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テクマトリックスは目先的な売り一巡して上値試す、18年3月期第1四半期は営業利益が減益だが経常利益と純利益は増益
- 2017/8/7 08:21
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
テクマトリックス<3762>(東1)は「ITのスペシャリスト集団」として、システム受託開発やセキュリティ関連製品販売などの情報サービス事業を展開している。18年3月期第1四半期は営業利益が減益だったが、経常利益と純利益は増益だった。通期はセキュリティ関連が好調に推移して大幅増益・連続増配予想である。株価は上場来高値圏から一旦反落したが、目先的な売りが一巡して上値を試す展開が期待される。
■システム受託開発やセキュリティ関連製品販売などを展開
ネットワーク・セキュリティ関連のハードウェアを販売する情報基盤事業、および医療・CRM・EC・金融を重点分野としてシステム受託開発やクラウドサービスを提供するアプリケーション・サービス事業を展開している。
17年3月期のセグメント別売上高構成比は情報基盤事業67%、アプリケーション・サービス事業33%、営業利益構成比は情報基盤事業83%、アプリケーション・サービス事業17%だった。連結子会社は合同会社医知悟、クロス・ヘッド、沖縄クロス・ヘッド、カサレアルの4社である。
収益面では情報システム関連のため、年度末にあたる第4四半期(1月~3月)の構成比が高い特性がある。また医療分野ではオンプレミス型(ユーザーがハードウェア、ソフトウェア、データを自分自身で保有・管理)システム提供から、クラウド型(ユーザーがインターネット経由で利用)サービス提供へビジネスモデル変更を推進しているため、14年3月期から医療情報クラウドサービスの売上と利益をサービス期間に応じて按分計上する方法に変更した。
■ストック型ビジネスやクラウドサービスを拡大
中期成長に向けた重点戦略として、ストック型ビジネスの保守・運用・監視サービス関連の戦略的拡大、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、ネットワーク・セキュリティ関連商材およびサービスの充実などを推進している。
クラウドサービスでは、コンタクトセンター向け顧客情報・対応履歴一元管理CRMシステム「Fast Cloud」や医療情報クラウドサービス「NOBORI」など独自クラウドサービスを開発している。16年4月新たな医療クラウドサービス「NOBORI-PAL」を提供開始、16年7月ネットショップの商品データを一元管理できる新サービス「楽楽アイテムマネージャー」を販売開始した。
約20年にわたって積み重ねてきた経験・ノウハウ・技術を結集した「Fast」シリーズは国内トップクラスの導入実績を誇っている。また17年3月期末「NOBORI」累積契約施設数は650施設(16年3月期末450施設)となった。また「NOBORI」に画像を保管している患者数は約1500万となった。医知悟の遠隔読影プラットフォーム利用専門医数は17年5月15日現在で1300となった。
■M&A・アライアンスを積極活用
M&A・アライアンス戦略を積極活用している。14年10月クロス・ヘッドが仮想化技術の米Pica8(ピカエイト)社に出資、15年8月中国の北京ヘルスバンク・テクノロジーと合弁で北京ヘルステック医療情報技術(当社出資比率40%)設立、15年6月クロス・ヘッドがクライアント仮想化ソフトウェア「OVD」を開発するカナダのInuvika(イヌビカ)社に出資した。
16年11月インドのオンライン医療診察サービスベンチャーであるDocsApp社に資本参加、17年1月カサレアルがクラウドアプリケーション開発環境を提供するPivotalジャパン社と認定トレーニングパートナー契約を締結、17年2月BEDORE(東京都)のAI対話エンジン「BEDORE」と連携したAI顧客サービス・ソリューションの提供を開始した。
17年7月には沖縄クロス・ヘッドが米国Splashtop社の「テクニカルサポート総代理店」認定を世界で初めて取得した。米国Splashtop社は世界トップクラスのリモートデスクトップアプリ開発会社である。
■18年3月期第1四半期は営業減益だが経常・最終増益
7月31日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比0.9%増の49億31百万円、営業利益が16.3%減の1億03百万円、経常利益が85.5%増の2億45百万円、純利益が90.9%増の1億48百万円だった。
