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エスプールは17年11月期2桁営業増益・大幅増配予想
- 2017/7/25 07:10
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エスプール<2471>(JQ)は、ロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援・就労移行支援サービス、コールセンター業務などの人材サービス事業を展開している。需要が高水準で17年11月期第2四半期累計は計画超の増収・営業増益だった。通期も2桁営業増益予想、そして大幅増配予想である。株価は上値を試す展開が期待される。
■ロジスティクス、障がい者雇用支援、コールセンターなど人材サービス事業
ビジネスソリューション事業(ロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援・就労移行支援サービス、フィールドマーケティングサービス、マーチャンダイジングサービス、販売促進支援業務、顧問派遣サービス)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、携帯電話販売員派遣、ストアスタッフ派遣)を展開している。
16年11月期のセグメント別(連結調整前)売上高構成比はビジネスソリューション事業37%、人材ソリューション事業63%、営業利益構成比はビジネスソリューション事業52%、人材ソリューション事業48%だった。ロジスティクスアウトソーシングの低採算案件縮小、障がい者雇用支援サービスの拡大、電力スマートメーター設置業務の黒字化、人材ソリューション事業におけるコールセンター業務の好調などで採算上昇基調である。
なお17年6月、女性の活躍推進に関する取り組みが優れている企業に対して厚生労働大臣が認定する「えるぼし」の最高位となる「3段階目」を取得した。また子会社で人材派遣サービスを展開するエスプールヒューマンソリューションズは「2段階目」を取得した。
■ロジスティクス分野は低採算案件見直しで収益改善
ロジスティクスアウトソーシングサービスは、ECサイト出店企業などの物流センター運営・発送代行サービスを展開している。ネット通販市場拡大を背景として物流センターの需要は高水準である。物流センター運営代行業務は低採算案件の取引見直しを進め、通販発送代行サービスへの経営資源集中で収益改善を推進している。
なお7月12日にエスプールロジスティクスと、サトーホールディングス<6287>の子会社サトーソリューションアーキテクトとの業務提携を発表した。RFIDや音声・画像認識など最先端の自動認識技術を導入した物流センターの運営および営業に関して、共同で活動する。
■障がい者雇用支援サービスは事業規模拡大目指す
障がい者雇用支援サービスは、障がい者雇用促進法に基づいて大企業の障がい者雇用をサポートし、企業向け貸し農園「わーくはぴねす農園」の栽培設備販売収入と農園運営管理収入を収益柱としている。
16年11月期末時点の累計で農園契約企業数97社、農園に就労する障がい者雇用453名となり、障がい者の農業就労施設としては国内最大級である。高付加価値サービスとして事業規模拡大を目指し、16年11月には千葉県船橋市および愛知県豊明市での開設を発表した。今回の開設で「わーくはぴねす農園」は全国7施設となる。
当面は千葉、愛知での農園販売に集中するが、18年4月改正予定の障害者雇用促進法も追い風となるため、東京・神奈川・埼玉および関西エリア進出に向けて行政との連携を強化する。
■電力会社スマートメーター関連業務を拡大
フィールドマーケティングサービスは、電力分野のスマートメーター関連業務を拡大している。15年5月に東京電力<9501>からスマートメーター設置業務を受注した。またガス会社からの受注も推進している。
■グループのセールスサポート関連を集約
14年11月には販売促進支援業務に特化した子会社エスプールセールスサポートを設立し、マーチャンダイジング業務、クレジットカードなどの会員獲得業務、販売イベントブースの運営業務などの販売促進支援業務を集約(ビジネスソリューション事業)した。
■採用支援サービスも順調拡大
新規事業として15年12月、小売・飲食・サービス業などアルバイトを多く採用する企業を対象に採用支援サービス「Omusubi」を開始している。
■人材ソリューション事業はコールセンター業務向け人材派遣が主力
人材ソリューション事業は、コールセンター業務や携帯電話販売業務向け人材派遣を主力としている。
16年11月にはオンウェーブに出資した。オンウェーブは製薬業界に特化した転職・求人サイト「製薬オンライン」運営や、人材マッチングシステム「人材マッチングナビ」開発・販売等を行っている。そして17年6月には、オンウェーブが製薬・バイオ・医療業界に特化したスカウト機能付き採用管理システム「メディカル人材バンク」を公開したと発表している。
また17年11月期から看護・介護・保育業界を対象とした人材派遣・人材紹介サービスを開始し、17年4月には看護・介護・保育業界に特化した求人サイト「One+(ワンプラス)」を開設した。
■17年11月期第2四半期累計は計画超の増収・営業増益
今期(17年11月期)第2四半期累計(12月~5月)の連結業績は、売上高が前年同期比24.0%増の53億29百万円、営業利益が6.0%増の2億62百万円、経常利益が10.3%増の2億65百万円、純利益が13.5%減の1億73百万円だった。
