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ソーバルは上場来高値圏、18年2月期2桁営業増益予想で配当増額や株式2分割(9月1日付)も好感
- 2017/8/22 06:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソーバル<2186>(JQ)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開している。18年2月期2桁営業増益予想である。株価は配当予想増額や株式分割も好感して上場来高値圏だ。好業績を評価する流れに変化はなく、目先的な過熱感が解消して上値を試す展開が期待される。なお9月1日付で1株を2株に分割する。
■組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開
組み込みソフト開発、ウェブ・スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。技術力と経験豊富な人材を合わせ持つ国内有数の独立系組み込みソフト開発企業で、M&Aも活用して顧客や分野の多様化、新規事業の開拓、人材の確保を推進している。
15年5月アンドールシステムサポートを子会社化、16年5月オムロン<6645>向けを主力とする子会社MCTEC(12年9月子会社化した旧モバイルコンピューティングテクノロジーズ)を吸収合併、17年4月ユビキタス社からIoTプラットフォーム関連のサービス&ソリューション事業を譲り受けた。
■優良な大口顧客と強固な信頼関係、新規顧客開拓も進展
優良な大口顧客と強固な信頼関係を構築している。17年2月期の主要顧客別売上高構成比は、キヤノン<7751>グループ52.2%、ソニー<6758>グループ12.7%、富士通<6702>グループ8.5%、NTT<9432>グループ2.8%、その他顧客23.8%だった。
新規顧客開拓が進展しているためキヤノングループの構成比は低下傾向である。その他顧客は、アンドールシステムサポート社の貢献や新規受託開発案件の増加などで顧客層が拡大し、売上高・構成比とも上昇傾向である。また17年2月期の取引社数は16年2月期比7社増加の159社となった。日立グループとの取引を開始して自動車関連への展開を加速している。
■受注環境良好でM&A戦略も推進
製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。人材やパートナー企業の確保が課題だが、受注環境は中期的にも良好である。
こうした事業環境に対応して、販路拡大、多角的収益構造の構築、エンジニアのワーク・ライフ・バランスの充実、エンジニアの技術力向上、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーの育成、精度の高いプロジェクト管理、積極的なM&A戦略などの施策を推進している。
利益配分については、内部留保の充実を図りながら、安定的かつ継続的に増加させていくことを基本方針としている。
■18年2月期第1四半期は2桁増益
今期(18年2月期)第1四半期(3月~5月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.5%増の20億76百万円、営業利益が15.4%増の1億58百万円、経常利益が29.5%増の1億59百万円、純利益が11.4%増の1億04百万円だった。
需要が高水準に推移し、積極的な営業活動、AI・自動運転関連・ビッグデータ・IoTなど新技術のキャッチアップ、プロジェクトマネージャーやリーダーの育成、若手社員の教育強化なども奏功して増収・2桁増益だった。売上総利益は2.4%増加し、売上総利益率は21.6%で0.2ポイント上昇した。販管費は3.5%減少し、販管費比率は14.0%で0.7ポイント低下した。営業外費用では退職給付費用16百万円が一巡した。
■18年2月期は2桁営業増益予想・連続増配予想
今期(18年2月期)の連結業績予想(4月12日公表)は、売上高が前期(17年2月期)比2.6%増の81億20百万円、営業利益が15.5%増の5億70百万円、経常利益が13.8%増の5億69百万円、純利益が9.6%増の3億81百万円としている。
需要は高水準であり、既存顧客との取引ボリューム維持・拡大、新規分野の顧客開拓、人材配置転換コストの削減、プロジェクト管理徹底などで増収・2桁営業増益予想である。通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.6%、営業利益が27.7%、経常利益が27.9%、純利益が27.3%と順調である。通期予想に増額余地がありそうだ。
7月21日に株式分割と配当予想増額修正を発表した。17年8月31日を基準日(効力発生日17年9月1日)として1株を2株に分割する。また配当予想は第2四半期末24円、期末12円とした。17年9月1日付株式2分割前に換算すると年間48円で、前回予想比3円増額、前期比6円増配となる。
■株主優待制度は毎年8月末に実施
株主優待制度は毎年8月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。1単元以上~5単元未満保有株主に対して500円相当QUOカード、5単元以上保有株主に対して2000円相当QUOカードを贈呈する。
なお17年9月1日付株式2分割に伴い、17年8月末は現行どおりだが、18年8月末以降は1単元(100株)以上~10単元(1000株)未満保有株主に対して500円相当QUOカード、10単元以上保有株主に対して2000円相当QUOカードを贈呈する。
■株価は上場来高値圏、目先的な過熱感解消して上値試す
株価は配当予想増額や株式分割も好感して7月25日の上場来高値2580円まで急伸した。その後は目先的な過熱感で上げ一服の形だが、2000円近辺から徐々に水準を切り上げている。
8月21日の終値2172円を指標面(9月1日付株式2分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS93円33銭で算出)は23~24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS679円79銭で算出)は3.2倍近辺である。時価総額は約89億円である。
週足チャートで見ると窓を開けて急伸し、高値圏で長い上ヒゲを付けたが、日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。好業績を評価する流れに変化はなく上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)