ビューティガレージは自律調整一巡して上値試す、リピート顧客が増加基調で18年4月期も増収増益・増配予想

 ビューティガレージ<3180>(東1)は美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。サロン向け「開業支援」から「開業+経営支援」へのサービス領域拡大を推進し、中期経営計画では「アジアNO.1のIT美容商社」という企業像を設定した。17年4月期は2桁増収増益・増配だった。リピート顧客増加基調で、18年4月期も増収増益・増配予想である。株価は6月1日の上場来高値から反落したが自律調整一巡感を強めている。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。

■美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手

 理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業を主力としている。

 販売チャネルは日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」でのオンライン販売(=EC)を主力として、カタログ通販、および全国のショールームでの販売を展開している。
 IT(ネット通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルで、美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入による国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターによる一元管理、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなどを強みとしている。

 物販事業ではリピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB製品、化粧品分野ではNB製品の品揃えを強化している。17年1月にはフランスの老舗エステティック化粧品ブランド「ドクタールノー」の独占輸入販売権を獲得した。

■サービス領域拡大を推進

 ビューティサロン向け「開業支援」から「開業+経営支援」へのサービス領域拡大を推進している。

 子会社は、タフデザインプロダクトがサロン店舗設計・施工事業、アイラッシュガレージがアイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業、17年1月設立BGパートナーズがファイナンスサポートおよび店舗リース・転貸サービスの「サロンまるごとサポート」リース事業を展開している。なお美容専門求人・求職サイト運営のサロンキャリアを17年5月吸収合併した。

 15年6月プロ向け美容業界の商材仕入用として業界初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入、15年11月総合印刷会社の帆風と共同でサロンの印刷用途に特化した印刷通販サイト「サロンプリント」を開始、16年1月マーケットプレイス型販売として当社のプロ向け美容商材ネット通販サイトを他の美容商材卸業者に開放した。

 16年3月ノーリツ鋼機<7744>の子会社で歯科業界カタログ通販大手のフィード社と業務提携し、同社のPB製品として販売する歯科・医療機関向け機器・材料等を当社が製造(OEM)受託した。16年11月アトラ<6029>と業務提携して鍼灸接骨院向けに販路を拡大した。

 海外展開は、海外販売代理店方式=海外ディストリビュータ経由での輸出販売、越境EC代行方式=海外顧客向け購入代行ソリューションサービス導入、自社での越境EC方式=自社ECサイトの多言語版構築の3方向で推進する。

■アジアNO.1のIT美容商社を目指す

 6月12日に18年4月期を初年度とする中期経営計画2017-2019を時発表した。2025年時点での目指すべき姿として「アジアNO.1のIT美容商社」という企業像を設定した。

 4つの基本方針を「IT+物流」ソリューションの進化、商品ラインナップの大幅拡充と開発力強化、グローバル市場への本格進出、周辺サービスの充実と新価値の創造として、最終年度20年4月期の目標値に売上高145億円、経常利益10億円、経常利益率6.9%を掲げた。

 「IT+物流」ソリューションの進化では、多言語対応に向けたECサイトのフルリニューアル、ERP導入に伴う基幹システム刷新、自社物流センターによる一元管理と海外物流ネットワーク構築を推進する。商品ラインナップの大幅拡充では、化粧品メーカー各社との直接取引口座開設や、国内工場・海外工場ネットワークの整備を推進する。

 グローバル市場への本格進出では、第一段階として東南アジア市場攻略を目指し、18年3月期中にシンガポールにHUB拠点を設置する。また日本の新ECサイトの多言語版を展開する。周辺サービスの充実と新価値の創造では物販事業との連携や相乗効果創出をメインテーマとして、店舗設計事業のサービス拠点拡充や「サロンまるごとサポート」リース事業の本格稼働を推進する。M&Aやアライアンスも積極活用する。

■美容サロン新規開業が集中する第4四半期(2~4月)の構成比が高い特性

 収益の季節要因として、美容サロンの新規開業が集中して美容機器の需要が高まる第4四半期(2~4月)の構成比が高い一方で、年末年始で美容機器の需要が減少する第3四半期(11~1月)の構成比が低いという特性がある。また物販事業の売上総利益率は為替による輸入仕入コスト変動の影響を受ける傾向がある。

■リピート顧客が増加基調

 17年4月期末のEC登録会員口座数は16年4月期末比3万1343口座増加の30万9120口座、このうち過去1年間に1回以上購入履歴のあるアクティブユーザー数は同5916口座増加の9万676口座、過去1年間に6回以上購入履歴のあるロイヤルユーザー数は同3901口座増加の1万9698口座、EC経由売上構成比率は同2.8ポイント上昇の67.1%、PB製品売上構成比率は同0.5ポイント上昇の57.6%、化粧品売上構成比率は同4.0ポイント上昇の36.4%となった。

