ファンデリーは18年3月期第1四半期大幅増益、健康食宅配会員数増加基調で通期も2桁増益予想

 ファンデリー<3137>(東マ)は健康食宅配事業を主力として、ヘルスケア総合企業を目指している。一人暮らし高齢者や生活習慣病患者の増加も背景として健康食宅配会員数が増加基調である。18年3月期第1四半期は大幅増益だった。そして通期も2桁増益予想である。株価は水準を切り下げたが、目先的な売りが一巡し、好業績を再評価して上値を試す展開が期待される。

■健康食宅配サービスのMFD事業が主力

 企業理念に「一食二医社会の実現」を掲げて、健康食宅配サービスのMFD(Medical Food Delivery)事業、およびマーケティング事業を展開している。17年3月期事業別売上高構成比はMFD事業91%、マーケティング事業9%だった。

 健康食宅配サービスのMFD事業は健康食(冷凍弁当)の通販カタログを医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から電話・FAX・WEBを通じて注文を受けて宅配する。定期コースとして当社の管理栄養士・栄養士が顧客の疾病・制限数値・嗜好などに合わせてメニューを選び、定期的に届ける「栄養士おまかせ定期便」も提供している。

 健康食通販カタログは、医療機関・保健所・介護施設向けで年4回発行のミールタイム、調剤薬局向けで年2回発行のミールタイムファーマ、および介護食系ミールタイムケアを発刊している。毎号半分程度のメニューを変更して旬の食材を提供している。ミールタイム発行部数は13年春号40万部、14年春号50万部、15年春号75万部と増加基調である。

 健康食宅配サービスから派生した事業として、食品メーカーなどへの健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、食品メーカーなどからの商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などのマーケティング事業も展開し、収益源の多様化を推進している。

■専門性の高い栄養士によるメニュー開発やカウンセリングに強み

 健康食宅配サービスは従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。

 そして健康食通販カタログを配布する全国の医療機関、調剤薬局、介護施設などの紹介ネットワーク(約1万8000ヶ所)を通じた効率的な顧客獲得と、専門性の高い栄養士による「ヘルシー食」「ヘルシー食多め」「たんぱく質調整食」「ケア食」など多様な健康食の開発やカウンセリングを強みとしている。
 
 15年11月には在宅医療を必要とする患者等の食事療法をサポートするため、医療機関に所属する管理栄養士が作る健康食レシピサイト「はちまるレシピ」を開設した。16年9月には予防が期待できる食材を使用した新ブランド「medical+mealtime」を立ち上げた。

■アライアンス戦略も活用

 15年7月KDDI<9433>を代表団体とした「セルフ健康チェックと食事コントロールによる生活習慣病予防事業」に参加し、経済産業省「平成28年度健康寿命延伸産業創出推進事業(地域におけるヘルスケアビジネス創出推進等事業)」の公募に採択候補として決定した。KDDIを代表団体、当社を参加団体としてコンソーシアムを構成し、神奈川県、沖縄県、東京都下の一部自治体の住民に対して、KDDIの「スマホdeドック」および当社の健康食宅配サービス「ミールタイム」を提供する。

 16年10月シャープ<6753>とのサービス連携契約締結を発表した。シャープのウォーターオーブン「ヘルシオ」を通じて、健康志向の商品を製造・販売している食品メーカーの広告、管理栄養士の専門性を活かした食や健康に関する情報など、ユーザーに有益な食や健康に関する音声や画像による情報配信サービス「ポイント家電」をシャープと共同運営する。

■高収益構造が特徴、MFD事業の会員数は増加基調

 高収益構造を特徴としている。メニュー開発は栄養士が行い、顧客獲得は全国の病院や調剤薬局などの紹介ネットワークを通じて効率的に行う。冷凍弁当の製造と宅配は外部に委託している。食材価格変動は概ね外注先で吸収されるため収益変動要因とはなり難い。カタログ制作費はカタログ誌面広告枠販売で賄うことが可能だ。このため売上高営業利益率は16年3月期16.6%、17年3月期18.8%と高収益を達成している。

 なおMFD事業はおせち料理などで12月の売上高が増加する季節要因があるとしている。またマーケティング事業では業務受託売上が下期偏重となる。MFD事業の会員数は15年3月期末15万2771人、16年3月期末18万2905人、17年3月期末20万3441人と増加基調である。1件あたり購入単価は6800円~6900円、定期コース構成比は50%強で推移している。

