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第一実業は調整一巡して反発期待、18年3月期減益予想だが保守的
- 2017/6/30 08:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
第一実業<8059>(東1)は産業機械を主力とする機械の総合商社で、海外展開や新規分野を強化している。18年3月期減益予想だが保守的な印象が強い。株価は調整一巡して反発展開が期待される。17年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更するとともに、5株を1株に併合する。
■産業機械を主力とする機械の総合商社
各種産業機械を主力とする機械の総合商社である。17年3月期のセグメント別売上高構成比はプラント・エネルギー事業31%、産業機械事業29%、エレクトロニクス事業31%、ファーマ事業6%、航空事業2%、その他0%で、海外売上比率は49%である。
収益面では案件ごとの採算性の影響を受けることに加えて、大型案件の売上計上時期によって四半期収益が変動しやすい。そして設備投資関連のため第2四半期(7月~9月)および第4四半期(1月~3月)の構成比が高い特性がある。
地熱、温泉熱、焼却廃熱、一般工場廃熱など、未利用熱エネルギーを有効活用して発電するバイナリー発電装置ビジネスに関しては、14年4月米アクセスエナジー社の小型バイナリー発電装置の日本国内での独占的製造権を取得、14年5月独占販売代理店契約を締結、16年5月三菱重工業<7011>グループのターボデン(イタリア)社製バイナリー発電装置の国内販売総代理店契約を締結した。ラインナップ充実して事業拡大を図る。
新規分野としては、植物工場システムに関するプロジェクト(埼玉県入間市にパイロットプラントを建設)や、茨城県笠間市と長野県飯田市におけるメガソーラー運営も推進している。また市場が拡大している車載向け二次電池製造装置分野や有機ELディスプレイ製造装置分野も強化する方針だ。
■17年3月期は大幅増収増益
前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比24.1%増の1541億20百万円、営業利益が同50.4%増の58億44百万円、経常利益が同40.8%増の61億66百万円、純利益が同26.6%増の33億38百万円だった。受注高は同3.2%減の1364億59百万円だった。
プラント関連の大口案件なども寄与して大幅増収増益だった。なお売上総利益は同12.7%増加したが、売上総利益率は13.3%で同1.3ポイント低下した。販管費は同2.5%増加したが、販管費比率は9.5%で同2.0ポイント低下した。
特別損失では減損損失が増加(前々期54百万円、前期7億50百万円)し、関係会社株式評価損2億57百万円を計上した。ROEは9.0%で同1.6ポイント上昇した。自己資本比率は33.2%で同4.7ポイント低下した。有利子負債は14億21百万円減少して92億89百万円、そしてDER(=有利子負債÷自己資本)は同0.06ポイント低下して0.24倍となった。配当は同2円増配して年間19円(第2四半期末9円、期末10円)とした。配当性向は30.4%である。
セグメント別に見ると、プラント・エネルギーは売上高が67.9%増の482億67百万円で、営業利益(連結調整前)が11億11百万円(前々期は1百万円の赤字)だった。海外向け石油プラントやエチレンプラント用設備、化学会社向け樹脂製造プラント用設備など大口案件を売上計上した。受注高は0.4%増の361億51百万円だった。
産業機械は売上高が4.3%増の453億40百万円で、営業利益が7.7%増の15億13百万円だった。自動車関連業界向け自動組立ライン、自動加工機、塗装ラインなどが増加した。受注高は0.6%増の441億45百万円だった。エレクトロニクスは売上高が11.3%増の474億26百万円で、営業利益が10.6%増の16億71百万円だった。IT・デジタル関連機器製造会社向けの電子部品製造関連設備が好調だった。受注高は6.2%減の454億19百万円だった。
ファーマは売上高が34.8%増の89億24百万円で、営業利益が13.5%増の10億21百万円だった。ジェネリック医薬品製造会社向け中心に錠剤外観検査装置やパッケージング用機器・装置が好調だった。受注高は0.1%減の80億96百万円だった。航空は売上高が57.1%増の37億64百万円で、営業利益が3.7倍の3億32百万円だった。航空機地上支援機材や空港施設関連機器が増加した。受注高は36.2%減の25億16百万円だった。その他は売上高が19.3%増の3億95百万円、営業利益が47百万円の赤字(前々期87百万円の赤字)で、受注高が76.9%減の1億28百万円だった。
受注残高はプラント・エネルギー562億86百万円、産業機械184億36百万円、エレクトロニクス117億78百万円、ファーマ37億17百万円、航空16億03百万円、その他2億08百万円の合計920億31百万円となった。
四半期別の業績推移を見ると、受注高は第1四半期374億36百万円、第2四半期273億56百万円、第3四半期349億64百万円、第4四半期367億01百万円で、売上高は377億11百万円、384億91百万円、399億02百万円、380億15百万円、営業利益は9億89百万円、19億84百万円、11億46百万円、17億24百万円だった。
■18年3月期減益予想だが保守的な印象
今期(18年3月期)連結業績予想(5月11日公表)は売上高が前期(17年3月期)比14.8%増の1770億円、営業利益が同19.6%減の47億円、経常利益が同18.9%減の50億円、純利益が同7.2%減の31億円としている。受注高の計画は同12.9%増の1540億円である。
配当予想は17年10月1日付で5株を1株に併合することに伴って6月27日に修正し、第2四半期末9円、期末45円とした。株式併合を考慮して換算すると前期は年間95円、今期は年間90円となり、実質的に5円減配となる。予想配当性向は30.9%となる。
減益予想だが保守的な印象が強い。設備投資需要が高水準であり、円安進行も追い風として通期会社予想に増額余地がありそうだ。
■新中期経営計画で19年3月期純利益33億円目標
16年5月策定の新中期経営計画「DASH2018」では、基本方針を「グローバルに事業軸体制を進め、一層の業績拡大を実現する」「経営体質の向上を図り、強力なガバナンス体制を構築する」とした。経営目標数値には最終年度19年3月期の売上高1330億円、営業利益50億円、経常利益53億円、純利益33億円を掲げている。
■株価は調整一巡して反発期待
なお17年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更するとともに、5株を1株に併合する。
株価の動きを見ると、水準を切り下げて6月23日の年初来安値590円まで調整したが、その後は下げ渋る動きとなり調整一巡感を強めている。
6月29日の終値609円を指標面(1株当たり数値は17年10月1日付株式併合前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS58円23銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は3.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS726円61銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約338億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して反発展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)