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トーソーは目先的な売り一巡、18年3月期1Q赤字で通期も減益予想だが保守的、低PBRも見直し
- 2017/8/9 09:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トーソー<5956>(東2)はカーテンレールやインテリアブラインドの大手である。室内装飾関連事業を主力に介護用品事業も展開している。18年3月期第1四半期が赤字となり、通期も大幅増益だった前期の反動で減益予想だが保守的な印象が強い。株価は年初来高値更新直後に急反落したが、目先的な売りが一巡し、低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。
■カーテンレール・インテリアブラインドの大手
カーテンレールやインテリアブラインドの大手で、国内市場シェアはカーテンレールが約50%、ブラインドが約15%である。
室内装飾関連事業(カーテンレール類、ブラインド類、間仕切類)を主力として、介護用品事業(ステッキなど)も展開している。17年3月期の事業別売上高構成比は室内装飾関連事業が98.5%(カーテンレール類が約47%、ブラインド類が約42%、間仕切類が約2%、その他が約8%)で、介護関連用品などのその他事業が1.5%だった。
室内装飾関連事業の販売先別売上構成比は専門店・工事店が約72%、大型小売業が約11%、海外販売が約2%、その他(メーカーへの資材販売など)が約15%だった。
収益面では、新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い特性がある。利益還元は安定的な配当の継続を重視しつつ、業績および今後の設備投資計画、配当性向等を総合的に勘案した利益配分を行うとしている。
■高付加価値商品の拡販を推進
中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値商品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新商品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を強化している。
■18年3月期1Qは広告宣伝費増加などで赤字
7月31日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比1.1%増の50億64百万円だが、営業利益が43百万円の赤字(前年同期は27百万円の黒字)、経常利益が40百万円の赤字(同17百万円の黒字)、純利益が39百万円の赤字(同0百万円の黒字)だった。
積極的な営業活動で増収だったが、人手不足を背景とする物流費の上昇、新製品発売に伴う広告宣伝費の増加などが影響して赤字だった。売上総利益は0.7%増加したが、売上総利益率は41.1%で0.1ポイント低下した。販管費は4.2%増加し、販管費比率は42.0%で1.3ポイント上昇した。
室内装飾関連事業は売上高が1.0%増の49億68百万円で営業利益が53百万円の赤字(同20百万円の黒字)だった。新製品展示会など積極的な営業活動で増収だったが、物流費や広告宣伝費の増加が影響した。その他事業は売上高が4.4%増の95百万円で営業利益が31.0%増の10百万円だった。ステッキを中心とした介護関連用品の販売活動を強化した。
■18年3月期通期減益予想だが保守的
今期(18年3月期)連結業績予想(5月15日公表)は売上高が前期(17年3月期)比2.3%増の230億円、営業利益が29.5%減の7億10百万円、経常利益が30.0%減の7億円、純利益が38.8%減の4億30百万円としている。配当予想は前期から特別配当2円を落として年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。予想配当性向は24.3%となる。
高付加価値型新製品の提案やプロモーション活動を積極的に推進し、原価低減活動も推進するが、新設住宅着工戸数の減少を見込み、大幅増益だった前期の反動などで減益予想としている。ただし保守的な印象が強い。
■株主優待制度は3月期末に実施
株主優待制度は毎年3月31日現在で、1単元(100株)以上保有株主に対して1000円相当の優待品、10単元(1000株)以上保有株主に対して3000円相当の優待品を贈呈する。優待品はギフトカタログに掲載された旬の食材や生活用品等の中から1点を選択する。また環境保全活動の一環として、インドネシア共和国における「植林活動への寄付」も設けている。
■株価は目先的な売り一巡、低PBRも見直して上値試す
株価は510円~520円近辺でのモミ合いから上放れ、7月27日の年初来高値600円まで急伸したが、直後に第1四半期赤字を嫌気する形で急反落した。ただし540円近辺で売り一巡感を強めている。
8月8日の終値546円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS41円07銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.8%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1109円29銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約65億円である。
週足チャートで見ると大陰線を引いたが、13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高感を強めている。目先的な売りが一巡し、低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)