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インテージホールディングスは高値圏で堅調、18年3月期減益予想だが5期連続増配予想や株式分割を評価
- 2017/8/21 08:06
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東1)は国内首位の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。18年3月期第1四半期が営業減益となり、通期も営業減益予想だが、配当は5期連続増配予想である。株価は高値圏で堅調に推移している。上値を試す展開が期待される。なお17年10月1日付で1株を2株に分割する。
■国内首位の市場調査が主力、システムソリューションなども展開
子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界9位の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。
17年3月期のセグメント別売上構成比は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業(事業会社インテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、海外子会社)66%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業(事業会社アンテリオ、アスクレップ、医療情報総合研究所、プラメド)22%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業(事業会社インテージテクノスフィア)12%、営業利益構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援事業56%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業35%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業9%だった。
収益面では期後半の構成比が高い特性がある。利益配分については、配当と内部留保のバランスを考慮した利益配分を行うことを基本方針とし、連結配当性向30%を目安にしている。
■M&A・アライアンス戦略で業容拡大
国内外における積極的なM&A・アライアンス戦略で業容を拡大している。16年3月AGSと合弁会社を設立、16年7月マーケティングアプリケーションズと資本業務提携、アドウェイズと業務提携、16年8月ウィーバーズと資本業務提携、高速屋と資本業務提携、16年10月SBIインベストメントと共同でプライベートファンド「INTAGE Open Innovation Fund」を設立した。
17年1月アジャイルメディア・ネットワーク、電通デジタル・ファンド、マイナビの3社と資本業務提携、17年3月「INTAGE Open Innovation Fund」がインテージグループの社内ベンチャーであるクロスボーダーエイジに投資した。
17年4月みらい創造機構が「みらい創造一号投資事業有限責任組合」へ出資した。東京工業大学が有するビッグデータ解析、AI、IoT、ロボティクスや新材料領域の技術・ノウハウを活用し、新たな事業化とベンチャー創出を推進する。176月にはインテージがウェブレッジとマーケティング分野におけるスマートフォンを活用した視線・表情解析領域で業務提携した。
■18年3月期1Qは営業減益だが経常・最終増益
8月10日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比5.9%増の104億36百万円、営業利益が24.8%減の3億70百万円、経常利益が18.9%増の5億72百万円、純利益が28.6%増の3億95百万円だった。
新規事業への先行投資などで営業利益は減益だったが、受取配当金の増加で経常利益と純利益は増益だった。売上総利益は9.4%増加し、売上総利益率は27.9%で0.9ポイント上昇した。販管費は17.2%増加し、販管費比率は24.3%で2.3ポイント上昇した。営業外収益では受取配当金が増加(前期35百万円、今期2億24百万円)した。
セグメント別に見ると、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は売上高が5.7%増の66億39百万円で営業利益が93.8%減の8百万円だった。カスタムリサーチの既存調査およびインターネット調査などが好調に推移して増収だったが、サービス領域拡大のための先行投資負担で大幅減益だった。
ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は売上高が8.3%増の26億42百万円で営業利益が7.7%増の3億37百万円だった。アスクレップの医薬品製造販売後調査、アンテリオのプロモーション活動評価サービスなどが好調に推移した。
ビジネスインテリジェンス事業は売上高が1.8%増の11億53百万円で営業利益が43.4%減の24百万円だった。ヘルスケアおよび旅行分野が堅調で増収だったが、ビッグデータ高速処理基盤に関する開発および新規事業への先行投資負担で減益だった。
■18年3月期減益予想、配当は5期連続増配予想
今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比6.3%増の510億円、営業利益が6.3%減の40億円、経常利益が5.5%減の41億50百万円、純利益が2.5%減の28億円としている。開発費の増加などで減益予想としている。
なおセグメント別の計画は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は売上高が5.6%増の332億円で営業利益が16.6%減の19億90百万円、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は売上高が7.5%増の115億円で営業利益が3.1%増の15億30百万円、そしてビジネスインテリジェンス事業は売上高が7.5%増の63億円で営業利益が20.5%増の4億80百万円としている。
配当予想は17年10月1日付株式2分割に伴って年間20円(期末一括)に修正した。実質的に変更はなく、前期の年間35円を17円50銭に換算すると2円50銭増配となる。5期連続増配で予想配当性向は28.6%となる。
■新中期計画で研究開発投資を加速
第12次中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では、グループ基本方針を「データ活用領域で先手を取れ」として、戦略ポイントは成長ドライバー創出に向けた研究開発体制の整備、ビジネス領域の進化とデータ価値向上の実現、働き方改革へのチャレンジとしている。
経営目標値には20年3月期売上高620億円(消費財・サービス分野マーケティング支援事業394億円、ヘルスケア分野マーケティング支援事業126億円、ビジネスインテリジェンス事業100億円)、営業利益50億円を掲げた。成長投資を推進して売上高に対するR&D経費比率を従来の1%水準から2%水準に引き上げる。株主還元はROAを意識して配当性向35%を目安とする。
■株価は高値圏で堅調、株式分割も評価して上値試す
8月10日に株式分割を発表した。17年9月30日を基準日(効力発生日17年10月1日)として1株を2株に分割する。
株価の動きを見ると7月20日に上場来高値2524円まで上伸し、その後も高値圏2300円~2400円近辺で堅調に推移している。
8月18日の終値2302円を指標面(株式2分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS140円22銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間40円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円74銭で算出)は2.0倍近辺である。時価総額は約463億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。ビッグデータ・AI(人工知能)関連としても注目され、株式分割も評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)