【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールテック・ウエノは15年3月期業績と配当を増額修正、中期成長力も評価してモミ合い上放れ

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

創薬ベンチャーのアールテック・ウエノ<4573>(JQS)は2月12日、第3四半期累計(4月~12月)業績を発表し、今期(15年3月期)業績と配当予想を増額修正した。株価は1500円~1600円近辺でモミ合う展開だが、中期成長力も評価してモミ合い上放れの展開だろう。14年10月戻り高値1860円、さらに13年10月以来の2000円台が視野に入る。

緑内障・高眼圧症治療レスキュラ点眼薬の製造販売、および米スキャンポ社の便秘症治療薬AMITIZA(アミティーザ)カプセル受託製造を主力としている。

当社はAMITIZAカプセルの全世界における独占的製造供給権を保有している。米スキャンポ社はAMITIZAカプセルの日本と欧州での販売承認取得や米国での追加新薬承認取得、さらにレスキュラ点眼薬の米国上市など販売地域や適応の拡大戦略を推進している。また米スキャンポ社は武田薬品工業<4502>とAMITIZAカプセルに関するグローバルライセンス契約を締結(14年10月)している。

中期経営目標値としては16年3月期のROE10%以上を目指し、新薬開発は網膜色素変性、重症ドライアイ、アトピー性皮膚炎関連を中心に進めている。

日本発・世界初の網膜色素変性治療薬を目指す開発コードUF-021(一般名ウノプロストン)については日本で第3相臨床試験を実施している。14年8月にはウノプロストン点眼液へのトロメタモール配合に関する日本特許が成立し、11月にはウノプロストンが厚生労働省から網膜色素変性を対象とするオーファンドラッグに指定された。海外におけるウノプロストンの開発・商業化権については米スキャンポ社にライセンスし、当社はウノプロストン製品の独占的製造供給権を保有している。

日本発・世界初の生物製剤による重症ドライアイ治療薬を目指す遺伝子組み換え人血清アルブミン(RU-101)点眼液については14年11月、米国での第1相および第2相を合わせた臨床試験を完了した。

抗炎症作用や免疫調節作用を有するVAP-1阻害剤である新規化合物RTU-1096については、経口内服薬として14年10月に第1相臨床試験を開始した。候補疾患としてはアトピー性皮膚炎などの皮膚化疾患がある。また皮膚疾患領域では男性型脱毛症関連(RK-023)が第2相臨床試験を開始している。

なお米国で係属していたAMITIZAカプセルの特許侵害訴訟に関して、米スキャンポ社、当社、武田薬品工業は14年10月、Par社との和解・ライセンス契約を締結した。また14年11月には米スキャンポ社、当社、武田薬品工業が、米国食品医薬品局(FDA)にAMITIZAカプセル後発品申請を行ったDr.Reddys社に対して特許侵害訴訟を提起した。

2月12日に第3四半期累計(4月~12月)の業績(非連結)を発表し、今期(15年3月期)の業績(非連結)と配当予想を増額修正した。

第3四半期累計は売上高が前年同期比1.4%増の42億72百万円、営業利益が同20.3%減の8億62百万円、経常利益が同12.5%減の10億13百万円、純利益が同7.3%減の7億54百万円だった。臨床試験に伴う研究開発費の増加で減益だったが、AMITIZAカプセルが好調だった。

通期の業績(非連結)見通しは前回予想(5月14日公表)に対して、売上高を8億76百万円増額して前期比18.2%増の66億39百万円、営業利益を6億78百万円増額して同48.6%増の21億09百万円、経常利益を8億27百万円増額して同53.1%増の22億61百万円、そして純利益を6億23百万円増額して同53.2%増の16億27百万円とした。配当予想は前回予想に対して、期末5円増額して前期比5円増配の年間30円(期末一括)とした。

日本で薬価改定の影響を受けるレスキュラ点眼薬はほぼ想定どおりだが、AMITIZAカプセルの日本での出荷数量が想定を大幅に上回る見通しだ。また米国向けAMITIZAカプセルに関しては為替のドル高・円安がプラス要因となる。修正後の製品別売上高の計画はレスキュラ点眼薬が同13.5%減の12億83百万円、AMITIZAカプセルが同31.8%増の52億66百万円とした。なお為替レートの前提は1ドル=115円で、1円の変動で営業利益は約6百万円変動するとしている。

株価の動きを見ると、14年11月~12月の安値圏からやや水準を切り上げたが、やや上値が重く概ね1500円~1600円近辺でモミ合う展開だ。ただし徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。

2月12日の終値1501円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS84円34銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.0%近辺、実績PBR(前期実績のBPS473円61銭で算出)は3.2倍近辺である。

週足チャートで見ると13週移動平均線および26週移動平均線を挟んでモミ合う形だが、下値は着実に切り上げて調整一巡感を強めている。今期業績と配当の増額修正、さらに中期成長力も評価してモミ合い上放れの展開だろう。14年10月戻り高値1860円、さらに13年10月以来の2000円台が視野に入る。

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