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平山ホールディングスは戻り歩調、18年6月期大幅営業増益予想で収益改善を評価
- 2017/8/21 07:59
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
平山ホールディングス<7781>(JQ)は国内製造業向けインソース(製造請負)・派遣事業を主力として、技術者派遣や現場改善コンサルティングサービスも展開している。17年6月期は営業減益だったが、18年6月期は大幅営業増益予想である。株価は戻り歩調だ。収益改善を評価して上値を試す展開が期待される。
■国内製造業向けインソース(製造請負)・派遣事業が主力
17年3月1日付で旧平山が持株会社に移行して平山ホールディングスに商号変更した。国内製造業向けのインソース(製造請負)・派遣事業を主力として、連結子会社トップエンジニアリングの技術者派遣事業、海外事業、その他事業(製造業向け現場改善コンサルティング事業、スタディーツアー事業など)も展開している。
17年6月期売上高構成比はインソーシング・派遣事業(旧アウトソーシング事業)が78%、技術者派遣事業が8%、海外事業が13%、その他事業が2%だった。利益配分については、安定した配当の継続という観点から配当性向25%を基本としている。
■テルモ向けを主力に大手優良企業グループと強固な取引関係を構築
主要取引先はテルモ<4543>向けを主力として、LIXILグループ、TOPPANグループ、TOTOグループ、トヨタグループ、リコーグループ、三菱グループなどである。多種多様な業種・工程での実績を持ち、業界を超えた製造技術・ノウハウを蓄積して、大手優良企業グループと強固な取引関係を構築している。
海外はベトナムとタイの現地法人(非連結子会社)で、日本国内のエンジニア不足に対応した外国人技術者の採用、東南アジア諸国の日系企業との取引拡大を推進している。16年2月には平山タイの子会JSHRが、JOB SUPPLY(JS)社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けた。
■「現場改善力」が強み
主力のインソーシング・派遣事業では、当社に所属する現場改善コンサルタントと連携したサービスを提供し、顧客企業の製造現場における生産性向上、コスト削減や「ものづくり力」強化に繋げていることが強みだ。
請負現場「ものづくり力」高度化のために、中核になる生産管理者の育成を強化するとともに、製造企業OBシニア層の技術を再開発して、製造現場の改善をワンストップで提案できる体制を構築することに経営資源を最優先で投資している。また従来の派遣・請負会社のイメージを脱却し、社内で育成した人材を社会に還元する「教育会社」を目指している。
15年7月には当社独自の求人サイト「ものっぷ」を開設した。17年1月設立した子会社の平山LACC」は、17年6月「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく特例子会社として認定された。
■長期的目標は売上高営業利益率8%
経営目標としてはグループ売上高200億円の早期達成を目指し、売上高営業利益率を中期的に5%、長期的に8%に向上させる方針だ。重点戦略としては、コンサルティング機能の強化や外国人技能者の積極的活用により、現場改善力・収益力を高めて差別化や顧客の囲い込みを推進する。
そして国内製造業既存取引先の事業所拡大・安定化、既存製造派遣取引先のインソーシング(製造請負)化、自社管理業務および既存インソーシング契約取引先業務の改善、新規取引先の開拓(インソーシング案件獲得)、ハイエンド派遣・設計エンジニア派遣の拡大などを推進する。
海外展開については、タイ、ベトナム、インドネシアでのコンサルティング事業の拡大、インドネシア、フィリピンへの拠点展開などを推進し、東南アジアでの人材ビジネス企業、コンサルティング企業、教育関連企業へのM&Aも検討する。JS社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けたタイのJSHR社については、中期的に4000名体制を目指すとしている。
■17年6月期は営業減益だが経常・最終増益
8月14日発表した前期(17年6月期)の連結業績は、売上高が前々期(16年6月期)比19.4%増の116億42百万円、営業利益が68.9%減の39百万円、経常利益が36.7%増の87百万円、純利益が10.2倍の1億47百万円だった。
採用関連コストの増加、技術者派遣事業における先行投資負担などで大幅営業減益だったが、計画(6月13日に減額修正)に対しては売上高が24百万円、営業利益が9百万円、経常利益が13百万円、純利益が41百万円、それぞれ上回った。自動車・輸送機器関連、住設関連、食品関連分野が堅調に推移し、営業外での為替差損益の改善や、特別利益での消費税等簡易課税差額収入も寄与した。
売上総利益は4.4%増加したが、売上総利益率は13.8%で2.0ポイント低下した。販管費は11.1%増加したが、販管費比率は13.4%で1.0ポイント低下した。営業外では為替差損益が改善(前々期差損48百万円、前期差益37百万円)した。特別利益で消費税等簡易課税差額収入1億12百万円を計上した。
ROEは6.8%で6.0ポイント上昇、自己資本比率は40.2%で7.3ポイント低下した。配当は18円減配の年間20円(期末一括)とした。ただし前々期の年間38円には上場記念配当32円が含まれているため普通配当ベースでは増配となる。配当性向は23.2%だった。
主力のインソーシング・派遣事業は売上高が9.1%増の90億62百万円で、営業利益(連結調整前)が4.7%減の7億80百万円だった。技術者派遣事業は売上高が2.0%増の9億33百万円で、営業利益が3百万円の赤字(前々期は46百万円の黒字)だった。いずれも受注は堅調だが、採用広告費の増加、先行投資による人件費の増加で減益だった。
海外事業は売上高が4.4倍の14億62百万円で、営業利益が33百万円の赤字(同20百万円の赤字)だった。M&Aが寄与して大幅増収だが、先行投資負担で赤字だった。その他事業は売上高が1.4%減の1億84百万円で営業利益が2.5%増の24百万円だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期27億28百万円、第2四半期28億86百万円、第3四半期29億円、第4四半期31億28百万円、営業利益は26百万円の赤字、30百万円、3百万円、32百万円だった。
■18年6月期は大幅営業増益予想
今期(18年6月期)連結業績予想(8月14日公表)は売上高が前期(17年6月期)比12.5%増の131億円、営業利益が4.0倍の1億60百万円、経常利益が82.0%増の1億60百万円、純利益が36.0%増の2億円としている。配当予想は10円増配の年間30円(期末一括)とした。予想配当性向は25.6%となる。
インソーシング事業では既存取引先の増産への対応、新規取引先の開拓、外国籍人材の採用拡大、技術者派遣事業では生産技術領域への営業強化、外国籍技術者の採用拡大、海外事業ではタイ現地法人における拡販を推進する。
■株価は戻り歩調で上値試す
株価は7月12日の年初来高値1375円から一旦反落したが、1200円割れ水準から切り返しの動きを強めている。戻り歩調に変化はないだろう。
8月18日の終値1262円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS117円04銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1276円82銭で算出)は1.0倍近辺である。なお時価総額は約22億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となった。自律調整が一巡し、収益改善を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)