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フライトホールディングスは18年3月期減益予想だが、電子決済ソリューションが牽引して中期収益拡大期待
- 2017/6/30 08:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フライトホールディングス<3753>(東2)は電子決済ソリューションを主力としている。18年3月期は大型案件の反動で減収減益予想だが、電子決済ソリューションが牽引して中期的に収益拡大が期待される。株価は水準を切り下げたが調整一巡感を強めている。フィンテック関連として注目され、反発展開が期待される。
■システム開発や電子決済ソリューションなどを展開
傘下のフライトシステムコンサルティングがシステム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業、イーシー・ライダーがB2B向けECサイト構築パッケージなどのECソリューション事業を展開している。
17年3月期のセグメント別売上高構成比は、C&S事業が23%、サービス事業が74%、ECソリューション事業が3%である。収益面ではサービス事業における大型案件によって変動する特性が強い。
■C&S事業はPepper関連を強化
C&S事業では、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」の法人モデル「Pepper for Biz」に関して、新サービス「Scenaria」をジエナ社と共同開発し、ロボアプリ開発者を支援する「Pepperパートナープログラム」において「ロボパートナー」認定を取得している。またソフトバンクと日本IBMが共同で行う「IBM Watson エコシステムプログラム」に参画し、ビジネスおよびテクノロジーパートナーに選定されている。
17年2月発表したPepper向けコンテンツ制作&コンテンツマネージメントソリューション「Scenaria」のプレ・サービスインとして、6月28日開催の定時株主総会において「Scenaria」で作成されたコンテンツを使用してPepperによる報告事項の発表を実施した。
■電子決済ソリューションはマルチ決済端末など展開
電子決済ソリューション事業では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」と、スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」を展開し、電子決済事業に関して複数暗号鍵の切り替えに関する特許、無線を使った複数機器の設定に関する特許、複数加盟店の切り替えに関する特許を取得している。
スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」は、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末に利用する大企業向け国内初のBtoB決済ソリューションである。10年9月に提供開始し、高級ホテル・レストラン・観光タクシー・旅行代理店など幅広い業種に導入されている。
16年3月にはスマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末の新製品「incredist premium」の日本国内での販売を開始した。磁気クレジットカード、接触型ICクレジットカード(EMV)、非接触型ICクレジットカード(コンタクトレスEMV)、および日本独自の電子マネーに対応した決済端末である。米国ではセキュリティー基準審査を依頼中であり、審査が終了次第、米国子会社FLIGHT SYSTEM USAを通じて米国での販売を開始する。
16年8月には「incredist premium」の電子マネー対応第一弾としてNTTドコモ<9437>の後払い電子マネー「iD」がサービスインした。
また「incredist premium」は、16年12月Mastercard、VISA、AmericanExpressのコンタクトレスEMV(ICカード国際規格EMV技術を用いた非接触IC決済対応のクレジットカード)に関するブランド認定を取得、17年5月JCBのコンタクトレスEMVのブランド認定を取得、17年6月DiscoverのコンタクトレスEMVのブランド認定を取得、中国銀聯のコンタクトレスEMVのブランド認定を取得した。
■17年3月期は黒字化
前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比61.3%増の31億53百万円、営業利益が5億90百万円(前々期は92百万円の赤字)、経常利益が5億70百万円(同1億28百万円の赤字)、純利益が4億07百万円(同1億62百万円の赤字)だった。
サービス事業における大型案件の納品が完了し、各利益とも黒字化した。売上総利益は同2.3倍となり、売上総利益率は37.5%で同11.6ポイント上昇した。販管費は同1.0%減少し、販管費比率は18.8%で同11.8ポイント低下した。ROEは79.1%だった。自己資本比率は46.8%で同24.8ポイント上昇した。配当は無配を継続した。
セグメント別動向を見ると、C&S事業は売上高が同24.4%増の7億24百万円で営業利益(連結調整前)が同2.4倍の27百万円、サービス事業は売上高が同73.1%増の23億39百万円で営業利益が同4.5倍の7億89百万円、ECソリューション事業は売上高が同2.4倍の89百万円で営業利益が8百万円(同46百万円の赤字)だった。
サービス事業では「incredist premium」大型案件の納品が完了し、Apple Pay対応の準備を進める顧客向け「ペイメント・マイスター」ライセンス販売も拡大した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期2億02百万円、第2四半期8億35百万円、第3四半期10億85百万円、第4四半期10億31百万円、営業利益は1億03百万円の赤字、2億26百万円、3億24百万円、1億43百万円だった。
■18年3月期は大型案件の反動で減収減益予想
今期(18年3月期)連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比20.7%減の25億円、営業利益が同56.0%減の2億60百万円、経常利益が同56.2%減の2億50百万円、純利益が同50.9%減の2億円としている。配当は無配継続としている。
前期計上の大型案件の反動で減収減益予想だが、電子決済ソリューションが牽引して中期的に収益拡大が期待される。
■株価は調整一巡して反発期待
株価の動きを見ると上値を切り下げる形で軟調展開だったが、6月15日の年初来安値926円から切り返して調整一巡感を強めている。6月28日には1145円まで上伸する場面があった。
6月29日の終値1003円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS21円15銭で算出)は47倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS75円94銭で算出)は13倍近辺である。時価総額は約95億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。反発展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)