クレスコの株価は第3四半期の業績が増収増益であったことから、更に一段高を狙う展開
- 2015/2/17 12:00
- 株式投資ニュース
クレスコ<4674>(東1)の株価は好業績を背景に最高値圏で推移している。2月6日に発表された第3四半期業績が増収増益であったことから、更に一段高を狙う展開となっている。昨年10月20日には今期第2四半期と通期業績予想の上方修正を発表しているように業績は順調に推移している。
【第3四半期の決算概況】
今期15年3月期通期連結業績予想は、売上高249億円(前期比13.0%増)、営業利益19億円(同32.9%増)、経常利益21億円(同25.2%増)、純利益13億50百万円(同43.4%増)と2ケタ増収増益を見込んでいる。
同社は、今期、「技術と品質の向上」をテーマに掲げ、高品質を保つことおよび人的リソース(開発要員)の確保を最重要課題として事業を展開している。
好業績の要因は、受注状況が良好であることと、不採算プロジェクトがかなりセーブされていることの他、IT業界が人不足という状況である中で、人的リソースを確保しながら、仕事の量を消化することが出来たことにある、といえる。
第3四半期累計期間の連結業績は、売上高181億54百万円(前年同期比15.4%増)、売上総利益32億92百万円(同18.1%増)、営業利益15億12百万円(同56.0%増)、経常利益16億90百万円(同40.7%増)、純利益11億83百万円(同64.5%増)と2ケタ増収大幅増益。
第3四半期ベースの利益率の推移を見ると、売上総利益率については、13年16.0%、14年16.6%、15年18.1%と上昇している。営業利益率、経常利益率、純利益率についても全て上昇している。今期は、M&Aを全く行っていないことから、前期と同様の体制で15.4%の増収を確保しており、受注が好調であったことの表れといえる。
【セグメントの動き】
セグメント別の売上高は、ソフトウェアについては、149億91百万円(同13.9%増)であった。内訳は、金融関連73億40百万円(同23.3%増)、公共サービス36億05百万円(同4.4%増)、流通・その他40億44百万円(同7.7%増)と金融関連の売上が伸びている。
組込型ソフトウェアは30億97百万円(同23.4%増)であった。内訳は、通信システム7億20百万円(同9.1%減)、カーエレクトロニクス11億14百万円(91.4%増)、その他12億63百万円(同11.3%増)で、特にカーエレクトロニクスはほぼ倍増となっている。
商品・製品販売の売上高は、65百万円(同15.7%増)。
クレスコ単体では、ビジネス向けソフトウェア開発については、全般的に受注が伸びている。中でも金融、生命保険関連の規模が拡大している。スマートフォン、タブレットPC関連の案件も増加している。Beaconについては、研究開発段階で、ビジネスとしてはこれからという状況。運輸、旅行関連は、引き合いが増加している。運輸に関しては、宅配便関連の新規ビジネス立ち上げに向けての対応、旅行については、海外客の増加にどのように対応するかについて各旅行会社が投資を開始している状況である。
組込型ソフトウェア開発については、車載システムの電装化の勢いが増していることを背景に、カーエレクトロニクス関連のソフトウェア開発の受注量が急増している。開発にあたっては、車載システム向け機能安全規格ISO 26262等の安全標準に準拠する必要があり、同社は、機能安全に関するコンサルティングも含め、事業を拡大している。一方で、デジタルテレビなど、情報家電向けは、横ばい状況が続いている。
オリジナル製品・サービス関連については、モバイルソリューションを提供する「モビック」は、受注が旺盛という状況ではまだない。クラウドソリューションを提供する「クレアージュ」については、大規模ではないが、受注件数が増えてきている。オンラインストレージサービスの「インテリジェントフォルダ」は、高速転送が可能な新製品の「インテリジェントフォルダExpress」の導入実績が堅調。
子会社は、各社多少濃淡はあるものの全体的には、堅調な伸びとなっている。
【その他 トピックス】
・企業グループの連携:以前と比較してかなり進んできている。子会社、持ち分法適用会社のコンサルティング会社と協業しながら、顧客の案件を取り込む体制を構築。
・人的リソースの確保:北海道開発センターとクレスコ九州でニアショア開発を行う他、ベトナムにおいて、オフショアを展開、現在3社と協業。
・クラウド関連のソリューション展開:クレアージュ、インテリジェントフォルダExpress等を中心に販売。
【社長コメント】
来期以降について、代表取締役社長根元浩幸氏は以下のように語った。
「需要は引き続き高いと見ています。この状況は、2年、3年継続するのではないかと思います。最大の問題は人的リソースです。人的リソース不足を解消するためには、M&Aは有効と考えています。昨年12月には、協力会社1社(ビジネスパートナー)に持ち分法適用会社になっていただきました。また、海外の企業との協業、社内的には、女性の活用、シニア人材の活用を進めます。品質管理は、継続課題として注力します。
来年度のテーマとしては、「クレスコの強みを更に強化する方針」で取り組んでいきます。強いところを更に磨いて、お客さんに訴求していきます。当社企業グループは色々なエリアで仕事を行っていますので、それぞれ部門別に強みを持っていますが、既存ビジネスでいえば、基盤系です。基盤系は子会社を含めると500名以上の社員を擁していますので、基盤のところで更なる強みを作っていきます。金融はもちろんですが、旅行系も強みといえます。大手の旅行会社を含めてお客さんは増えてきています。
技術的なところではスマートデバイスのところをもっと強化していきます。それから組込系のアンドロイドもグーグルがもっと広がってくると見ていますので、注力していきます。
あとは、既存のビジネスが好調な間に、技術研究所の強化を行います。現在、10名で活動していますが、10名プラスアルファーに加え、外部の人材も活用しようと思っています。
テーマとしては、最近言われていますIоT、あとは我々の開発技術ですね、そのようなところにフォーカスした研究を行っていきたいと思っています。また、これまでお客様と共同研究を行っています。この共同研究に加えて、大学との産学共同も検討しています。
それから新ビジネスということで、先端技術を使ったものとか、サービスとか、知財を利用したもとか、まだまだ儲かるところまでは来ていませんが、投資を継続していこうと思っています。
あとは、社員の教育です。社内的にはトランスフォーメーション施策と言っていますが、技術の勉強もありますし、マネージメントの教育とかにお金を使っています。来年度はポスト次世代クレスコということで、何をどういう風に検討するのか、企画専任のスタッフをおいて、取り掛かる予定です。」