カナモトは年初来高値更新の展開、17年10月期第2四半期累計が計画超の2桁増収増益で通期予想に再増額余地

 カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。M&Aも積極活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を推進している。さらに長期ビジョンでは海外展開を成長エンジンと位置付けている。17年10月期第2四半期累計は計画超の2桁増収増益だった。通期も2桁増益予想である。そして再増額余地がありそうだ。株価は好業績を評価して年初来高値更新の展開だ。14年9月の上場来高値を目指す展開が期待される。

■建設機械レンタルの大手

 建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタルなども展開している。M&Aも積極活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。

 12年6月道路建機レンタルと道路工事施工のユナイトを子会社化、15年7月小型建設機械レンタルの有限会社ヱーワ商会の全株式取得(非連結子会社)、15年11月名岐エンジニアリングおよび東友エンジニアリングで構成されるグループと業務提携、16年3月建設機械レンタル事業および福祉介護用品レンタル事業のニシケンを子会社化した。
 また17年5月千葉県千葉市に関東高所作業車センター、17年6月長野県下伊那郡に飯田営業所、静岡県富士市に富士営業所を開設した。これにより全国営業拠点数は186拠点、グループ合計465拠点となった。

 なお収益面では公共工事の影響を受けやすい特性がある。配当政策については事業環境に関わらず一定の配当を安定して行い、業績に応じて利益還元を加えていきたいとしている。そのうえで、財務体質の強化と将来の積極的事業展開に必要な内部留保の充実を図ることを基本方針としている。

■17年10月期ROE10%以上目標、成長エンジンとして海外展開強化

 14年9月策定の新長期ビジョンおよび中期経営計画では、55期の19年を見据えたグループの目指す姿を新長期ビジョン「BULL55」として示し、実行計画である3ヵ年中期経営計画「BULL53」では目標数値として17年10月期売上高1500億円、営業利益190億円、ROA5.0%以上、ROE10%以上などを掲げた。

 新長期ビジョン「BULL55」では海外展開強化を今後の成長エンジンと位置付けている。そして15年1月インドネシア現地法人が営業開始、15年6月ベトナム現地パートナー企業との合弁会社が営業開始、15年7月タイ現地パートナー企業との合弁会社が営業開始、16年3月フィリピン現地パートナー企業との合弁会社が営業開始した。

■17年10月期第2四半期累計は2桁増収増益

 今期(17年10月期)第2四半期累計(11月~4月)の連結業績は、売上高が前年同期比15.4%増の792億10百万円、営業利益が同16.1%増の99億93百万円、経常利益が同24.2%増の102億42百万円、純利益が同30.2%増の64億68百万円だった。

 計画に対して売上高は22億円、営業利益は15億80百万円、経常利益は20億50百万円、純利益は15億10百万円、それぞれ上回った。大都市圏における再開発事業など民間建設投資が堅調に推移し、公共投資も防災・減災分野や社会資本の老朽化に対応する維持・更新需要が底堅く推移した。ニシケンの通期連結(16年10月期は第3四半期から連結)も寄与した。利益面では既存資産の再配置による効率化など総合的なコスト削減効果も寄与して計画超の2桁増収増益だった。

 売上総利益は同19.9%増加し、売上総利益率は32.2%で同1.2ポイント上昇した。販管費は同22.5%増加し、販管費比率は19.6%で同1.2ポイント上昇した。営業外収益では為替差損益が改善(前年同期は差損1億98百万円、今期は差益1億22百万円)した。

 セグメント別に見ると、建設関連は売上高が同12.1%増の720億99百万円で営業利益(連結調整前)が同12.2%増の92億59百万円だった。中古建機販売は同2.5%減少した。その他は売上高が同64.2%増の71億10百万円で営業利益が同3.5倍の5億34百万円だった。ニシケンの福祉関連事業が寄与した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期389億37百万円、第2四半期402億73百万円、営業利益は44億90百万円、55億03百万円だった。

■17年10月期通期は増額して2桁増益・連続増配予想

 今期(17年10月期)通期の連結業績予想は6月2日に売上高、利益とも増額修正した。前回予想(12月9日公表)に対して売上高を28億円、営業利益を13億10百万円、経常利益を17億80百万円、純利益を12億70百万円、それぞれ増額した。

 修正後の通期予想は、売上高が前期(16年10月期)比7.5%増の1558億円、営業利益が同13.2%増の171億30百万円、経常利益が同20.5%増の173億60百万円、純利益が同32.5%増の107億30百万円としている。

 配当予想は前回予想(12月9日公表)を据え置き、同5円増配の年間50円(第2四半期末15円、期末35円)としている。連続増配で予想配当性向は16.5%となる。

 北海道の新幹線延伸工事や豪雨災害復旧・復興工事、東北地方の震災復興工事、首都圏での20年東京五輪に向けたインフラ関連工事、その他民間の首都圏再開発プロジェクト、熊本をはじめとする各地での地震災害に対する復旧・復興工事などで建設機械レンタル需要が堅調に推移する。また首都圏等の大都市圏や関東以西の未出店エリアへの拠点展開で国内営業基盤の拡充・拡大を図る。海外も現地パートナー企業との連携で拠点拡充を積極推進する。ニシケンの通期連結も寄与して増収基調に変化はなく、減価償却負担を吸収して増益予想だ。

 なお第2四半期累計の超過達成額に対して下期を減額した形になるが、通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高50.8%、営業利益58.3%、経常利益59.0%、純利益60.2%と順調である。通期会社予想に再増額余地がありそうだ。

■中期的に事業環境良好

 震災復興関連工事、激甚災害現場復旧工事、防災・減災・耐震化関連工事、老朽化インフラ補修・更新関連工事、都市再開発関連工事などが活発であり、リニア新幹線関連工事や20年東京夏季五輪関連工事も本格化する。中期的に良好な事業環境に変化はなく、建設機械レンタル需要は高水準で推移することが予想される。

■株価は年初来高値更新の展開、14年9月高値目指す

 株価の動きを見ると、3000円近辺でのモミ合いから上放れて年初来高値更新の展開だ。6月15日には3870円まで上伸した。好業績を評価する動きだ。

 6月16日の終値3800円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS303円63銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2169円93銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約1372億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が上向きに転じてサポートラインとなりそうだ。好業績を評価して14年9月の上場来高値4905円を目指す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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