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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】山田コンサルティンググループは高値圏で堅調推移、中期成長力を評価して上値追い
- 2015/2/17 07:43
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
経営・財務・M&Aなどコンサルティング事業を展開する山田コンサルティンググループ<4792>(JQS)の第3四半期累計(4月~12月)は営業減益だったが、株価の反応は限定的であり高値圏で堅調に推移している。中期成長力、2%台後半の高配当利回り、自己株式取得を評価して上値追いの展開だろう。3400円台のフシを突破すれば三角保ち合い上放れて一段高となりそうだ。
各種コンサルティング事業を展開するグループの純粋持株会社である。傘下の事業会社では、山田ビジネスコンサルティングが経営・財務・事業承継・M&A支援などの経営コンサルティング事業、山田FASがM&A・企業再編の財務アドバイザイリー業務や中堅・中小企業対応M&A関連業務などの資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、山田不動産コンサルティングが不動産有効活用などの不動産コンサルティング事業、東京ファイナンシャルプランナーズがFP資格取得講座などのFP関連事業、キャピタルソリューションおよび投資事業有限責任組合が投資ファンド事業(事業承継ファンド)を展開している。
中期経営目標としてROE20%以上を掲げ、重点戦略としては、大手金融機関・証券会社・地方金融機関・提携会計事務所との連携強化、中堅・中小企業対応M&A関連分野の拡大、中国現地法人およびシンガポール支店を拠点とした中国・アジア展開の強化などを推進している。投資ファンド事業では、事業承継問題を抱えている優良な中堅・中小企業をターゲットとして、投資リスクを最小限に抑えながら投資案件を発掘している。
またコンサルティングニーズが「事業再生」に加えて「事業成長」も顕在化し、今後その傾向が高まってくると見込んでいるため、こうしたニーズに対応すべく「事業再生コンサルティング中心」から「事業成長コンサルティング」も大きな柱とするビジネスモデルへの変換も進めている。
1月29日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.1%増の59億70百万円、営業利益が同8.3%減の12億09百万円、経常利益が同4.4%増の14億49百万円、純利益が同35.1%減の8億98百万円だった。販管費の増加で営業減益、関係会社売却益の一巡や税金費用の増加で最終減益だったが、外国債券投資に係る為替差益が寄与して経常増益だった。
セグメント別の売上状況(内部売上高調整前)を見ると、経営コンサルティング事業は事業承継関連やM&A関連の受注が好調で同5.2%増収、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業は大型M&A仲介案件の計上などで同14.8%増収、不動産コンサルティング事業は提携会計事務所との連携などが寄与して同53.2%増収、FP関連事業は企業実務研修などの好調で同5.1%増収、投資ファンド事業は投資先1件の株式売却で同84.6%減収だった。
通期の連結業績見通しは、前回予想(10月23日に増額修正)を据え置いて売上高が前期比8.3%増の84億円、営業利益が同11.9%増の19億20百万円、経常利益が同9.6%増の19億70百万円、そして純利益が同26.0%減の12億円としている。配当予想(5月8日公表)は年間90円(第2四半期末45円、期末45円)で、13年10月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前期比10円増配となる。
純利益は前期計上した関係会社株式売却益や子会社間合併に伴う繰延税金資産計上の一巡で減益見通しだが、専門コンサルとしての認知度が向上した効果で、経営コンサルティング事業、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、不動産コンサルティング事業が好調に推移して増収営業増益見通しだ。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が71.1%、営業利益が63.0%、経常利益が73.6%、純利益が74.8%である。営業利益の進捗率がやや低水準の形だが、第4四半期(1月~3月)に事業承継関連およびM&A関連の一部がまとまって売上計上される予定としている。
大型案件の売上計上や投資ファンド事業のイグジットなどで、四半期業績が変動しやすい収益構造を考慮すれば概ね順調な水準であり、通期増額の可能性もありそうだ。中期的にも収益拡大基調が期待される。
なお14年5月に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限10万株、取得価額総額の上限20億円、取得期間14年6月1日~15年3月20日)については、1月は取得が0株で、15年1月31日時点累計の取得株式総数が3万8500株、取得価額総額が1億1732万4400円となっている。
株価の動きを見ると高値圏で堅調に推移している。1月29日に3475円まで急伸して高値を更新した後に一旦反落したが、素早く切り返して2月16日は3440円まで上値を伸ばす場面があった。第3四半期累計の営業減益に対するネガティブ反応は限定的であり、中期成長力を評価する流れに変化はないようだ。
2月16日の終値3395円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS248円93銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間90円で算出)は2.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1518円77銭で算出)は2.2倍近辺である。
週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって強基調を維持している。中期成長力、2%台後半の高配当利回り、自己株式取得を評価して上値追いの展開だろう。3400円台のフシを突破すれば三角保ち合い上放れて一段高となりそうだ。