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うかいは年初来高値圏で堅調、18年3月期減益予想だが既存店売上好調で上振れ余地
- 2017/6/21 06:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
うかい<7621>(JQ)は飲食事業(高級和食・洋食料理店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。18年3月期は事業拡大に向けた人材確保や新店開業費用などで減益予想だが、既存店売上が好調に推移して上振れ余地がありそうだ。株価は年初来高値圏で堅調だ。上値を試す展開が期待される。
■高級和食・洋食料理店が主力
飲食事業(高級和食・洋食料理店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。17年3月期売上高構成比は飲食事業90%(和食46%、洋食42%、物販3%)、文化事業10%である。収益面では第3四半期の構成比が高い特性がある。
中長期成長戦略として、既存店の研鑽、新たな魅力の創造、商圏の拡大、新店・新業態への挑戦という4つのテーマに取り組んでいる。
17年2月には新業態店舗「ル・プーレ ブラッスリーうかい」をオープンした。さらに洋菓子店「アトリエうかい」を2017年秋開業予定の調布駅直結の商業施設「トリエ京王調布」A館1Fにオープン予定である。
海外については13年5月、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定した。17年夏開業予定である。
■17年3月期は箱根火山活動の影響が一巡して大幅増益
前期(17年3月期)の非連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比4.2%増の125億72百万円で、営業利益が同2.8倍の4億54百万円、経常利益が同3.2倍の4億15百万円、純利益が2億40百万円(前々期は1億29百万円の赤字)だった。
飲食事業が概ね順調に推移し、文化事業における箱根大涌谷周辺の火山噴火活動の影響一巡も寄与して大幅増益だった。売上総利益は同6.3%増加し、売上総利益率は54.1%で同1.0ポイント上昇した。販管費は同1.8%増加にとどまり、販管費比率は50.5%で同1.2ポイント低下した。特別損失では前々期計上の減損損失1億76百万円が一巡した。
ROEは5.1%で同7.9ポイント上昇、自己資本比率は45.1%で同1.9ポイント上昇した。配当は同3円増配の年間18円(期末一括)とした。配当性向は38.7%である。
セグメント別に見ると、飲食事業は売上高が同2.1%増の113億44百万円で営業利益(連結調整前)が同9.3%増の13億04百万円だった。定休日導入店舗を増やした影響や天候不順の影響で客数が減少したが、メニュー内容や価格の見直しなどの効果で客単価が上昇し、店舗での土産品販売も寄与した。売上高の内訳は和食が同0.9%増の57億59百万円、洋食が同0.7%増の52億47百万円、物販が同70.4%増の3億37百万円だった。
文化事業は売上高が同28.1%増の12億28百万円で営業利益が1億21百万円の黒字(前々期は76百万円の赤字)だった。箱根大涌谷周辺の火山噴火活動の影響が一巡し、来館者数がほぼ例年並みに回復している。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期31億26百万円、第2四半期30億10百万円、第3四半期35億59百万円、第4四半期28億77百万円、営業利益は1億21百万円、2百万円の赤字、3億92百万円、57百万円の赤字だった。
■18年3月期減益予想だが既存店売上好調で上振れ余地
今期(18年3月期)非連結業績予想(5月18日公表)は売上高が前期(17年3月期)比2.6%増の129億円、営業利益が同41.5%減の2億66百万円、経常利益が同45.8%減の2億25百万円、純利益が同52.2%減の1億15百万円としている。配当予想は前期と同額の年間18円(期末一括)で、予想配当性向は80.9%となる。
17年2月オープンの新業態店舗「ル・プーレ ブラッスリーうかい」や物販の新規出店も寄与して増収だが、事業拡大に向けた人材確保や新店開業費用などで減益予想としている。
飲食事業月次売上状況(アトリエうかい店頭販売含む)を見ると、17年4月は全店106.2%、既存店105.0%、5月は全店104.5%、5月103.4%と好調に推移している。5月の既存店客数は99.8%とマイナスに転じたが、既存店の客単価は15年5月から連続して前年比プラスと上昇が続いている。既存店の好調で今期(18年3月期)業績予想に上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年9月末に実施
株主優待制度は毎年9月中間期末時点の株主を対象として実施している。優待内容は(1)100株以上所有株主に対して箱根ガラスの森株主様限定お食事付ご入場招待券5枚(1万5000円相当)、(2)所有株式数に応じた「株主様ご優待券」または「うかい特選牛」を贈呈する。
■株価は年初来高値圏で堅調、フシ突破すれば上げ足速める可能性
株価の動きを見ると、やや小動きだが年初来高値圏2950円~3000円近辺で堅調に推移している。
6月20日の終値2985円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS22円24銭で算出)は134倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS923円97銭で算出)は3.2倍近辺である。時価総額は約156億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドである。上値を試す展開が期待され、3000円近辺のフシを突破すれば上げ足を速める可能性がありそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)