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加賀電子は06年来の高値圏、18年3月期1Q大幅増益で通期予想は増額の可能性
- 2017/8/23 07:45
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期第1四半期は大幅増益だった。需要回復して通期予想は増額の可能性が高いだろう。株価は水準を切り上げて06年来の高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。
■中期経営計画で19年3月期経常利益100億円目指す
中期経営計画2018では、16年3月期~19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。
重点市場と位置付けるIoT分野では、屋内・屋外に対応した自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。また京セラコミュニケーションズが国内で敷設するIoT専用通信網に対応した端末を提供することが決定した。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。
海外は、北米・中南米地域でのビジネス拡大を目指して16年12月メキシコに北米向けEMSの生産拠点となる子会社を設立した。またインドおよびベトナムでのビジネス展開を目指し、17年7月連結子会社KAGA ELECTRONICSが、東南アジア地域におけるEMS生産拠点の拡充を目的として、ベトナムに現地法人を設立した。欧州ではチェコ工場での基板実装を増設し、欧州地域での顧客獲得を目指す。
利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25~35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。
17年5月には成長戦略の一環としてベンチャー投資を本格化すると発表した。重点市場において約3年間で総額50億円をベンチャー企業・事業に投資する。そして17年7月空気清浄機や加湿器等を製造販売するカドー(東京都)に出資、IT人材事業・ゲーム事業・動画事業・インターネット事業を展開するギークス(東京都)に出資、無線多段中継技術とクラウド監視・制御システム開発を行うPicoCELA(福岡県)に出資した。
■18年3月期1Qは大幅増益
今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.6%増の561億74百万円、営業利益が2.7倍の20億88百万円、経常利益が3.6倍の22億05百万円、純利益が25.3%増の17億50百万円だった。
国内外における電子機器向けEMSビジネスや、国内のアミューズメント業界向け機器などが好調に推移して大幅増益だった。売上総利益は16.0%増加し、売上総利益率は14.0%で1.0ポイント上昇した。販管費は3.9%減少し、販管費比率は10.3%で1.2ポイント低下した。営業外費用では為替差損が減少(前期2億93百万円、今期19百万円)した。
電子部品事業は売上高が6.3%増の417億21百万円で、営業利益(連結調整前)が2.5倍の15億39百万円だった。国内外における電子機器向けEMSビジネスが好調だった。情報機器事業は売上高が10.0%増の111億32百万円で、営業利益が3.4倍の3億58百万円だった。パソコンなどコンシューマ向けが減少したが、住宅向け関連商材が好調だった。
ソフトウェア事業は売上高が6.1%減の4億48百万円で、営業利益が0百万円の赤字(前年同期は75百万円の黒字)だった。その他事業は売上高が20.1%増の28億72百万円で、営業利益が1億52百万円(同70百万円の赤字)だった。国内のアミューズメント業界向け機器などが好調だった。
■18年3月期営業微増益予想だが増額の可能性
今期(18年3月期)連結業績予想(5月10日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比1.2%増の2300億円、営業利益が1.8%増の70億円、経常利益が2.1%増の75億円、純利益が21.2%減の55億円としている。
売上総利益率は横ばいの13.7%、販管費比率は横ばいの10.7%を想定し、純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。配当予想は前期と同額の年間60円である。前期の年間60円には特別配当20円を含んでいるため普通配当ベースでは20円増配の形となる。予想配当性向は29.9%となる。
セグメント別には、電子部品事業の売上高が2.2%増の1750億円で営業利益(連結調整前)が8.8%増の53億50百万円、情報機器事業の売上高が1.3%減の420億円で営業利益が6.1%減の14億円としている。ソフトウェア事業は売上高が5.0%減の30億円で営業利益が14.8%減の4億50百万円、その他事業は売上高が2.7%減の100億円で営業利益が2億円の赤字(前期は2億12百万円の赤字)としている。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.4%、営業利益29.8%、経常利益29.4%、純利益31.8%と高水準である。需要回復して通期予想は増額の可能性が高いだろう。
■株価は06年来の高値圏、好業績評価して上値試す
株価は水準を切り上げて8月9日に2956円まで上伸した。06年来の高値圏である。
8月22日の終値2775円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS200円47銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2401円00銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約796億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)