JFEシステムズは02年来の高値圏、18年3月期第1四半期大幅営業増益で通期予想に増額余地

 JFEシステムズ<4832>(東2)はJFEグループの情報システム会社である。製鉄所システム刷新などで18年3月期第1四半期は大幅営業増益だった。通期予想に増額余地がありそうだ。株価は02年来の高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。

■JFEグループの情報システム会社

 JFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も強化している。16年4月に子会社KITシステムズの商号をJFEコムサービスに変更した。

 17年3月期の事業別売上高は鉄鋼が176億円、一般顧客が143億円、基盤サービスが33億円、子会社(JFEコムサービス)が39億円だった。情報システム関連のため、収益面では年度末にあたる第4四半期(1月~3月)の構成比が高い特性がある。

 17年2月にはプレジデント社「PRESIDENT WOMAN 2017年3月号Vol.23」および「プレジデントウーマン白書2017女性が活躍できる企業ランキング」において、大手企業1183社中、総合9位を獲得した。部門別ランキングでも、長く働ける企業ランキング9位、男女共同参画できる企業ランキング9位を獲得した。

■中期経営計画で18年3月期経常利益20億円以上目標

 中期経営計画(16年3月期~18年3月期)では高収益事業への構造転換を目指し、目標数値に18年3月期の売上高400億円以上、経常利益20億円以上、純利益12億円以上、EPS150円以上を掲げている。なお利益目標値は17年3月期に前倒し達成した。

 重点戦略として、JFEスチール製鉄所業務プロセス改革に向けたシステム刷新の遂行、ERPに自社ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業の拡大、基盤サービス事業拡大に向けたクラウドサービスの立ち上げ、自動車など製造業顧客基盤の拡大、e-文書(電子帳票)ソリューションなど自社プロダクト拡販などを推進している。

 JFEスチール製鉄所の業務プロセス改革への対応で多くの技術・ノウハウを蓄積し、基盤サービス事業やソリューション事業に活用して一般顧客向け売上拡大を目指す戦略だ。製造業向けERPなど基幹系システムやサプライチェーン計画系システムに組み合わせて拡販し、高収益な事業構造への転換を推進する。

■鉄鋼はJFE製鉄所システム刷新に対応

 鉄鋼事業ではJFEスチール製鉄所の業務プロセス改革に向けて、システムを刷新して生産管理システムの高度化・共通化を推進する。製鉄所システムプロジェクトを新設してJFEスチールの製鉄所業務プロセス改革斑との連携を強化している。

 17年6月には、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「攻めのIT経営銘柄」31銘柄が発表され、JFEホールディングス<5411>が3年連続で選定された。当社はJFEグループの情報システム会社として、JFEグループ各社のIT企画・設計・開発・運用を担っており、製鉄所基幹システム刷新による業務プロセス改革についてもJFEスチールと一体となって取り組んでいる。

■食品の品質情報管理分野のデファクト化目指す

 食の安全・安心を支える食品業界全体の品質情報管理向上への取り組みを強化し、15年7月には自社開発「MerQurius Net(メルクリウスネット)原料規格書サービス」登録サプライヤ企業が3000社を超えた。原料規格書は食品メーカーがサプライヤから購入する原料の品質に係る情報である。

 16年1月には食品品質情報管理ソリューション「MerQurius」のクラウドサービス「MerQurius クラウド」を開始した。製菓、冷凍食品、調味料など大手食品メーカー中心に200社以上の利用実績を持つ「MerQurius」をクラウド環境で利用可能とするもので、同時に加入する「MerQurius Net 原料規格書サービス」と連携して原料規格書の授受を効率化する。クラウドサービスによって売上高100億円未満の中堅・中小食品メーカー約1200社をターゲットに拡販を推進してデファクト化を目指す方針だ。

■アライアンスも活用

 アライアンス戦略では、13年5月大阪ガス<9532>子会社オージス総研と協業、ビジネスブレイン太田昭和<9658>と資本・業務提携、15年9月ITホールディングス<3626>グループのTISと協業、17年2月ユニリタ(東京都)とビジネスパートナー基本契約を締結した。

■18年3月期第1四半期は大幅営業増益

 7月27日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比8.0%増の93億47百万円、営業利益が2.2倍の4億97百万円、経常利益が2.2倍の5億05百万円だった。

 製鉄所システムリフレッシュ関連が増加し、原価管理徹底なども寄与して大幅営業増益だった。売上総利益は17.5%増加し、売上総利益率は19.6%で1.6ポイント上昇した。販管費は0.1%減少し、販管費比率は14.3%で1.1ポイント低下した。純利益は18年1月予定の本社移転に伴う特別損失7億01百万円を計上したため1億62百万円の赤字だった。

■18年3月期営業増益予想で増額余地

 今期(18年3月期)連結業績予想(6月13日に18年1月予定の本社移転に伴う特別損失計上で純利益を減額修正)は、売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の410億円、営業利益が4.0%増の23億80百万円、経常利益が4.5%増の24億円、純利益が22.5%減の9億80百万円としている。

 純利益は一過性要因で減益だが、JFEスチール製鉄所システム刷新などの増収効果で販管費の増加を吸収し、7期連続増収・営業増益予想である。配当予想は前期と増額の年間44円(期末一括)としている。予想配当性向は35.3%となる。利益配分は内部資金確保と安定的配当を念頭に置きながら、財政状態、利益水準および配当性向等を総合的に勘案して決定するとしている。

 事業別の売上高は、鉄鋼がJFEスチール製鉄所システム刷新を推進して同20億円増加の196億円、一般顧客が金融系大型案件終了で同4億円減少の139億円、基盤サービスが情報連携や情報セキュリティサービスの好調で同5億円増加の38億円、子会社JFEコムサービスが機器単体販売事業縮小で同2億円減少の37億円の計画としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.8%、営業利益20.9%、経常利益21.0%である。第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益特性を考慮すれば、通期予想に増額余地がありそうだ。

■株価は02年来の高値圏、好業績評価して上値試す

 株価は第1四半期業績を好感する形で7月31日に2650円まで上伸した。6月高値2615円を突破して02年来の高値圏だ。

 7月31日の終値2650円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS124円80銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1550円23銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約208億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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