トシン・グループは年初来高値更新の展開、18年5月期横ばい予想だが割安感や自己株式取得を評価

 トシン・グループ<2761>(JQ)は首都圏中心に電設資材などの卸売事業を展開している。18年5月期は横ばい予想だが保守的な印象も強い。株価は年初来高値更新の展開だ。指標面の割安感や継続的な自己株式取得を評価して上値を試す展開が期待される。

■首都圏中心に電設資材や住宅設備機器の卸売事業を展開

 首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。

 小口多数販売、専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴とし、事業基盤強化や収益拡大に向けて、取扱商品や営業拠点網の拡充を推進している。

 なお収益面では、新設住宅着工戸数など建設関連投資の動向が影響し、第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。利益還元については、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保する一方で、財務状況、利益水準、配当性向などを総合的に勘案して、前年実績を下回らない安定した配当を実施することを基本方針としている。

■17年5月20日期は減収減益、数量増だが価格下落

 前期(17年5月20日期)連結業績は売上高が前々期(16年5月20日期)比1.4%減の434億07百万円、営業利益が同6.2%減の19億49百万円、経常利益が同9.6%減の27億36百万円、純利益が同0.5%減の17億52百万円だった。

 新築住宅着工戸数の緩やかな改善で、LED照明や電線類などの販売数量は増加したが、銅価格下落に伴う電線類などの販売価格の下落、太陽光発電関連の需要減少などで減収減益だった。売上総利益は同2.5%減少し、売上総利益率は20.5%で同0.2ポイント低下した。販管費は同1.3%減少し、販管費比率は16.0%で同横ばいだった。

 ROEは5.2%で同0.1ポイント低下、自己資本比率は84.1%で同4.9ポイント上昇した。また配当は前々期と同額の年間54円(第2四半期末27円、期末27円)で、配当性向は26.3%だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期104億67百万円、第2四半期114億86百万円、第3四半期97億81百万円、第4四半期116億73百万円、営業利益は4億53百万円、5億82百万円、4億03百万円、5億11百万円だった。

■18年5月20日期は横ばい予想だが保守的な印象

 今期(18年5月20日期)の連結業績予想(6月30日公表)は、売上高が前期(17年5月20日期)比0.2%増の435億円、営業利益が同0.5%増の19億60百万円、経常利益が同0.5%増の27億50百万円、純利益が同0.4%増の17億60百万円としている。

 仕入本部、各種サポートセンターなどの機能をさらに強化し、他社との差別化の武器である「安心シリーズ」を有効に活用して販売力を強化する方針としている。横ばい予想だが保守的な印象も強い。配当予想は前期と同額の年間54円(第2四半期末27円、期末27円)としている。予想配当性向は25.7%となる。

■継続的な自己株式取得で積極還元姿勢

 自己株式取得の継続的な実施で株主還元姿勢を積極化している。16年8月9日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限18億円、取得期間16年8月10日~17年7月31日)については、7月7日時点の累計で取得株式総数35万4600株、取得価額総額7億7816万300円となった。

■株価は年初来高値更新の展開、割安感や継続的な自己株式取得を評価

 株価の動きを見ると7月3日に年初来高値2680円まで上伸した。2500円近辺での短期モミ合いから上放れて年初来高値更新の展開だ。

 7月10日の終値2657円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS210円00銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間54円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4052円75銭で算出)は0.7倍近辺である。時価総額は約303億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となった。指標面の割安感や継続的な自己株式取得を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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