松田産業は戻り歩調で2月の年初来高値試す、18年3月期1Q大幅増収増益で通期予想は増額の可能性

 松田産業<7456>(東1)は貴金属関連事業および農林水産品販売事業を展開している。18年3月期第1四半期は大幅増収増益だった。数量・市況回復で通期予想は増額の可能性が高いだろう。株価は水準を切り上げて戻り歩調だ。好業績を評価して2月の年初来高値を試す展開が期待される。

■貴金属リサイクルや農林水産品販売を展開

 貴金属リサイクル(貴金属事業)や産業廃棄物処理(環境事業)などの貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。17年3月期の売上高構成比は貴金属関連事業63%、食品関連事業37%、営業利益構成比は貴金属関連事業63%、食品関連事業37%だった。

 貴金属リサイクルは、半導体・電子材料部材・化成品などの貴金属製品をエレクトロニクス業界へ販売するとともに、半導体や電子部品を製造する過程で規格外となった部品(スペックアウト品)などの貴金属含有スクラップを国内外のメーカーから回収・処理・製錬することで、貴金属(金・プラチナ・パラジウムなど)をリサイクルする。
 産業廃棄物処理は、写真の感光材料からの銀の回収、廃酸や廃アルカリの無害化中間処理など、産業廃棄物の回収・処理を行っている。無害化処理技術に強みを持ち、全国47都道府県での収集運搬業許可を得ている。

 貴金属関連事業では「東アジアNO.1リファイナー」を目指し、国内外の拠点拡充、貴金属原料の確保と化成品などの製品販売強化、製品・技術開発強化を推進している。海外は中国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムに展開している。16年8月には、貴金属関連事業の西日本地域における生産処理拠点の拡充による機能強化を図るため、岐阜県関市で不動産(土地・建物等、総額約7億円)を取得した。埼玉県入間市と合わせて国内生産二拠点化を推進する。

 食品関連事業は、すりみ・エビ・貝類などの水産品、鶏卵・鶏肉・ポーク・ビーフなどの畜産品、乾燥野菜・冷凍野菜などの農産品を取り扱っている。取扱商品の豊富さとグローバルな調達ネットワークが強みだ。

 16年2月には水産品専門商社のガルフ食品の全株式を取得した。海外は中国、タイに拠点展開している。17年5月には食品原材料の販売市場の開拓と現地における仕入強化を目的として、ベトナム・ホーチミン市に現地法人を設立した。

■エレクトロニクス業界の生産動向や貴金属・食品市況が影響する収益特性

 収益面では、半導体・電子部品などエレクトロニクス業界の生産動向、貴金属および食品市況の影響を受けやすい特性がある。

■18年3月期1Qは大幅増収増益

 今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比17.8%増の457億21百万円で、営業利益が99.5%増の10億55百万円、経常利益が2.1倍の11億56百万円、純利益が2.3倍の7億61百万円だった。

 数量・市況回復で大幅増収増益だった。売上総利益は14.2%増加したが、売上総利益率は9.6%で0.3ポイント低下した。販管費は0.6%増加にとどまり、販管費比率は7.3%で1.3ポイント低下した。

 セグメント別に見ると、貴金属関連事業は売上高が17.6%増の286億88百万円で、営業利益が64.2%増の6億13百万円だった。写真感材業界の市場縮小で銀製品の販売量が減少したが、主力顧客であるエレクトロニクス業界の生産が好調に推移し、貴金属リサイクルおよび産業廃棄物処理の取扱量が増加した。また金製品および電子材料等の販売量が増加した。貴金属販売価格の上昇も寄与した。

 食品関連事業は売上高が18.1%増の170億47百万円で営業利益が2.8倍の4億42百万円だった。すりみの販売価格が下落し、農産品の販売数量が減少したが、水産品および畜産品の販売数量が増加した。

■18年3月期増収増益予想、さらに増額の可能性

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比7.3%増の1750億円、営業利益が8.1%増の32億円、経常利益が1.2%増の35億円、純利益が1.4%増の24億90百万円としている。配当予想は前期と同額の年間28円(第2四半期末14円、期末14円)で、予想配当性向は29.6%となる。

 貴金属関連事業において貴金属リサイクル取扱量が回復傾向であり、食品関連事業も販売数量が堅調に推移して、全体として増収増益予想である。貴金属関連事業は売上高が同2.7%増の1050億円で営業利益が同7.8%増の20億円、食品関連事業は売上高が同15.1%増の700億円で営業利益が同8.7%増の12億円の計画としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高26.1%、営業利益33.0%、経常利益33.0%、純利益30.6%と高水準である。数量・市況回復で通期予想は増額の可能性が高いだろう。

■中期経営計画で19年3月期営業利益40億円目標

 中期経営計画(16~18年度)の目標値は19年3月期売上高2000億円、連結営業利益40億円としている。

 経営戦略は、既存事業の収益拡大化、新たな収益源の構築、東アジア地区での積極拡大、最適な管理体制の構築、人材育成・確保を重点方針としている。貴金属関連事業と食品関連事業の両分野において、製品・技術開発、国内外の拠点整備・機能拡充など事業拡大に必要な成長戦略を行う。

 貴金属関連事業では、長年培った貴金属リサイクルおよび環境保全に関するノウハウやインフラを最大限活用し、資源リサイクルの総合力で顧客ニーズにマッチしたアイテム拡充と省金化への対応により、環境価値の高い商品・サービスを提供することでシェア拡大と収益性向上を図る。

 食品関連事業では、これまで培った品質保証等に関するノウハウや調達力を活かして、安全・安心かつ高品質な食品原材料を安定的に供給することで顧客ニーズに対応し、海外を含めた市場拡大と収益向上を図る。水産品においては、16年2月に株式取得したガルフ食品との相乗効果を含めて事業拡大を図る。

■株主優待制度は毎年3月末に実施、対象は継続1年以上保有株主

 株主優待制度は毎年3月31日現在、1単元(100株)以上を継続1年以上保有する国内在住株主を対象として株主優待品を贈呈する。17年3月期末から対象を変更した。

■株価は戻り歩調で2月の年初来高値試す

 株価は水準を切り上げて戻り歩調だ。8月14日には1560円まで上伸した。

 8月22日の終値1543円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS94円55銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2027円45銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約446億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を突破した。また13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近して先高感を強める動きだ。好業績を評価して2月の年初来高値1610円を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る