人件費増加で営業利益は減益だったが、営業外収益に投資事業組合運用益1億49百万円を計上して経常利益と純利益は増益だった。売上総利益は5.5%増加し、売上総利益率は33.5%で1.4ポイント上昇した。販管費は7.4%増加し、販管費比率は31.4%で1.9ポイント上昇した。
情報基盤事業は売上高が4.5%減の31億51百万円で営業利益が35.5%減の1億21百万円だった。セキュリティ関連が堅調だったが、クロス・ヘッドにおける構造改革に伴う一時的な稼働率低下が影響した。アプリケーション・サービス事業は売上高が12.2%増の17億79百万円で営業利益が17百万円の赤字(前年同期は64百万円の赤字)だった。医療情報クラウドサービス「NOBORI」の好調な引き合いが継続し、累計契約施設数増加で赤字が縮小した。
■18年3月期通期は大幅増益・連続増配予想
今期(18年3月期)の連結業績予想(5月9日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比9.1%増の240億円、営業利益が同21.7%増の20億円、経常利益が同35.2%増の22億円、純利益が同37.5%増の14億円としている。
セキュリティ関連が好調に推移し、人件費の増加などを吸収して大幅増益予想である。配当予想は同3円増配の年間18円(期末一括)で、予想配当性向は22.3%となる。
セグメント別売上高の計画は情報基盤事業が11.9%増の165億円、アプリケーション・サービス事業が3.5%増の75億円としている。情報基盤事業では次世代ネットワーク・セキュリティ関連商材・サービスの拡充を目指す。アプリケーション・サービス事業ではCRM分野・医療分野・インターネットサービス分野においてクラウドサービス(SaaS)を加速度的に推進する。「NOBORI」契約施設数は850を目標とする。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高20.5%、営業利益5.2%、経常利益11.1%、純利益10.6%である。低水準の形だが、第4四半期の構成比が高い特性のためネガティブ要因とはならない。通期ベースで好業績が期待される。
■中期的に年率売上高成長率10%目指す
中期経営計画「TMX3.0」では、目標数値として18年3月期の売上高251億円(情報基盤事業170億円、アプリケーション・サービス事業81億円)、営業利益23億50百万円(情報基盤事業16億円、アプリケーション・サービス事業7億50百万円)を掲げている。
中期的には年率売上高成長率10%、M&Aや海外展開を含めて事業規模250億円~300億円、ストック売上(クラウド、保守、運用・監視サービス等)比率50%超を目指し、売上高営業利益率10%へ挑戦する。
従来のIT産業の労働集約的な請負型ビジネスから脱却し、自らITサービスを創造し、ITサービスを提供する「次世代のITサービスクリエーター」そして「次世代のITサービスプラバイダー」への変貌を継続する。重点事業戦略は、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、セキュリティ&セイフティの追求として、コストダウンによる高収益化やパートナーとのアライアンス強化も推進する。
株主還元については連結配当性向20%以上を基本方針として、利益水準を踏まえた配当額の引き上げを重視し、株主優待制度の充実も推進する。
■株主優待制度は9月末に実施
株主優待制度は毎年9月30日現在の500株以上保有株主を対象として実施している。17年9月末の優待内容は、500株以上保有株主に対しては1000円相当の商品5点または寄付から1点を選択、1000株以上保有株主に対しては3000円相当の商品5点または寄付から1点を選択する。
■株価は目先的な売り一巡して上値試す
株価は第1四半期業績を嫌気する形で上場来高値圏1900円近辺から一旦反落したが、1600円近辺から切り返している。目先的な売りが一巡したようだ。
8月4日の終値1704円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円60銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS277円14銭で算出)は6.1倍近辺である。時価総額は約422億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下ヒゲを付けて切り返す動きだ。目先的な売りが一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)