ラ・アトレは好業績評価して上値試す、17年12月期大幅増収増益予想

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 ラ・アトレ<8885>(JQ)は、新築分譲マンションなどの新築不動産販売、リノベーションマンションなどの再生不動産販売を主力として、不動産事業を展開している。17年12月期は大幅増収増益予想である。積極的な事業展開で18年12月期も収益拡大が期待される。株価は水準を切り上げる動きだ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。

■新築不動産販売、再生不動産販売を主力に不動産事業を展開

 新築分譲マンションなどの新築不動産販売、リノベーションマンションなどの再生不動産販売を主力として、不動産事業を展開している。16年12月期セグメント別売上高構成比は、不動産販売事業が92%(新築不動産販売41%、再生不動産販売51%)で、不動産管理事業が8%だった。

■中期成長に向けて周辺分野に積極展開

 中期成長に向けて、首都圏において実需の根強い戸別リノベーションマンションの仕入・販売の強化、綿密なマーケティングに基づく新築マンションの販売、保有資産のポートフォリオの積極的な入れ替え、高齢者住宅施設・宿泊施設・商業施設など収益不動産の開発・取得、福岡や京都など地方中核都市への展開などを積極推進している。

 不動産管理事業ではストック型ビジネスとなる管理・賃料収入の拡大も推進している。17年2月には海外からのインバウンド需要を見込んだ多言語対応・長期滞在型「LAホテル京都」をオープンした。17年4月にはワンルームとシェアハウスのハイブリッド型賃貸物件である「RooF明大前」をオープンした。

 新規事業では17年1月に合弁会社ラ・アトレペイメントを設立して家賃保証事業に参入した。また海外事業ではカンボジアの子会社がコンドミニアム開発を展開している。

 さらに多方面の専門的パートナーとの協業を推進し、新規事業・M&Aを含めた不動産周辺ビジネスへの取り組みも強化する方針だ。17年6月には独立系投資銀行のストームハーバー証券(東京都)と業務協力に関する覚書を締結した。新たな不動産取得スキームや資金調達手法の考案・構築、不動産プロジェクトへの共同取り組みなどを企図している。

 なお経営目標値には、19年12月期の売上高120億円、営業利益12億80百万円、経常利益10億20百万円、純利益7億07百万円を掲げている。既存事業の伸長、海外プロジェクトの収益化、不動産周辺ビジネス・新規事業の収益化、M&Aによる事業拡大と収益取り込みを推進する。

■17年12月期大幅増収増益予想

 今期(17年12月期)の連結業績予想(2月14日公表)は売上高が前期(16年12月期)比87.4%増の88億85百万円、営業利益が2.3倍の8億15百万円、経常利益が2.9倍の6億10百万円、純利益が2.9倍の5億11百万円としている。配当予想は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。予想配当性向は4.3%となる。

 第1四半期(1月~3月)連結業績は売上高が前年同期比24.5%増の9億98百万円、営業利益が1.8%増の37百万円、経常利益が22百万円の赤字(前年同期は4百万円の赤字)、純利益が21百万円の赤字(同3百万円の黒字)だった。販管費の増加などで経常利益と純利益は赤字だが概ね計画水準だったとしている。

 売上高は新築不動産販売が24.2%減収、再生不動産販売が66.6%増収、不動産管理が44.4%増収、利益は新築不動産販売が2百万円の赤字、再生不動産販売が63百万円、不動産管理が53百万円だった。

 通期のセグメント別利益構成比の計画は、新築不動産販売が67%、再生不動産販売が19%、不動産管理が14%としている。

 新築分譲マンションは長野で販売中である。また千葉と福岡で当期竣工予定としている。首都圏を中心とした中古リニューアル物件販売では、プレミアムリノベーションの他に、埼玉での1棟販売などが進捗する。高齢者住宅施設は1月に北海道で3物件を取得した。インバウンド需要を見越した宿泊施設は、京都が2月に開業し、福岡で用地を取得済みである。収益不動産としての商業施設は北海道で追加取得する。

 四半期業績は物件の引き渡しや個別採算によって大きく変動するため、第1四半期の低進捗率はネガティブ要因とはならない。通期ベースではストック型ビジネスの拡大も寄与して好業績が期待される。また積極的な事業展開で来期(18年12月期)も収益拡大が期待される。

■株主優待制度は毎年12月末に実施

 株主優待制度は16年12月期末から優待内容を拡充した。毎年12月末現在で、1単元(100株)以上~5単元未満保有株主に対してクオカード500円分、5単元以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。

■株価は水準切り上げの動き

 なお17年5月に、第三者割当による行使価額修正条項付第6回新株予約権(発行新株予約権数4002個=40万200株、当初行使価額630円、上限行使価額なし、下限行使価格311円)を発行している。

 株価は7月7日に動意づいて、年初来高値となる861円まで急伸する場面があった。その後は買いが続かず反落したが、600円台で推移して水準切り上げの動きが継続している。

 7月28日の終値661円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS117円03銭で算出)は5~6倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS394円61銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約33億円である。
 
 週足チャートで見ると長い上ヒゲを付けたが、13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。16年8月安値を起点とする上昇トレンドの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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