国投資家向け不動産販売会社との提携強化を推進する。
経営目標数値には、17年12月期売上高35億円、営業利益2億50百万円、純利益2億円、ROE9.2%、18年12月期売上高50億円、営業利益4億円、純利益3億円、ROE12.2%を掲げている。収益基盤および財務基盤を強固にすることで、配当の再開および株主優待の実施など将来の株主還元に繋げるとしている。
■17年12月期第1四半期黒字化
今期(17年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比57.4%増の4億62百万円、営業利益が30百万円の黒字(前年同期は2百万円の赤字)、経常利益が14百万円の黒字(同21百万円の赤字)、純利益が4百万円の黒字(同21百万円の赤字)だった。
不動産管理事業で中国におけるサービスアパートメント管理のプロジェクトが1件終了したが、不動産販売事業において戸建販売が順調に推移し、不動産賃貸事業における保有収益物件の増加や中国におけるワンルームマンション賃貸の拡大も寄与して大幅増収となり、各利益とも黒字化した。
■17年12月期大幅増収増益予想で収益改善期待
今期(17年12月期)通期の連結業績予想(2月16日公表)は、売上高が前期(16年12月期)比2.6倍の36億33百万円、営業利益が同43倍の2億59百万円、経常利益が2億44百万円の黒字(前期は3百万円の赤字)、そして純利益が同21.1%増の2億05百万円としている。配当は無配を継続する。
不動産販売事業では横浜エリアを中心とした戸建販売戸数の増加および都内収益不動産の販売を図り、不動産仲介事業では投資用物件の積極的な斡旋により収益獲得を目指すとしている。通期ベースでも収益改善が期待される。
■株価は下値固め完了して基調転換の動き
株価の動きを見ると、4月13日の年初来安値136円から切り返し、6月8日には173円まで上伸した。下値固めが完了したようだ。
6月14日の終値165円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円44銭で算出)は14~15倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS116円22銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約30億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線を突破した。下値固めが完了して基調転換した形だ。収益改善を見直して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)