【アナリスト水田雅展の銘柄分析】うかいは第3四半期累計は減益だったが通期見通しを超過達成、株価は戻り歩調で14年1月高値も視野

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

高級料理店うかい<7621>(JQS)は2月6日に第3四半期累計(4月~12月)業績を発表した。大幅減益だったが利益は今期(15年3月期)見通しを大幅に超過達成した。株価は戻り歩調の展開だ。13日には2365円まで上伸して14年9月の戻り高値2389円に接近した。上値を試す展開で14年1月高値2580円も視野に入るだろう。

飲食事業(高級和食・洋食店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。新たな成長ステージに向けた戦略として、商圏1万キロに向けたブランド構築、新業態の定着と新規出店、サービス向上のための人材育成、製菓工房「アトリエうかい」の本格稼働、和食店のお土産品強化、物販における販路開拓、海外へのブランド発信と海外企業との業務提携などを推進している。

14年4月には、国内で4年ぶりの新店となる新業態の割烹料理店「銀座kappou ukai(呼称:割烹うかい)」をオープンした。海外は13年5月に、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定した。16年オープンに向けて準備を進めている。

2月6日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比1.4%増の94億95百万円、営業利益が同37.5%減の3億41百万円、経常利益が同45.0%減の2億75百万円、純利益が同47.8%減の1億42百万円だった。

売上面では消費増税や天候不順の影響などでやや伸び悩んだが、新店「銀座kappou ukai」も寄与して増収だった。利益面では人件費の増加、新店「銀座kappou ukai」の開業費計上、創業50周年記念事業費の計上、株主優待制度の充実に伴う費用の引当などで大幅減益だった。セグメント別売上状況は飲食事業が同1.9%増収、分化事業が同3.2%減収だった。

なお四半期別にみると、売上高は第1四半期(4月~6月)30億66百万円、第2四半期(7月~9月)29億30百万円、第3四半期(10月~12月)34億99百万円で、営業利益は第1四半期84百万円、第2四半期1億23百万円の赤字、第3四半期3億80百万円である。

通期の業績(非連結)見通しは前回予想(11月7日に減額修正)を据え置き売上高が前期比1.3%増の121億81百万円、営業利益が同49.5%減の1億94百万円、経常利益が同66.1%減の1億11百万円、純利益が同86.2%減の36百万円としている。配当予想(5月19日公表)は前期(第2四半期末2円、期末13円)と同額だが期末一括で年間15円としている。

ただし通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が78.0%、営業利益が175.8%、経常利益が247.8%、純利益が394.5%で、利益は大幅に超過達成している。通期増額の可能性があるだろう。

月次売上高(前年比、アトリエうかいの店頭販売含む)を見ると15年1月は全店101.1%、既存店98.7%だった。既存店売上高は2ヵ月連続の前年比マイナスだったが、14年12月の97.8%に比べて改善した。既存店客単価は13年3月から23ヶ月連続の前年比プラスだった。

高額消費の流れは継続しているようだ。そして来期(16年3月期)は消費増税や天候不順の影響一巡、開業費や記念事業費の一巡などで収益拡大が期待される。

中長期経営計画では17年3月期売上高127億53百万円、営業利益6億40百万円を目標値として掲げている。ブランド認知度の向上、圏央道相模原愛川IC~高尾山IC間の開通に伴う商圏拡大、高額消費の活発化、訪日外国人旅行客の増加に加えて、13年12月に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことも追い風だ。中期的に収益拡大基調だろう。

株主優待制度については14年5月に実施時期の変更を発表し、従来の毎年3月期末から毎年9月中間期末に変更して14年9月末から実施した。そして14年8月に優待内容の変更を発表した。箱根ガラスの森入場招待券1500円×10枚(1万5000円相当)を廃止し、代わりに100株以上所有株主に対して箱根ガラスの森株主限定食事付入場招待券5枚(1万5000円相当)を贈呈する。その他の優待内容に関しては所有株式数に応じた食事優待券または特選うかい牛肉で変更はない。

株価の動きを見ると、14年10月の2101円を直近ボトムとして水準を切り上げた。戻り歩調の展開だ。2月13日には2365円まで上伸して14年9月の戻り高値2389円に接近している。通期業績の増額を期待する動きだろう。

2月13日の終値2356円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS7円00銭で算出)は337倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.6%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS925円47銭で算出)は2.5倍近辺である。

週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインの形だ。通期業績の増額や来期の収益拡大を期待して上値を試す展開だろう。14年1月高値2580円も視野に入る。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る