- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ヨコレイは調整一巡して戻り試す、17年9月期増収増益予想で上振れ余地
ヨコレイは調整一巡して戻り試す、17年9月期増収増益予想で上振れ余地
- 2017/6/26 07:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は冷蔵倉庫の大手である。低温物流サービスの戦略的ネットワーク構築に向けて積極投資を継続し、食品販売事業はノルウェーHI社との資本業務提携で業容拡大戦略を推進している。17年9月期増収増益予想で上振れ余地がありそうだ。株価は調整一巡し、好業績を見直して戻りを試す展開が期待される。
■冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開
冷蔵倉庫事業および食品販売事業を展開している。16年9月期セグメント別売上高構成比は冷蔵倉庫事業17%、食品販売事業83%、営業利益(連結調整前)構成比は冷蔵倉庫事業78%、食品販売事業22%だった。
収益面では、冷蔵倉庫事業は倉庫稼働率、食品販売事業は水産品・畜産品・農産品の市況や季節要因の影響を受ける特性がある。
■冷蔵倉庫事業は低温物流サービスの戦略的ネットワーク構築に積極投資
冷蔵倉庫事業では、低温物流サービスの戦略的ネットワーク展開に向けて積極投資を継続し、新物流センターが順次稼働して収益拡大に貢献している。17年6月には埼玉県・幸手物流センターが竣工した。
今後の新設予定として国内では、京浜島物流センター(仮称)が18年2月竣工予定である。また福岡市アイランドシティ港湾関連用地4工区E区画を取得(18年3月引き渡し予定)している。海外はASEAN地域へ積極展開し、タイヨコレイ全体の保管収容能力はタイ国内トップシェアである。
■食品販売事業はノルウェーの大手水産加工会社と提携して業容拡大
食品販売事業では15年8月、ノルウェーの大手水産加工会社ホフセスインターナショナル(HI社)と包括的業務提携し、アトランティックサーモン等の加工製造販売など業容拡大を推進している。
16年3月にはアトランティックサーモン等加工製造のSyvde社を子会社化、16年7月にはトラウト養殖事業のFA社を子会社化した。
■中期経営計画で17年9月期純利益32億円目標
第5次中期経営計画「Flap The Wings 2017」に基づいて、冷蔵倉庫事業では「クールネットワークのリーディングカンパニー」を目指し、食品販売事業では「安定的な利益追求を基本としながらも、強みのある商材を全社的に展開する」ことを命題としている。
目標数値には17年9月期の売上高1650億円、営業利益57億円(連結調整前の冷蔵倉庫事業56億65百万円、食品販売事業20億67百万円)、経常利益57億円、純利益32億円、ROE5.1%、配当性向40%、EBITDA100億円、自己資本比率52.0%を掲げている。
配当政策の基本方針は安定的な配当を継続して行うとしている。そして企業価値向上に必要な設備・IT投資等を勘案しつつ、配当性向40%以上を維持していくことを目標としている。
■17年9月期第2四半期累計は2桁営業増益
今期(17年9月期)第2四半期累計(10~3月)の連結業績は売上高が前年同期比4.8%増の791億67百万円、営業利益が同10.8%増の31億60百万円、経常利益が同11.3%増の34億30百万円、純利益が同0.4%減の19億76百万円だった。食品販売事業が牽引して2桁営業増益だった。
売上総利益は同20.0%増加し、売上総利益率は9.9%で同1.3ポイント上昇した。販管費は同27.1%増加し、販管費比率は5.9%で同1.0ポイント上昇した。営業外収益では為替差益3億98百万円を計上した。
冷蔵倉庫事業は、売上高が同0.5%減の125億96百万円で、営業利益(連結調整前)が同6.1%減の30億65百万円だった。入庫取扱量は2.7%増、出庫取扱量は2.3%増と堅調だったが、平均保管在庫量が6.4%減少し、閉鎖を決定した子安物流センターの収入剥落や、減価償却費の増加なども影響して減益だった。
食品販売事業は、売上高が同5.8%増の665億40百万円で、営業利益が同86.0%増の12億62百万円だった。水産品が好調に推移し、畜産品におけるチキンの利益率改善なども寄与した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期422億46百万円、第2四半期369億21百万円、営業利益は20億09百万円、11億51百万円だった。
■17年9月期通期も増収増益予想で上振れ余地
今期(17年9月期)通期の連結業績予想(11月14日公表)は、売上高が前期(16年9月期)比11.0%増の1650億円、営業利益が同10.3%増の57億円、経常利益が同6.7%増の57億円、純利益が同9.1%増の32億円としている。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で、予想配当性向は32.3%となる。
第5次中期経営計画の最終年度となり、冷蔵倉庫事業では重点地域への設備増強を図り、食品販売事業ではノルウェー事業の早期の体制安定化、国内事業における産地と消費地の事業連携強化を推進する方針だ。
セグメント別には、冷蔵倉庫事業の売上高が同1.9%増の252億26百万円で営業利益が同9.2%減の52億24百万円、食品販売事業の売上高が同12.9%増の1397億06百万円で営業利益が同55.8%増の25億21百万円の計画としている。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が48.0%、営業利益が55.4%、経常利益が60.2%、純利益が61.8%である。上期偏重の期初計画だが、食品販売事業の利益率改善が進展して通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。
■株主優待は毎年9月末に実施
株主優待制度は、毎年9月30日現在の1000株以上保有株主に対して実施している。優待内容は1000株以上~3000株未満保有株主に対して鮭切身詰め合わせ、3000株以上保有株主に対して北海道産ホタテ・いくらセットを贈呈する。
■株価は調整一巡して上値試す
株価の動きを見ると、5月の戻り高値圏から反落し、その後は水準を切り下げる形となった。ただし売られ過ぎ感も強めている。
6月23日の終値1051円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS61円83銭で算出)は17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1198円56銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約561億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線が下値支持線となりそうだ。好業績を見直して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)