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山下医科器械は調整一巡して反発期待、18年5月期は収益改善期待
- 2017/6/20 06:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
山下医科器械<3022>(東1)は九州を地盤とする医療機器専門商社で、福岡県での市場シェア拡大を重点戦略としている。17年5月期は大型設備案件の減少で減益予想だが、18年5月期は収益改善が期待される。なお17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスに移行予定である。株価は調整一巡して反発が期待される。
■九州を地盤とする医療機器専門商社、17年12月純粋持株会社へ移行予定
九州を地盤とする医療機器専門商社である。医療機器の販売・メンテナンスおよび医療材料・消耗品などの販売を主力として、子会社イーピーメディックは整形インプラントを製造販売している。
16年5月期の事業別売上高構成比は医療機器販売業98.9%、医療モール事業0.1%、その他(整形外科用インプラント)0.9%である。中期成長に向けて九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略としている。
収益面では医療機関の設備投資関連で、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。利益還元については安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。
医療機関向けSPD(病院医療材料管理業務)契約施設数増加に対応し、13年7月福岡SPDセンター(福岡市)を新設して鳥栖SPDセンター(鳥栖市)との2拠点体制とした。16年9月には長崎TMSセンター(諫早市)が稼働し、物流センター2拠点、SPDセンター3拠点体制となった。17年6月には医療機器販売のトムス(広島県)の株式を100%取得して子会社化した。
またパナソニックヘルスケアとの合弁会社パナソニックメディコム九州(当社出資比率49%)は、電子カルテやレセコンなどのメディコム製品および関連機器の販売・サービスを展開している。
なお17年5月に純粋持株会社への移行を発表した。単独株式移転により、17年12月1日付(予定)で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスに移行する。当社株式は上場廃止(17年11月28日予定)となり、純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスが新規上場(17年12月1日予定)する。
■17年5月期第3四半期累計は大型案件減少で営業赤字
前期(17年5月期)第3四半期累計(6月~2月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.9%増の371億04百万円、営業利益が1百万円の赤字(前年同期は2億57百万円の黒字)、経常利益が同85.3%減の43百万円、純利益が1億41百万円の赤字(同1億78百万円の黒字)だった。
一般消耗品分野は堅調だが大型設備案件減少に伴う一般機器分野の売上減少が影響して営業赤字だった。売上総利益は同1.9%減少し、売上総利益率は10.9%で同0.3ポイント低下した。販管費は同4.6%増加し、販管費比率は10.9%で同0.4ポイント上昇した。長崎TMSセンター稼働に伴う消耗品費等の増加や売掛金に対する貸倒引当金の発生(14百万円)などが影響した。特別損失では減損損失1億19百万円、および投資有価証券評価損29百万円を計上した。
セグメント別(連結調整前)に見ると、医療機器販売事業は売上高が同0.8%増の368億25百万円で営業利益が同51.0%減の3億40百万円、医療モール事業は売上高が同0.7%増の55百万円で営業利益が同25.3%減の5百万円だった。
医療機器販売業の売上高の内訳は、一般機器分野が11.7%減の57億86百万円、一般消耗品分野が3.7%増の149億86百万円、低侵襲治療分野が5.5%増の100億28百万円、専門分野が0.9%増の48億35百万円、情報・サービス分野が2.4%減の11億88百万円だった。一般機器分野は大型設備案件減少で手術室関連機器や画像診断機器などが減少した。一般消耗品分野はSPD契約施設の売上が増加、低侵襲治療分野は心臓循環器消耗品や内視鏡手術備品などが増加、専門分野は理化学備品の売上が増加した。情報・サービス分野は医療ガス設備工事の受注が減少した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期118億68百万円、第2四半期124億71百万円、第3四半期127億65百万円、営業利益は36百万円の赤字、42百万円の黒字、7百万円の赤字だった。
■17年5月期減益予想だが18年5月期は設備需要回復して収益改善期待
前期(17年5月期)通期の連結業績予想(3月28日に減額修正)は、売上高が前々期(16年5月期)比微増の516億36百万円、営業利益が同83.2%減の98百万円、経常利益が同75.5%減の1億55百万円、純利益が25百万円の赤字(16年5月期は3億32百万円の黒字)としている。配当予想(3月28日に減額修正)は同40円減配の年間10円(期末一括)としている。
一般消耗品分野、低侵襲治療分野、専門分野は計画水準だが、病院の建て替え等の大型設備案件が想定より少なく、一般機器分野と情報・サービス分野の売上が計画を下回る。利益面では、長崎TMSセンター稼働に伴う一時費用の増加、売掛金に対する貸倒引当金の発生、特別損失での減損損失および投資有価証券評価損計上も影響する。
なお病床機能の分化・連携や在宅医療・在宅介護の推進によって需要増加が見込まれる介護分野の事業展開を図るため、ヘルスケア事業推進部を新設した。同部署では今後、当社グループが出資している国内の新興企業が開発する介護関連製品の取り扱いを予定している。また電子カルテ等の普及拡大が見込まれるため、MIT推進部を強化してシェア拡大を推進している。さらに整形分野における子会社事業の強化、循環器事業の拡大、医療モール事業の収益向上にも取り組んでいる。今期(18年5月期)は設備需要回復して収益改善が期待される。
■中期経営計画で18年5月期売上高580億円目標
15年7月策定の新中期経営計画では基本戦略として、さらなる基盤事業の強化と推進体制の構築、地域医療構想に即した新規事業の創出、グループ統制とガバナンス強化に即した経営体制の刷新、積極的な人材確保と教育、コンプライアンス・内部統制の徹底と経営理念経営を推進している。
経営目標数値には、18年5月期の売上高580億円、経常利益8億50百万円を掲げている。中期的に収益拡大基調が期待される。
■株主優待制度は11月末と5月末の年2回実施
株主優待制度は、毎年11月30日および5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は100株~999株保有株主に対して500円相当のクオカード、1000株~1999株保有株主に対して1000円相当のクオカード、2000株以上保有株主に対して1500円相当のクオカードを贈呈する。
■株価は調整一巡して反発期待
株価の動きを見ると1700円~1800円近辺でモミ合う展開だ。6月2日に急落する場面があったが素早く切り返している。そして調整一巡感を強めている。
6月19日の終値1732円を指標面で見ると、前期推定配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は0.6%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2391円34銭で算出)は0.7倍近辺である。時価総額は約44億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、0.7倍近辺の低PBRも見直し材料であり、調整一巡して反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)