 ロイヤルユーザー数が大幅増加し、15年6月導入したスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」も寄与してEC比率が上昇している。さらに重点分野であるPB比率と化粧品比率も順調に上昇している。

 なお17年4月期の物販事業の製品別売上高構成比はPB機器44.7%、PB化粧品12.9%、NB機器15.8%、NB化粧品23.6%、中古品3.0%である。PB・NB別で見るとPB比率57.6%、NB比率39.4%、機器・化粧品別で見ると機器比率60.5%、化粧品比率36.5%である。安定収益源で四半期別売上高の平準化にも繋がる化粧品の比率が上昇傾向である。

■17年4月期は2桁増収増益

 前期(17年4月期)連結業績は、売上高が前々期(16年4月期)比14.8%増の96億42百万円、営業利益が同25.8%増の5億55百万円、経常利益が同27.5%増の5億34百万円、純利益が同17.8%増の3億14百万円だった。

 概ね計画水準で着地した。物販事業においてリピート顧客が増加し、売上総利益率改善も寄与して2桁増収増益だった。売上総利益は同18.6%増加し、売上総利益率は33.4%で同1.1ポイント上昇した。販管費は同17.2%増加し、販管費比率は27.6%で同0.5ポイント上昇した。

 販管費における人件費の増加、売上増加に伴う荷造運賃の増加、自社物流センター統合・拡張に伴う物流センター賃借料の増加、美容業界各種展示会への出展、通販カタログの発刊、web広告の強化など積極的なプロモーション施策に伴う広告宣伝費・販売促進費の増加、支払手数料の増加などを増収効果と売上総利益率改善で吸収した。

 ROEは16.7%で同0.3ポイント上昇した、自己資本比率は48.9%で同2.3ポイント低下した。配当は同1円40銭増配の年間7円(期末一括)とした。配当性向は13.3%となる。

 セグメント別に見ると、物販事業は売上高が同13.6%増の73億63百万円で営業利益(連結調整前)が同20.8%増の5億84百万円だった。PB製品売上高は同14.7%増の42億44百万円、化粧品売上高は同26.7%増の26億82百万円だった。リピート顧客が増加基調であり、商品ラインナップ拡充効果も寄与した。

 また店舗設計事業は、売上高が同24.1%増の20億10百万円で営業利益が同23.7%増の1億22百万円だった。新規顧客開拓などで売上高、利益とも過去最高だった。その他周辺ソリューション事業は、売上高が同9.1%減の2億67百万円で営業利益が同8.9%増の60百万円だった。集客支援や採用支援が低調だったが、利益率の高い不動産仲介サービスやシステム導入支援などが好調だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期23億31百万円、第2四半期23億01百万円、第3四半期21億66百万円、第4四半期28億44百万円、営業利益は1億13百万円、1億65百万円、79百万円、1億98百万円だった。第4四半期の売上高は過去最高を更新した。

■18年4月期も先行投資負担吸収して増収増益予想、上振れ余地

 今期(18年4月期)連結業績予想(6月12日公表)は、売上高が前期(17年4月期)比14.9%増の110億76百万円、営業利益が同8.0%増の6億円、経常利益が同12.3%増の6億円、純利益が同23.9%増の3億89百万円としている。先行投資負担を吸収して増収増益予想である。配当予想は同1円増配の年間8円(期末一括)としている。予想配当性向は12.3%となる。

 多言語対応に向けたECサイトのリニューアル、ERP導入に伴う基幹システム刷新、大阪総合ショールームの拡大移転、東京本社総合ショールームのリニューアル、海外販売拠点の新設など、先行投資が重なる時期のため、営業利益の伸び率が鈍化する見込みとしているが、保守的な印象が強い。通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。

■株主優待制度は1年以上継続保有を対象として毎年4月末に実施

 株主優待制度は17年4月期末から、毎年4月30日現在で1単元(100株)以上を1年以上継続保有(4月および10月の株主名簿に連続3回以上記載)する株主を対象として、該当株主1名につき希望小売価格3000円相当分の当社オリジナルブランド商品を贈呈する。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると、6月1日の上場来高値2121円から反落したが、1600円台で下げ渋り自律調整一巡感を強めている。

 6月27日の終値1666円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS65円24銭で算出)は25~26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS339円18銭で算出)は4.9倍近辺である。時価総額は約100億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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