ワークマンは年初来高値更新、既存店堅調で18年3月期1Q増収増益、通期は7期連続最高純益更新予想で増額の可能性

 ワークマン<7564>(JQ)はワーキングウェア・作業用品専門店チェーンをFC中心に全国展開している。18年3月期第1四半期は既存店が堅調に推移して増収増益だった。通期は7期連続最高純益更新予想である。そして増額の可能性があるだろう。株価は年初来高値更新の展開となった。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。

■ワーキングウェア・作業用品の専門店チェーンを全国展開

 ワーキングウェアや作業用品などの大型専門店チェーンをFC中心に全国展開している。

 ローコスト経営を特徴としてELP(エブリデー・ロー・プライス)戦略を推進し、他社との差別化戦略としてPB商品「WORKMAN BEST」の拡販、販売分析データの活用や単品管理プロジェクトの推進、緻密な品揃えと地域特性に合わせた売り場づくりなどを強化している。PB商品については売上構成比30%を目指している。なお収益面では冬物商品が主力となる第3四半期の構成比が高い特性がある。

 17年3月期末の店舗数は44都道府県下に、FC店が16年3月期末比7店舗増加の660店舗、直営店業務委託店舗が同8店舗増加の90店舗、直営店トレーニング・ストアが同16店舗増加の47店舗、総合計が同31店舗増加の797店舗だった。FC比率は同2.4ポイント低下して82.8%だった。

 店舗展開では、ドミナントエリアの強化、出店エリアの拡大、既存店スクラップ&ビルド(S&B)および不採算店舗閉鎖、年商2億円を目指す売場面積120坪店舗の構築などを推進している。人口10万人に1店舗として、中期的には25年に全国1000店舗を展開し、日本全国どこでも購入できる店舗展開を目指している。

 物流面では既存の伊勢崎流通センターの近接地に新伊勢崎流通センターを建設し、東日本の伊勢崎流通センター(新旧2センターの一体運営)と西日本の竜王流通センター(滋賀県)の2拠点で全国の店舗への物流をカバーする。

■18年3月期1Qは既存店堅調で増収増益

 8月3日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)非連結業績は、チェーン全店売上高が前年同期比4.2%増の199億50百万円で、営業総収入が5.9%増の140億35百万円、営業利益が7.9%増の26億52百万円、経常利益が7.2%増の29億49百万円、純利益が8.0%増の18億46百万円だった。

 店舗展開は新規出店が9店舗、閉店が2店舗、S&Bが3店舗で期末店舗数は16年6月末比36店舗増加、17年3月末比7店舗増加して804店舗となった。FC比率は83.2%で16年6月末比1.7ポイント低下、17年3月末比0.4ポイント上昇した。既存店売上高は101.2%だった。客数が100.8%、客単価が100.5%と堅調に推移した。

 法人企業向け営業を強化してFC年商1.5億円を目指す「Gx1.5プロジェクト」を推進した。PB商品は企業向け作業服「WM COOL」やアウトドア向け「STRETCHシリーズ」など546アイテムを展開した。PB商品売上高は21.7%増の57億89百万円で、チェーン全店売上高に対するPB比率は29.1%となった。

 運営形態別売上高は直営店が21.8%増の22億47百万円、FC店が2.3%増の177億02百万円だった。営業総収入の内訳は、加盟店向け商品供給売上高が3.4%増の82億29百万円、直営店売上高が21.8%増の22億47百万円、加盟店からの収入が4.6%増の27億48百万円、その他の営業収入が1.4%減の8億09百万円だった。

 加盟店向け商品供給売上高除く売上総利益率は67.5%で0.7ポイント上昇した。海外直接貿易取引の増加、為替の円高で仕入コストが減少した。営業総利益率は36.2%で0.9ポイント上昇、販管費比率は17.3%で0.5ポイント上昇した。

■18年3月期通期も増収増益で7期連続最高純益更新予想

 今期(18年3月期)通期の非連結業績予想(4月28日公表)については、チェーン全店売上高が前期(17年3月期)比4.0%増の772億60百万円、営業総収入が4.2%増の542億40百万円、営業利益が6.0%増の101億20百万円、経常利益が5.2%増の112億90百万円、純利益が3.6%増の73億90百万円としている。

 配当予想は前期と同額の年間53円(期末一括)で予想配当性向は29.2%となる。利益配分の基本方針は配当性向30%を目途としている。

 既存店の堅調推移、新規出店、PB商品売上構成比上昇による売上総利益率上昇などで7期連続最高純益更新予想である。店舗展開は新規出店が東京・神奈川・大阪・九州・沖縄を中心に33店舗、閉店が4店舗、S&Bが4店舗、期末総店舗数が29店舗増加の826店舗の計画だ。既存店売上高は同101.8%(客数100.5%前後、客単価101.3%前後)で、PB商品売上高は25%増の240億円、PB商品比率は30%の計画である。

 加盟店サポート強化として、差別化したPB商品開発、販売データを活用した商品の品揃え推進、発注・検品・品出しなど店内作業の軽減、顧客管理システム導入による法人営業バックアップなどを推進する。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率はチェーン全店売上高25.8%、営業総収入25.9%、営業利益26.2%、経常利益26.1%、純利益25.0%と順調である。冬物商品が主力となる第3四半期の構成比が高い特性を考慮すれば、通期予想に増額の可能性があるだろう。

■既存店売上高は7月107.3%と好調

 月次売上高(FC店と直営店の店舗売上高合計、前年比速報値)を見ると、17年7月は全店110.3%、既存店107.3%だった。7月は全国的に気温の高い日が続いたことで夏物衣料が好調だった。7月の新規出店は3店舗、閉店は0店舗で、7月末の総店舗数は807店舗となった。なお17年4月~7月累計の売上高は全店105.7%、既存店102.7%となった。

■中期成長シナリオに変化なし

 テレビCM放映効果による知名度向上、積極的な新規出店、出店エリアの拡大、ドミナント出店の強化、PB商品力の強化、PB商品売上構成比上昇による売上総利益率改善、アルゴリズム自動選択型需要予測機能を持つ自社開発の発注システムによる発注作業の効率化などの効果で、中期成長シナリオに変化はないだろう。

■株価は年初来高値更新、好業績を評価して上値試す

 株価は8月8日に3595円まで上伸し、2月高値3490円を突破して年初来高値更新の展開となった。

 8月8日の終値3535円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS181円29銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間53円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1317円34銭で算出)は2.7倍近辺である。時価総額は約1447億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高感を強めている。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る