ジェイテックは目先的な売り一巡して出直り期待、技術者派遣の需要高水準

 ジェイテック<2479>(JQ)は技術者派遣の「技術商社」を標榜し、技術職知財リース事業を展開している。18年3月期第1四半期が赤字となり、通期も減益予想だが、技術者派遣の需要は高水準である。株価は第1四半期業績を嫌気する形で安値圏だが、目先的な売り一巡して出直り展開が期待される。

■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力

 製造業の開発・設計部門に技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力としている。専門教育による知識を基盤として、新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的なエンジニアと区別していることが特徴だ。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで、顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。

 子会社ジェイテックアーキテクトは建築分野の技術職知財リース事業、子会社ジェイテックアドバンストテクノロジは製造業向け一般派遣およびエンジニア派遣事業、子会社ジェイテックビジネスサポートは一般派遣・請負・介護・有料職業紹介事業を展開している。

 17年3月期のセグメント別売上構成比は技術職知財リース事業94%、一般派遣およびエンジニア派遣事業6%だった。主力の「技術職知財リース事業」は機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、および建築設計の4分野を柱としている。特定の業界・企業への依存度を低くして、業種別・顧客別売上構成比のバランスを維持していることも特徴だ。

 17年3月期業種別売上構成比は建築関連25.2%、自動車関連21.6%、産業用機器関連17.0%、電子・電気機器関連9.1%、情報処理関連9.4%、精密機器関連3.7%、情報通信機器関連2.9%、半導体・集積回路関連2.7%、航空機・宇宙関連2.3%、一般派遣・その他6.1%だった。
 
 また上位10社の顧客企業の売上構成比は46.3%である。LIXIL、本田技術研究所、ヤマハ発動機、デンソーテクノ、三菱日立パワーシステムズ、富士通テンなど幅広い業種の優良企業との取引がある。

 収益面では期後半の利益構成比が高い特性がある。期前半は新卒テクノロジストの研修期間中の人件費や教育・研修費用が先行するため利益がやや低水準だが、期後半に向けて新卒テクノロジストの戦力化が寄与する。

■先端IT技術を活用したシステムの開発・拡販も推進

 15年3月NFC(近距離無線通信技術)など先端IT技術を活用して、飲食店向け多言語対応注文支援システム「グルくる」を開発し、16年1月特許を取得して拡販を推進している。スマホからNFCタグまたはQRコードを読み取るだけで注文でき、約十カ国後の多言語対応のため外国人旅行客もスムーズに注文できる。

 16年9月にはストレスチェック制度導入をサポートする自社開発システム「こころチェッカー」の販売を開始した。改正労働安全衛生法に基づいて15年12月から50名以上の労働者が在籍する事業場でストレスチェックの実施が義務付けられたことに対応した。17年2月には「JTEC技術教育研修プログラム」の外販を開始した。社内教育で蓄積したカリキュラムから厳選して外部に提供する。

■18年3月期第1四半期は赤字

 7月31日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比7.5%減の7億76百万円、営業利益が1百万円の赤字(前年同期は15百万円の黒字)、経常利益が1百万円の赤字(同15百万円の黒字)、純利益が29百万円の赤字(同24百万円の赤字)だった。

 需要が高水準で稼働率・契約単価は前年同期を上回ったが、人材不足によって案件に対応しきれない状況だったため減収、営業赤字だった。売上総利益は17.6%減少し、売上総利益率は20.8%で2.6ポイント低下した。販管費は9.4%減少し、販管費比率は21.1%で0.4ポイント低下した。

 技術職知財リース事業は売上高が6.6%減の7億40百万円で営業利益(連結調整前)が9.9%減の84百万円だった。情報処理関連や半導体・集積回路関連の顧客企業からの取引が増加したが、他分野の減収をカバーできなかった。一般派遣およびエンジニアリング派遣事業は売上高が22.0%減の36百万円で営業利益が0百万円の黒字(同5百万円の赤字)だった。技術職知財リース事業への一部シフトも影響して減収だが、販管費の削減で黒字化した。

■18年3月期減益予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月9日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.9%増の34億28百万円、営業利益が17.6%減の1億02百万円、経常利益が18.0%減の1億01百万円、純利益が20.7%減の71百万円としている。

 需要が高水準で増収だが、採用コストの増加などで減益予想である。配当予想は前期から記念配当を落として1円減配の年間1円(期末一括)としている。予想配当性向は12.1%となる。

■人材確保課題だが、需要高水準で受注環境良好

 中期経営計画では経営目標値に、20年3月期売上高36億37百万円、営業利益1億11百万円、経常利益1億10百万円、純利益83百万円を掲げている。

 自動車関連、産業機器関連、電機・精密機器関連などを中心に、技術開発や製品設計に対応可能なスキルを持つ技術者に対して派遣需要が一段と高まっている。そして改正労働者派遣法もプラス要因となる。人材確保が課題だが、中期的に受注環境は良好だろう。

■株価は目先的な売り一巡して出直り期待

 株価は第1四半期業績を嫌気して水準を切り下げ、230円~240円近辺でのモミ合いから下放れの形となった。ただし4月の年初来安値204円まで下押す動きは見られない。

 8月7日の終値218円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS8円29銭で算出)は26~27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS93円79銭で算出)は2.3倍近辺である。時価総額は約19億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、目先的な売り一巡して出直り展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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