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立花エレテックは年初来高値圏で堅調、18年3月期横ばい予想だが上振れ余地、割安感も見直して15年高値試す
- 2017/6/23 06:35
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
立花エレテック<8159>(東1)は産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。18年3月期連結業績は横ばい予想だが、保守的な印象が強く上振れ余地があるだろう。また連続増配で、18年3月期末から株主優待制度を導入する。株価は年初来高値圏で堅調だ。指標面の割安感も見直して15年3月高値を試す展開が期待される。
■産業用機器・電子部品を扱う技術商社
産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。仕入先は三菱電機<6503>および三菱電機グループが合計で約7割を占めている。
M&Aも積極活用して業容を拡大している。10年FA機器専門商社の大電社を連結子会社化、12年FA機器専門商社の高木商会を持分法適用会社化、13年子会社立花デバイスコンポーネント設立してルネサスエレクトロニクス販売からコンポーネント事業と半導体製品再販事業を譲り受け、14年高木商会を完全子会社化した。海外は子会社8社合計14拠点で中国および東南アジアに展開している。
事業セグメントは18年3月期から変更し、FAシステム事業(FA機器、FAシステムソリューション、産業メカトロニクス、産業デバイスコンポーネント)、半導体デバイス事業(半導体、電子デバイス)、施設事業(空調機器、LED照明、太陽光発電システム、昇降機)、その他(MS事業・他)とする。MS(マニュファクチャリング・サービス)事業は、金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。
17年3月期のセグメント別売上高構成比(18年3月期からの新セグメントに組み替え後)は、FAシステム事業59%(FA機器39%、FAシステムソリューション9%、産業メカトロニクス4%、産業デバイスコンポーネント7%)、半導体デバイス事業30%、施設事業9%、その他4%である。海外事業売上比率は13.9%である。
収益面では全体として企業の設備投資動向が影響し、第2四半期(7~9月)および第4四半期(1~3月)の構成比が高くなる季節特性もある。
■2021年の創立100周年に向けて連結売上高2200億円目指す
技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善を推進している。
16年3月期を初年度とする6ヶ年中長期経営計画「C.C.J2200」では、2021年の創立100周年を見据えて確固たる基盤を持った電機・電子の一大技術商社を目指し、目標数値に21年3月期の連結売上高2200億円(単体1400億円、国内子会社460億円、海外子会社440億円、消去100億円)、連結営業利益75億円を掲げている。
その他の目標値としては、21年3月期末従業員数1530人、6年間の総投資額87億円(人件費の累計)、21年3月期ROE8%以上を掲げている。基本戦略および事業戦略の推進のため人材採用・確保を強化する。営業面では東京・名古屋の市場開拓、自社保有技術の蓄積によるシステムソリューションビジネスを強化する。
■17年3月期は営業減益
前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比1.2%減の1602億18百万円、営業利益が同7.9%減の51億72百万円、経常利益が同6.9%減の53億41百万円、純利益が同4.8%増の38億93百万円だった。
メモリーカードや液晶パネルの減少、円高による海外子会社の為替換算影響などで減収となり、利益面では人件費の増加など先行投資負担も影響して営業減益だった。ただし半導体・液晶製造装置関連、発電設備関連、マイコン、民生用パワーモジュール、自動車関連ロジックIC、昇降機、無停電電源装置などの需要は高水準だった。売上総利益は同1.3%減少したが、売上総利益率は13.3%で同横ばいだった。販管費は同1.0%増加し、販管費比率は10.0%で同0.2ポイント上昇した。
純利益は投資有価証券売却益2億79百万円を計上したため増益だった。ROEは6.8%で同横ばい、自己資本比率は57.3%で同1.5ポイント上昇した。配当は同2円増配の年間28円(第2四半期末13円、期末15円)とした。配当性向は18.2%である。
四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期343億94百万円、第2四半期416億38百万円、第3四半期375億66百万円、第4四半期466億20百万円、営業利益は6億88百万円、15億62百万円、12億26百万円、16億96百万円だった。
■18年3月期横ばい予想だが保守的な印象
今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比3.0%増の1650億円、営業利益が同0.5%増の52億円、経常利益が同1.1%増の54億円、純利益が同5.0%減の37億円としている。
セグメント別売上高の計画は、FAシステム事業が同3.7%増の972億円(FA機器が同3.3%増の640億円、FAシステムソリューションが同4.7%増の148億円、産業メカトロニクスが同10.1%増の70億円、産業デバイスコンポーネントが同1.1%増の114億円)、半導体デバイス事業が同1.2%増の482億円、施設事業が同8.2%増の153億円、その他が同8.4%減の43億円としている。
配当予想は同4円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で、予想配当性向は21.8%となる。売上高、利益ともほぼ横ばい予想だが、保守的な印象も強く上振れ余地があるだろう。
■株主優待制度を18年3月期末から実施
なお株主優待制度を18年3月期末から実施する。毎年3月31日現在の100株(1単元)以上保有株主を対象として、継続保有期間および保有株式数に応じてクオカードを贈呈する。
■株価は年初来高値圏で堅調、割安感も見直して15年3月高値試す
株価の動きを見ると、5月15日に年初来高値1581円まで急伸し、その後も年初来高値圏で堅調に推している。そして6月22日には戻り高値となる1539円まで上伸した。自律調整が一巡したようだ。
6月22日の終値1537円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円60銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2361円12銭で算出)は0.7倍近辺である。時価総額は約400億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。指標面の割安感も見直して15年3月高値1600円を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)