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協立情報通信は底放れの展開で戻り試す、18年2月期第1四半期が実質大幅増益で通期予想に増額余地
- 2017/7/27 08:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
協立情報通信<3670>(JQ)は法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開している。18年2月期第1四半期(連結決算に移行)はモバイル事業の収益改善で実質大幅増益だった。通期は増収・2桁増益予想で、さらに増額余地がありそうだ。株価は急伸して底放れの展開となった。戻りを試す展開が期待される。
■法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開
法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)と、モバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。17年2月期セグメント別売上高構成比はソリューション事業32%、モバイル事業68%だった。
企業のICT(情報通信技術)化実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信システムの構築から導入・保守・運用・教育までを提供するソリューション企業である。
ソリューション事業は、情報通信システムソリューションでNECのPBX(構内交換機)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向け中心に情報インフラ、情報コンテンツおよび情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションをワンストップサービスで提供している。また常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」で、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。
モバイル事はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。
■第1四半期の構成比が高い収益特性
収益面では、ソリューション事業が企業のICT投資関連のため、3月期決算企業の年度末にあたる第1四半期(3月~5月)の構成比が高くなる特性がある。またソリューション事業の神奈川協立情報通信が17年3月事業開始し、17年2月期第4四半期(12~2月)から連結決算に移行した。
利益還元については、継続的かつ安定的な配当を年1回(期末)実施することを基本方針としている。配当水準については、配当性向30~40%程度を目途に、業績に連動させて適正な配当を行うとともに、万一業績が悪化したとしても一定の水準を維持していきたいとしている。
■18年2月期第1四半期は実質大幅増益
今期(18年2月期)第1四半期(3月~5月)の連結業績は、連結決算に移行して売上高が16億88百万円、営業利益が1億37百万円、経常利益が1億38百万円、純利益が96百万円だった。前期(17年2月期)第1四半期の非連結業績との比較で売上高は3.4%増収、営業利益は50.5%増益、経常利益は51.6%増益、純利益は74.5%増益だった。モバイル事業の収益改善などで実質大幅増益だった。
モバイル事業ではインセンティブ増収や法人部門の好調で販管費の増加を吸収して収益が大幅改善した。
売上総利益は同14.7%増加し、売上総利益率は33.0%で同3.2ポイント上昇した。販管費は同6.4%増加し、販管費比率は24.9%で同0.7ポイント上昇した。
セグメント別に見ると、ソリューション事業は売上高が同5.2%減の5億24百万円で営業利益が同5.1%増の84百万円だった。大型案件が寄与して粗利益率が上昇した。受注高は同5.8%減の2億20百万円だが、受注残高は同59.8%増の2億29百万円となった。
モバイル事業は売上高が同7.9%増の11億64百万円で営業利益が52百万円(前年同期は10百万円)だった。店舗、法人とも重点項目を絞った営業施策の結果としてインセンティブが増収となり、販管費の増加を吸収して収益が大幅改善した。利益は計画を超過達成した。携帯電話総販売台数は同9.2%増の1万2706台だった。
■18年2月期は増収・2桁増益予想で増額余地
今期(18年2月期)の連結業績予想(4月13日公表)は、売上高が前期(17年2月期)比6.4%増の61億70百万円、営業利益が同19.7%増の2億78百万円、経常利益が同19.2%増の2億83百万円、純利益が同33.3%増の1億94百万円としている。配当予想は前期と同額の年間50円(期末一括)で、予想配当性向は30.8%となる。
セグメント別には、ソリューション事業の売上高が同9.6%増の20億10百万円で営業利益が同7.0%増の2億74百万円、モバイル事業の売上高が同4.9%増の41億60百万円で営業利益が4百万円の黒字(前期は23百万円の赤字)としている。
ソリューション事業では中型PBXリプレース需要が堅調に推移する。モバイル事業はソリューション事業との連携で法人分野を強化する。モバイル事業におけるヘルパー派遣費用は徐々に減少する見込みだ。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高27.4%、営業利益49.3%、経常利益48.8%、純利益49.5%である。ソリューション事業は第1四半期の構成比が高い収益特性があり、下期にはドコモショップ茅場町店と情報創造コミュニティーの八丁堀への移転費用も発生するが、モバイル事業の収益改善が計画以上であることを考慮すれば通期予想に増額余地がありそうだ。
■ソリューションへのシフトやストック型モデルの強化で高収益化目指す
企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティ」をキーワードとして高水準に推移することが予想されるため、中期的に物販からソリューションへのシフト、モバイル事業の利益率改善など、ストック型収益モデルの強化によって高収益化を目指す方針だ。
中期成長に向けた基本方針は、情報創造コミュニティーの活性化(教育サービスメニューの開発、顧客創造力の増強、定期的なパートナー交流)、パートナー企業との共同展開の積極化、ソリューションサービスのモバイル化とインフラ・コンテンツ・教育・生産価値情報・セキュリティをキーワードとしたサービス展開としている。
なお17年10月には、ドコモショップ茅場町店と情報創造コミュニティーを元の中央区八丁堀に移転する。移転に伴って情報創造コミュニティーのフロア面積を約2倍に拡張する。出会いと共創の場として、さらに進化させる方針だ。
■株主優待制度は毎年2月末に実施
株主優待制度は毎年2月末に実施している。500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。
■株価は底放れの展開で戻り試す
株価は安値圏1700円近辺でモミ合う展開だったが、第1四半期業績を好感する形で7月14日に2207円まで急伸する場面があった。その後も1900円近辺で堅調に推移している。
7月26日の終値1916円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS162円11銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1067円02銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約23億円である。
週足チャートで見ると底放れの展開となった。そして13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じて先高感を強めている。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)