純利益は法人税等が増加したため減益だが、需要が高水準に推移し、販管費抑制も寄与して営業・経常増益だった。計画に対して売上高は1億23百万円、営業利益は59百万円、経常利益は68百万円、純利益は64百万円それぞれ上回り、売上高、営業利益、経常利益は過去最高となった。売上総利益は16.0%増加したが、売上総利益率は27.3%で1.9ポイント低下した。販管費は18.5%増加したが、販管費比率は22.4%で1.1ポイント低下した。
セグメント別(連結調整前)動向を見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が5.8%増の17億48百万円で営業利益が6.1%減の2億63百万円だった。障がい者雇用支援サービスが拡大基調だが、新規開設した葛西物流センターの費用先行、採用支援サービスや販売促進サービスにおける人件費増加などで減益だった。
人材ソリューション事業は売上高が34.5%増の35億91百万円で営業利益が36.0%増の3億42百万円だった。主力のコールセンター業務において、定着率向上を支援するグループ型派遣が好調に推移した。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期24億57百万円、第2四半期28億72百万円、営業利益は46百万円、2億16百万円だった。
■17年11月期通期2桁増収・営業増益予想、そして大幅増配予想
今期(17年11月期)通期の連結業績予想(1月13日公表)は、売上高が前期(16年11月期)比17.2%増の108億24百万円、営業利益が14.8%増の5億83百万円、経常利益が15.0%増の5億71百万円、純利益が18.0%減の3億34百万円としている。
ビジネスソリューション事業、人材ソリューション事業とも2桁成長を持続して2桁増収増益予想である。売上総利益率は0.4ポイント低下の28.7%、販管費比率は0.3ポイント低下の23.3%の計画である。配当予想は8円増配の年間18円(期末一括)で予想配当性向は16.2%となる。配当の基本方針は連結ベースでの株主資本配当率(DOE)5%を目安としている。
セグメント別(連結調整前)の計画は、ビジネスソリューション事業が15.9%増収・13.5%営業増益、人材ソリューション事業が19.3%増収・13.1%営業増益としている。
ロジスティクスアウトソーシングは、DM(ダイレクトメール)発送業務から撤退して通販発送代行サービスに経営資源を集中し、事業再拡大に向けて17年1月開設の葛西EC物流センターなど投資を再開している。障がい者雇用支援サービスは、新規開設と既存増設で430区画の販売を計画している。
スマートメーター設置業務は設置計画数が前年を下回る見込みだが、ガス会社から新たに業務を受注した。また建設業界向け人材サービスの立ち上げ準備を開始する。採用支援サービス「Omusubi」は新規受注が順調に増加し、第3四半期(6月~8月)に大型案件がスタートして単月黒字化見込みとしている。
人材派遣サービスはグループ型派遣の強化やドミナント戦略の推進などで、一層の人材需要の取り込みを図る。また新規分野として医療・介護・保育業界向け人材サービスを開始し、オンウェーブと連携して独自の求人サイト開設を進める方針だ。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.2%、営業利益が44.9%、経常利益が46.4%、純利益が51.8%である。通期ベースでも好業績が期待される。
■中期経営計画で「NO.1アウトソーシング・プロバイダー」目指す
新中期経営計画「Next2020-変化への挑戦」では中期ビジョンとして「NO.1アウトソーシング・プロバイダー」を掲げている。社会貢献性が高い分野、景気変化に強い分野、参入障壁が高い分野でバランスの取れたポートフォリオ経営を推進し、ストック型ビジネスの強化、低収益事業の改善、新たな収益柱の構築を目指す方針だ。
経営目標値は、営業利益率5%の早期達成と20年度までに業界最高水準10%の達成、安定的かつ継続的な配当の実施、ROE最低5%堅持としている。人材確保が課題だが、アウトソーシング需要は高水準であり、高付加価値サービスが牽引して中期的に収益拡大基調が期待される。
■株価は06年来高値圏、自律調整一巡して上値試す
7月20日に株式売り出し(28万7000株およびオーバーアロットメント4万3000株)を発表した。売り出し価格は7月31日から8月3日までの間のいずれかの日に決定する。当社普通株式の投資家の分布状況の改善および流動性の向上を目的としている。
株価は7月14日に06年来高値となる3450円まで上伸した。その後は上げ一服の形だが自律調整の範囲だろう。
7月24日の終値2994円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS111円35銭で算出)は26~27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は0.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS344円52銭で算出)は8.7倍近辺である。時価総額は約94億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価する流れに変化はなく、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)