 利益配分については、当面は内部留保の充実に注力する方針だが、今後は事業規模や収益が安定成長段階に入ったと判断された時点で、経営成績・財政状態を勘案しながら、配当による株主への利益還元に努めるとしている。

■18年3月期第1四半期は大幅増益

 7月31日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の非連結業績は、売上高が前年同期比3.5%増の8億04百万円、営業利益が25.1%増の1億44百万円、経常利益が19.2%増の1億44百万円、純利益が19.0%増の91百万円だった。

 MFD事業、マーケティング事業とも伸長し、販管費の抑制も寄与して大幅増益だった。売上総利益は5.6%増加し、売上総利益率は57.8%で1.2ポイント上昇した。販管費は1.3%減少し、販管費比率は39.8%で1.9ポイント低下した。

 MFD事業は売上高が0.3%増の7億32百万円で、営業利益(連結調整前)が10.0%増の1億70百万円だった。定期コース「栄養士おまかせ定期便」への移行、紹介ネットワークの拡大などで会員数が増加した。マーケティング事業は売上高が52.9%増の71百万円で、営業利益が45.9%増の51百万円だった。広告枠販売が順調に推移し、業務受託売上が大幅伸長した。

 MFD事業の17年6月末会員数は16年6月末比2万180人(10.7%)増加の20万8529人、定期コース会員数は659人(9.4%)増加の7633人となった。1件あたり購入単価は6900円前後、定期コース構成比は50%強で推している。

■18年3月期通期も2桁増益予想

 今期(18年3月期)非連結業績予想(4月28日公表)は売上高が前期(17年3月期)比12.8%増の36億40百万円、営業利益が12.1%増の6億81百万円、経常利益が10.3%増の6億80百万円、純利益が10.6%増の4億36百万円としている。紹介ネットワークの新規開拓や深耕などにより、MFD事業、マーケティング事業とも伸長して2桁増益予想である。配当は無配を継続する。

 セグメント別の計画は、MFD事業の売上高が11.9%増の32億70百万円で営業利益(連結調整前)が13.1%増の7億43百万円、マーケティング事業の売上高が21.5%増の3億70百万円で営業利益が18.3%増の2億70百万円としている。MFD事業の受注件数は11.9%増の472千件、平均単価は同横ばいを想定している。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.1%、営業利益21.1%、経常利益21.2%、純利益20.9%である。やや低水準の形だが、下期の構成比が高い収益特性があるためネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。

■一人暮らし高齢者や生活習慣病患者の増加なども背景に中期成長期待

 中期成長戦略として、紹介ネットワーク拡大・深耕、定期コース顧客獲得、コラボレーションによる商品付加価値向上、マーケティング事業拡大を掲げ、健康に関するソリューションを提供するヘルスケア総合企業を目指している。

 紹介ネットワークに関しては、開拓余地の大きい全国10万ヶ所強の一般病院・診療所向けに拡大を推進するとともに、既存紹介ネットワークにおいても栄養士の交流会「輝く栄養士の会」運営などを通じて、当社の栄養士と医療機関・保健所・介護施設等の栄養士とのコミュニケーション向上を図る。

 定期コース顧客獲得では「栄養士おまかせ定期便」の拡充などの施策によってリピーターの獲得を推進する。リピーター獲得によって安定的な売上・利益の拡大に繋げる。コラボレーションによる商品付加価値向上では、食品メーカー・協会や病院栄養士とのコラボレーションを強化する。

 マーケティング事業拡大では、健康食レシピ情報サイト「はちまるレシピ」に食品メーカー等の商品を使用した健康食レシピを公開するなど、健康食レシピ情報サイトも活用して事業を拡大する。

 高齢者の増加、特に一人暮らし高齢者の増加、さらに生活習慣病患者や食事制限対象者などの増加を背景として健康食宅配市場は拡大基調が予想される。当面は売上高100億円の早期達成を目指しているようだ。従来の食事宅配サービスと一線を画した健康食メニュー開発力などを武器として、中期的に収益拡大基調だろう。

■株価は目先的な売り一巡して上値試す

 株価は5月の上場来高値1959円から反落し、第1四半期業績も嫌気する形で水準を切り下げたが、売られ過ぎ感を強めている。

 8月4日の終値1482円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS68円54銭で算出)は21~22倍近辺、前期実績PBR(前期実績BPS292円10銭で算出)は5.1倍近辺である。時価総額は約94億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。目先的な売りが一巡し、好業績を再評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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