【アナリスト水田雅展の銘柄分析】新日本建物は第3四半期累計の赤字に対するネガティブ反応は限定的、収益改善基調を評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

マンション・戸建販売の新日本建物<8893>(JQS)は、2月6日に第3四半期累計(4月~12月)業績を発表した。流動化事業の販売がなく大幅減収で赤字だったが、15年3月期の見通しを据え置いた。株価のネガティブ反応は限定的だ。14年10月安値36円をボトムとして着実に下値を切り上げており、収益改善基調を評価して出直り展開だろう。

首都圏地盤の不動産デベロッパーで、流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。

10年11月に提出した事業再生計画に基づいて、マンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んでいる。そして前期(14年3月期)は事業再生計画決定後3期連続の最終黒字を達成し、前期末の自己資本比率は27.5%まで改善した。

2月6日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比37.5%減の46億22百万円、営業利益が2億15百万円の赤字(前年同期は2億38百万円の黒字)、経常利益が3億06百万円の赤字(同76百万円の黒字)、純利益が2億73百万円の赤字(同73百万円の黒字)だった。流動化事業の販売が0件だったことなどが影響した。

セグメント別に見ると、流動化事業は販売が0件(前年同期は5件で26億98百万円の売上高と2億40百万円の営業利益を計上)だった。マンション販売事業は、販売戸数が同33戸減の46戸、売上高が同37.2%減の17億31百万円、営業利益(全社費用等調整前)が32百万円の赤字(同70百万円の黒字)だった。

戸建販売事業は、宅地分譲を含む販売棟数が同8棟増の75棟、売上高が同50.7%増の28億77百万円だが、建築コスト上昇などが影響して営業利益が同42.8%減の1億20百万円だった。その他は売上高が12百万円、営業利益が9百万円だった。

通期の業績(非連結)見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて、売上高が前期比14.4%増の123億円、営業利益が同1.2%増の6億70百万円、経常利益が同7.5%減の4億05百万円、純利益が同7.5%減の4億円としている。

第3四半期累計は大幅減収で赤字だったが、売上総利益率は16.0%で前年同期の16.1%から0.1ポイントの低下にとどまっている。収益改善は着実に進展している。第4四半期(1月~3月)には流動化事業の販売も予定しているもようであり、通期ベースでの収益改善が期待される。

株価の動きを見ると、12月8日に60円、1月27日と28日に55円まで上伸する場面があったが、買いが続かずやや上値の重い展開だ。ただし2月6日発表の第3四半期累計業績に対するネガティブ反応は限定的だった。そして14年10月安値36円をボトムとして11月安値39円、12月安値41円、15年1月安値42円と着実に下値を切り上げている。収益改善基調を評価する動きだろう。

2月12日の終値48円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS4円02銭で算出)は11~12倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS15円98銭で算出)は3.0倍近辺である。

週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。強基調に転換した可能性があり、収益改善基調を評価して出直り展開だろう。

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