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ミロク情報サービスは自律調整一巡して上値試す、18年3月期1Qが2桁営業増益で通期予想は増額の可能性
- 2017/8/21 07:57
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ミロク情報サービス<9928>(東1)は財務・会計ソフトの開発・販売・サービスを主力として、クラウドサービスやFinTech分野も強化している。18年3月期第1四半期は2桁営業増益だった。ストック型収益構造であることも考慮すれば通期予想は増額の可能性が高いだろう。株価は上場来高値圏から一旦反落したが、自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
■財務・会計ソフトの開発・販売およびサービスが主力
会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、財務・会計ソフトなどの業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。会計事務所が抱えている課題を解決することで中堅・中小企業支援にも?がるトータルソリューションを強みとしている。
17年3月期の品目別売上高構成比は、システム導入契約売上高(システム導入契約時のハードウェア、ソフトウェア、システム導入支援サービスなどのユースウェア販売)が62%、サービス収入(会計事務所向け総合保守サービスTVS、ソフト使用料収入、企業向けソフトウェア運用支援サービス、ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入など継続的な役務の対価)が34%、その他が4%だった。
収益はソフト保守サービス契約率上昇などでサービス収入が拡大するストック型収益構造である。全国約8400の会計事務所ユーザー、および約1万7000社の中堅・中小企業ユーザーを有し、ストック型収益が伸長して収益力が向上している。
■中期計画で21年3月期ROE30%目指す
長期目標として21年3月期売上高500億円、経常利益率30%、ROE30%を目指している。
重点戦略として、顧客基盤拡大に向けた販売戦力増強と販路拡大(市場ポテンシャルに合わせた人的リソース配分適正化、販社M&Aも活用したエリア拡大、顧客サポート体制と経営情報サービスの充実など)、新規顧客を創造する新製品・サービス開発・提供(マルチデバイス対応クラウドサービスなど)、新規事業による新たな収益基盤確立(利益率向上に向けた事業ポートフォリオ再設計、中小企業の事業承継・事業再生支援サービスへの参入など)を推進している。
■M&Aやアライアンスも活用して新製品・サービスを強化
新製品・サービスの強化ではM&A・アライアンスも積極活用し、中小・ベンチャー企業支援ビジネス情報サイト「bizocean(ビズオーシャン)」のクラウド拡充とネットビジネスへの展開、マルチデバイス対応お金管理アプリ「マネトラ」による消費者間取引(CtoC)市場への参入、経済団体・FC企業への会計クラウドサービスの提供などを推進している。
16年4月子会社ビズオーシャン設立して「bizocean」事業を継承、16年7月子会社クラウドインボイスと協業して会計事務所向け記帳代行支援サービス「丸投げ記帳代行」提供開始、東洋ビジネスエンジニアリング<4828>と協業してERPソリューション提供開始、16年8月中小企業向けERPクラウドサービス「MJSLINK NX-I for IaaS」提供開始、17年4月中堅・中小企業向け新ERPシステム「Galileopt NX-Plus」販売開始した。
■FinTech分野に参入して新サービス展開
16年2月英国のSkwile社と資本業務提携してFinTech分野に参入した。16年3月中小企業の経営・業務改善を支援するBtoBクラウドプラットフォーム「bizsky」を構築した。振込、請求書発行・入金消込、給与明細配信、アカウントアグリケーション、資金繰り管理など新たなFinTech分野サービスを「bizsky」上で展開する方針だ。そして16年9月クラウドサービス「楽(らく)たす振込」を開始、17年1月「楽たす給与振込」を開始した。
17年5月新たなFinTech分野のサービス構想に向けて、韓国BrilliantTS社および韓国NFC社と資本業務提携した。また17年6月にはソラミツが開発したブロックチェーン基盤「Hyperledger Iroha」のユースケース・パートナーとして参画した。
■18年3月期1Qは2桁営業増益
今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の69億92百万円、営業利益が24.5%増の13億04百万円、経常利益が21.6%増の12億80百万円、純利益が8.3%増の7億40百万円だった。
主力のERP製品におけるFinTech機能や管理会計機能の強化、クラウドを中心とした新製品・サービスの積極投入、主要都市における新製品発表会開催、全国各地での多彩なセミナー・研修会の開催による新規顧客開拓などを推進し、システム導入契約売上高およびサービス収入とも好調に推移した。
システム導入契約売上高は6.3%増の43億93百万円で、内訳はハードウェアが24.9%増の8億57百万円、ソフトウェアが5.3%増の27億03百万円、ユースウェアが5.3%減の7億40百万円だった。
サービス収入は6.9%増の23億23百万円で、内訳は会計事務所向けの総合保守サービスTVS収入が1.6%増の4億73百万円、ソフト使用料収入が7.8%増の3億22百万円、企業向けのソフトウェア運用支援サービス収入が11.3%増の10億35百万円、ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入が3.3%増の3億26百万円、サプライ・オフィス用品が2.7%増の1億65百万円だった。
差引売上総利益は8.9%増加し、差引売上総利益率は66.7%で0.8ポイント上昇した。販管費は3.9%増加したが、販管費比率は48.0%で1.8ポイント低下した。営業外では持分法投資損失が増加(前期6百万円、今期81百万円)した。特別損失では投資有価証券評価損1億27百万円を計上した。
■18年3月期通期も増収増益予想、そして増額の可能性
今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.1%増の273億円、営業利益が7.2%増の44億円、経常利益が9.7%増の44億円、純利益が9.3%増の28億60百万円としている。配当予想は前期と同額の年間25円(期末一括)で、予想配当性向は27.3%となる。
システム導入契約売上高およびサービス収入とも順調に拡大して増収増益予想である。通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.6%、営業利益が29.6%、経常利益が29.1%、純利益が25.9%と高水準である。ストック型収益構造であることも考慮すれば通期予想は増額の可能性が高いだろう。
■株価は上場来高値更新の展開
株価は6月の上場来高値2511円から一旦反落したが、2200円近辺で下げ渋る動きだ。自律調整が一巡したようだ。
8月18日の終値2200円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS91円69銭で算出)は24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS474円72銭で算出)は4.6倍近辺である。時価総額は約766億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)