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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】リンテックは15年3月期の利益と配当予想を増額修正、大幅増益見通しを評価して上値追い
- 2015/2/17 07:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
粘着製品大手のリンテック<7966>(東1)は2月12日に第3四半期累計(4月~12月)業績を発表し、今期(15年3月期)の利益と配当予想を増額修正した。これを好感して株価は14年12月高値2750円に接近している。今期大幅増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。
高度な粘着応用技術と表面改質技術(粘着剤や表面コート剤の開発・配合・塗工技術)に強みを持ち、印刷材・産業工材関連(シール・ラベル用粘着フィルム、ウインドーフィルム、太陽電池用バックシート、自動車用・工業用特殊粘着製品など)、電子・光学関連(半導体製造用粘着テープ、積層セラミックコンデンサー製造用コートフィルム、タッチパネル用シート材、液晶用偏光・位相差フィルム粘着加工など)、洋紙・加工材関連(カラー封筒用紙、粘着製品用剥離紙・剥離フィルム、炭素繊維複合材料用工程紙など)の分野に幅広く事業展開している。
14年3月発表の新中期経営計画「LIP-2016」では重点テーマをグローバル展開の推進、次世代を担う革新的新製品の創出、強靭な企業体質への変革、戦略的M&Aの推進、人財の育成とした。目標数値に17年3月期売上高2400億円、営業利益200億円、経常利益200億円、純利益130億円、売上高営業利益率8%以上、ROE8%以上を掲げ、セグメント別には印刷材・産業工材関連が売上高1025億円、営業利益57億円、電子・光学関連が売上高943億円、営業利益88億円、洋紙・加工材関連が売上高432億円、営業利益55億円としている。
新製品関連では米国テキサス州に研究開発拠点NSTCを設立し、米テキサス大学ダラス校と共同開発したカーボンナノチューブ(CNT)を薄いシート状に加工する新技術の16年度中の実用化を目指している。従来手法に比べて100分の1から1万分の1という極薄CNTシートを生成することが可能であり、電気自動車用蓄電装置の電極材料などへの活用が期待されている。
14年12月には、ラベルの貼り替え・改ざん防止対策に役立つセキュリティーラベル素材の新製品として、塩ビフィルムベースに代わる新設計のラベル素材を開発した。
海外展開に関しては14年12月、シンガポールにASEAN地域およびインドなどにおける事業を統括する子会社LAPを設立(15年1月)し、同地域内の子会社の資本再編を実施(15年内)すると発表した。
2月12日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は売上高が前年同期比2.0%増の1534億25百万円、営業利益が同21.0%増の132億40百万円、経常利益が同26.3%増の137億88百万円、純利益が同26.6%増の97億44百万円だった。
セグメント別売上状況を見ると、印刷材・産業工材関連は海外のシール・ラベル粘着製品や自動車用粘着製品などが好調で同32.0%増収、電子・光学関連は液晶ディスプレイ関連粘着製品が売上構成変化の影響を受けたが、半導体関連粘着テープや積層セラミックコンデンサー製造用コートフィルムなどの好調で同4.1%増収、洋紙・加工材関連は炭素繊維複合材料用工程紙が伸長したが、合成皮革用工程紙が中国の市況低迷の影響を受けて同2.3%減収だった。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)493億22百万円、第2四半期(7月~9月)511億67百万円、第3四半期(10月~12月)529億36百万円、営業利益は第1四半期39億75百万円、第2四半期47億79百万円、第3四半期44億86百万円となる。順調に推移しているようだ。
通期の連結業績見通しについて2月12日に売上高を減額、利益を増額修正した。前回予想(5月8日公表)に対して、売上高は40億円減額して前期比1.4%増の2060億円としたが、営業利益は10億円増額して同23.5%増の170億円、経常利益は20億円増額して同32.9%増の175億円、純利益は10億円増額して同35.3%増の115億円とした。
配当予想は前回予想(5月8日公表)に対して、期末4円増額して年間48円(第2四半期末22円、期末26円)とした。前期との比較では4円増配となる。
電子・光学関連がスマートフォン・タブレット向けに好調であり、為替のドル高・円安も寄与して利益が期初計画を上回る見通しだ。通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.5%、営業利益が77.9%、経常利益が78.8%、純利益が84.7%と高水準である。自動車関連やスマートフォン関連の好調が牽引し、プロダクトミックス改善やコスト削減なども寄与する。利益は再増額の可能性もあるだろう。
株価の動きを見ると、14年12月高値2750円から利益確定売りで一旦反落し、2500円~2600円近辺でモミ合う展開だったが、2月12日に2735円まで上伸して14年12月高値に接近した。今期利益と配当予想の増額修正を好感した形であり、好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。
2月16日の終値2646円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS159円42銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2100円87銭で算出)は1.3倍近辺である。
日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返しの動きを強めている。サポートラインを確認して強基調の形だ。今期大幅増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。