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協立情報通信は下値固め完了感、18年2月期増収・2桁増益予想で割安感も見直してモミ合い上放れ期待
- 2017/6/23 06:27
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
協立情報通信<3670>(JQ)は法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開している。18年2月期増収・2桁増益予想で、中期的にも企業のICT投資需要は高水準推移が予想される。株価は下値固め完了感を強めている。指標面の割安感も見直してモミ合い上放れの展開が期待される。なお7月13日に第1四半期決算発表を予定している。
■法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開
法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)と、モバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。17年2月期セグメント別売上高構成比はソリューション事業32%、モバイル事業68%である。
企業のICT(情報通信技術)化実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信システムの構築から導入・保守・運用・教育までを提供するソリューション企業である。
ソリューション事業は、情報通信システムソリューションでNECのPBX(構内交換機)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向け中心に情報インフラ、情報コンテンツおよび情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションをワンストップサービスで提供している。また常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」で、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。
モバイル事はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。
■第1四半期の構成比が高い収益特性
収益面では、ソリューション事業が企業のICT投資関連のため、3月期決算企業の年度末にあたる第1四半期(3月~5月)の構成比が高くなる特性がある。またソリューション事業の神奈川協立情報通信が17年3月事業開始し、17年2月期第4四半期(12~2月)から連結決算に移行した。
利益還元については、継続的かつ安定的な配当を年1回(期末)実施することを基本方針としている。配当水準については、配当性向30~40%程度を目途に、業績に連動させて適正な配当を行うとともに、万一業績が悪化したとしても一定の水準を維持していきたいとしている。
■17年2月期は実質減収減益
前期(17年2月期、第4四半期から連結決算に移行)連結業績は、売上高が58億01百万円、営業利益が2億32百万円、経常利益が2億37百万円、純利益が1億45百万円で、前々期(16年2月期)の非連結業績との比較では6.1%減収、31.3%営業減益、31.2%経常減益、25.4%最終減益だった。ソリューション事業において大型案件が一巡し、モバイル事業が苦戦した。
売上総利益は同7.7%減少し、売上総利益率は30.1%で同0.5ポイント低下した。販管費は同2.5%減少したが、販管費比率は26.1%で同1.0ポイント上昇した。人件費は減少したが「ドコモ光」ヘルパーなどの派遣費用が増加した。ROEは11.4%で同6.0ポイント低下、自己資本比率は53.1%で同4.0ポイント上昇した。配当は前々期と同額の年間50円(期末一括)とした。配当性向は41.1%である。
セグメント別に見ると、ソリューション事業は売上高が同9.8%減の18億34百万円、営業利益が同19.7%減の2億56百万円、受注高が同8.2%減の9億73百万円だった。中小型PBXリプレース案件は堅調だが、マイナンバー対応をきっかけとした大型案件や基幹システムバージョンアップの大型案件が減少した。ただし第4四半期(12月~2月)の受注高は2億97百万円で、前年同期比40.8%増、前四半期比35.0%増と回復傾向を強めている。
モバイル事業は売上高が同4.4%減の39億67百万円、営業利益が23百万円の赤字(前々期は18百万円の黒字)だった。総務省「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」に沿って「実質0円販売」を終了したことに伴う来店客数減少傾向が続いた。特に都内2店舗が苦戦した。16年9月のiPhone7発売で販売台数は回復傾向だが粗利益率が低下し、インセンティブ減額や「ドコモ光」ヘルパー派遣費用の増加も影響した。携帯電話総販売台数は同1.8%減の4万2352台だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期16億32百万円、第2四半期13億47百万円、第3四半期13億74百万円、第4四半期14億47百万円、営業利益は91百万円、51百万円、6百万円、83百万円だった。第4四半期が前年同期との比較で営業増益となり、営業利益率も5.7%に回復したことを考慮すれば、第3四半期が収益のボトムになった可能性がありそうだ。
■18年2月期は増収・2桁増益予想で収益改善
今期(18年2月期)の連結業績予想(4月13日公表)は、売上高が前期(17年2月期)比6.4%増の61億70百万円、営業利益が同19.7%増の2億78百万円、経常利益が同19.2%増の2億83百万円、純利益が同33.3%増の1億94百万円としている。配当予想は前期と同額の年間50円(期末一括)で、予想配当性向は30.8%となる。
セグメント別には、ソリューション事業の売上高が同9.6%増の20億10百万円で営業利益が同7.0%増の2億74百万円、モバイル事業の売上高が同4.9%増の41億60百万円で営業利益が4百万円の黒字(前期は23百万円の赤字)としている。
ソリューション事業では中型PBXリプレース需要が堅調に推移する。モバイル事業はソリューション事業との連携で法人分野を強化する。モバイル事業におけるヘルパー派遣費用は徐々に減少する見込みだ。通期ベースで収益改善が期待される。
■ソリューションへのシフトやストック型モデルの強化で高収益化目指す
企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティ」をキーワードとして高水準に推移することが予想されるため、中期的に物販からソリューションへのシフト、モバイル事業の利益率改善など、ストック型収益モデルの強化によって高収益化を目指す方針だ。
中期成長に向けた基本方針は、情報創造コミュニティーの活性化(教育サービスメニューの開発、顧客創造力の増強、定期的なパートナー交流)、パートナー企業との共同展開の積極化、ソリューションサービスのモバイル化とインフラ・コンテンツ・教育・生産価値情報・セキュリティをキーワードとしたサービス展開としている。
なお17年10月には、ドコモショップ茅場町店と情報創造コミュニティーを元の中央区八丁堀に移転する。移転に伴って情報創造コミュニティーのフロア面積を約2倍に拡張する。出会いと共創の場として、さらに進化させる方針だ。
■株主優待制度は毎年2月末に実施
株主優待制度は毎年2月末に実施している。500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。
■株価は下値固め完了してモミ合い上放れ期待
株価の動きを見ると、3月~4月の安値圏1600円近辺でのモミ合いから徐々に水準を切り上げて下値固め完了感を強めている。
6月22日の終値1699円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS162円11銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1067円02銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約20億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が下値を支える形だ。指標面の割安感も見直してモミ合い上放れの展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)