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京写は目先的な売り一巡して上値試す、18年3月期1Q大幅営業増益で通期も大幅営業増益予想
- 2017/8/14 08:30
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
京写<6837>(JQ)はプリント配線板の大手メーカーである。LED照明関連市場拡大や新規取引拡大などで18年3月期第1四半期は大幅営業増益だった。通期も大幅営業増益予想である。株価は第1四半期業績発表をきっかけとして年初来高値圏から急反落したが、売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して上値を試す展開が期待される。
■プリント配線板の大手メーカー
プリント配線板の大手メーカーである。世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を柱として、実装治具関連事業も展開している。
プリント配線板は防塵対策基板、高熱伝導・放熱基板、ファイン回路片面基板などに技術的な強みを持ち、生産は国内、中国、インドネシアに拠点展開している。海外販売拠点として16年8月、韓国LGエレクトロニクスとの取引拡大に向けて京写韓国、北米での自動車関連の拡販に向けて京写メキシコを設立した。
17年3月期の製品別売上高構成比は片面板41%、両面板45%、その他(実装治具関連)13%、製品用途別売上高構成比は自動車関連36%、家電製品23%、事務器11%、映像関連9%、アミューズメント関連3%、その他18%だった。
幅広い用途と顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得し、LED照明関連の市場拡大も背景として、製品サイクルの長い自動車関連や家電関連を強化している。収益面では自動車や家電などの生産動向の影響を受けやすいが、いずれもLED照明関連の市場拡大が追い風である。
■18年3月期1Qは大幅営業増益
今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は売上高が前年同期比8.3%増の50億39百万円、営業利益が20.9%増の1億26百万円、経常利益が13.0%増の1億32百万円、純利益が2.5%減の95百万円だった。
法人税等の増加で純利益は微減益だが、プリント配線板事業の好調が牽引して大幅営業増益だった。プリント配線板事業は国内で自動車関連分野や映像関連分野の受注が増加し、海外は中国やインドネシアでLED照明などの家電製品分野が好調に推移した。実装関連事業もスマートグリッド関連や自動車関連の受注が好調だった。利益面では銅箔価格高騰に伴って主材料の銅張積層板価格が上昇したが、増収効果、海外工場の稼働率改善効果、合理化効果などで吸収した。
売上総利益は11.8%増加し、売上総利益率は18.0%で0.6ポイント上昇した。販管費は10.5%増加し、販管費比率は15.5%で0.3ポイント上昇した。
■18年3月期通期も大幅営業増益予想
今期(18年3月期)連結業績予想(4月28日公表)は売上高が前期(17年3月期)比8.3%増の210億円、営業利益が21.3%増の8億50百万円、経常利益が13.0%増の8億円、純利益が0.9%減の5億50百万円としている。
非日系顧客向けの拡販、生産体制の効率化、新製品の開発、品質の向上などの施策を積極推進する。売上面では自動車関連や家電関連が引き続き好調に推移し、片面配線板の需要回復に伴う内製稼働率の上昇、海外工場における合理化効果なども寄与して大幅営業増益予想である。配当予想は前期と同額の年間8円(期末一括)としている。予想配当性向は20.8%となる。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.0%、営業利益14.8%、経常利益16.5%、純利益17.3%である。やや低水準の形だが、稼働率が上昇する第2四半期及び第3四半期の利益構成比が高くなる収益特性や、期初時点で下期偏重の計画であることを考慮すれば、ネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。
■新中期経営計画で21年3月期営業利益17億円目標
16年6月策定の新中期経営計画では、経営ビジョンを「一流になる」、基本戦略を「企業間連携を活用し電子回路デバイス分野において独自技術を武器に成長分野を攻める」としている。企業間連携によって販路拡大、新マーケット開拓、技術開発を図る方針だ。
目標数値としては、21年3月期の売上高280億円(片面配線板105億円、両面配線板145億円、治具20億円、実装10億円)、営業利益17億円(営業利益率6.0%)を掲げている。株主還元については配当性向20%を目標とする。
中期成長に向けた重点戦略としては、片面配線板は未開拓地域および新規顧客への拡販、独自技術による顧客および成長分野の開拓、両面配線板は海外での拡販および海外生産体制の拡充、実装は国内成長分野への特化と生産自動化、治具は国内外での拡販と新用途の開発などを推進する。また新規事業の創出と育成では、プリント配線板の上流下流および関連分野への進出、産学連携による産業利用用途の製品開発、企業間連携による経営効率化に取り組む方針だ。
片面配線板では印刷技術をベースとした新製品「プリンタブル基板」や、高耐熱粘着シート「MagiCarrier-β」などの開発・市場投入を推進する。両面配線板では海外工場設置で内製比率上昇を推進する。成長分野のLED照明関連は直管型LED照明の普及に加えて、自動車ヘッドライトのLED化進展も期待され、自動車ヘッドライト関連の大手メーカーへの供給も拡大しているようだ。政府が省エネ対策として、エネルギー消費の少ないLED照明の普及を促進する方針を示していることも追い風となる。中期的に収益拡大基調が期待される。
■株価は目先的な売り一巡して上値試す
株価は年初来高値圏550円近辺から急反落し、8月10日には420円まで調整する場面があった。第1四半期業績発表をきっかけとして、目先的な利益確定売りが膨らんだようだ。ただし売られ過ぎ感を強めている。
8月10日の終値443円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS38円38銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS446円91銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約65億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。目先的な売りが一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)