【株式評論家の視点】荒川化学は液晶ディスプレイ用のコーティング剤などを開発、昨年4月から第4次中期計画が進行

株式評論家の視点

 荒川化学<4968>(東1)は、製紙薬品事業、コーティング事業、粘接着事業、機能性材料事業とその他事業を行っている。世界でオンリーワンの超淡色ロジンを開発するなど、コア技術の強化に注力するとともに、液晶ディスプレイ用のコーティング剤などを開発し、電子材料関連分野の事業にも注力する一方で、中国をはじめとするアジアや欧米を中心に生産拠点、販売拠点を設け、グローバル展開している。2016年4月から第4次中期5か年経営計画が進行。水素化石油樹脂の共同事業化検討や機能性コーティング材料の事業譲受など、事業拡大や事業開発の促進に注力している。

 製紙薬品事業では、サイズ剤、紙力増強剤、塗工紙用薬品等の製造・販売。コーティング事業では、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、合成ゴム重合用乳化剤、光硬化型樹脂等の製造・販売。粘接着事業では、粘着・接着剤用樹脂、超淡色ロジン等の製造・販売。機能性材料事業では、電子材料用配合製品、機能性フヴインケミカル製品、精密研磨剤、精密部品洗浄剤および洗浄装置等の製造・販売。その他事業では、損害保険、不動産仲介等を行っている。

 今2018年3月期第2四半期業績予想は、売上高385億円(前年同期比1.5%増)、営業利益24億円(同6.0%減)、経常利益25億円(同0.9%減)、純利益17億円(同0.4%減)を見込む。

 今18年3月期業績予想は、売上高780億円(前期比0.8%増)、営業利益47億5000万円(同6.8%減)、経常利益49億円(同7.8%減)、純利益32億円(同6.3%減)を見込む。配当性向については、30%程度を目処に安定的な配当水準の維持し、年間配当予想は、38円(第2四半期末19円、期末19円)継続を予定している。

 株価は、3月10日につけた上場来の高値2200円から4月13日に年初来の安値1787円まで調整を挟んで5月8日高値2108円と上昇した後、2000円を軸にモミ合っていたが、6月16日に産業技術総合研究所(産総研)先進コーティング技術研究センターと共同で、エアロゾルデポジション法(AD法)によるプラスチック基材への低温・低圧でセラミック膜をコーティングする新手法を開発したとの発表を手掛かりに、同日高値2098円と買い直される場面も見られている。中期計画の最終年度となる21年3月期売上高1000億円、営業利益58億円、経常利益60億円、純利益37億円、ROE6.5%以上の数値目標を掲げており、中長期的な成長持続は期待される。前期業績については上方修正していた経緯があり、今期計画は保守的との印象はある。今期予想PER13倍台・PBR0.85倍と割安感があり、25日移動平均線がサポートラインとなっており、押し目買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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