ケンコーマヨネーズは調整一巡して戻り試す、18年3月期1Q減益だが通期増益予想で中期成長シナリオに変化なし

 ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)はマヨネーズ・ドレッシング分野からタマゴ加工品・サラダ類・総菜分野への事業領域拡大戦略を加速している。18年3月期第1四半期は野菜類調達コスト上昇の影響などで減益だったが、通期は増益予想である。そして中期成長シナリオに変化はない。株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して戻りを試す展開が期待される。

■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手

 サラダ・総菜類、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品などの調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)などの総菜関連事業等、その他(ショップ事業、海外事業)を展開している。ロングライフサラダは業界のパイオニアとして国内1位、マヨネーズ・ドレッシング類は国内2位の市場シェアである。

 17年3月期の商材別売上高構成比はサラダ類44%、タマゴ類29%、マヨネーズ・ドレッシング類25%、その他3%だった。サラダ類とタマゴ類の構成比が上昇基調である。また分野別売上高構成比はCVS(コンビニエンスストア)28%、外食27%、量販店20%、パン14%、給食5%、その他6%だった。CVSの構成比が上昇基調である。

■タマゴ加工品・サラダ類・総菜分野への事業領域拡大戦略を加速

 中期経営計画「KENKO Five Code 2015-2017」では、基本戦略を「サラダNO.1 Leading company」ポジションの確立、サラダ料理の更なる進化、グローバル市場へ積極展開する経営基盤強化として、経営目標値には18年3月期売上高750億円、経常利益率5%、自己資本比率50%、ROE8%以上維持を掲げている。タマゴ加工品・サラダ類・総菜分野への事業領域拡大戦略を加速する戦略だ。

 生産拠点はフレッシュ化・変種定量・顧客仕様対応や地域密着生産体制で、7工場および連結子会社7社9工場に展開している。14年4月には原料「殻付き卵」から「タマゴ製品」まで一貫生産システムの静岡富士山工場が稼働した。

 16年11月にはグループ生産拠点構想を発表した。生産拠点老朽化や今後の取り組みへの対応として生産設備更新や新拠点構築を進める。19年3月までの稼働を目指し、静岡富士山工場および西日本工場の増築、連結子会社である関東ダイエットクックおよびダイエットクック白老の新工場を建設する。総投資額は150億円強の想定としている。

 サラダカフェ事業は百貨店などへのショップ展開を進めている。新業態では16年3月和食とサラダを組み合わせた和サラダ専門「WaSaRa」1号店をあべのハルカス近鉄タワー館にオープン、16年3月「自遊庵」を三越日本橋本店・食品フロアにオープン、17年3月じゃがいもとたまごをメインとした和サラダ料理「いもたまや」1号店を伊勢丹新宿店にオープン、17年4月「WaSaRa」関東1号店をそごう横浜にオープンした。
 
 なお8月9日には、業務用チルド和惣菜「和彩万菜」シリーズが、日本食糧新聞社主催「第21回業務用加工食品ヒット賞」を受賞したと発表している。

 海外事業に関しては15年7月、北米や欧州を中心とする食にまつわる情報収集拠点をカナダのバンクーバーに新設している。

■鶏卵や野菜などの原材料価格が収益変動要因

 収益面では、鶏卵や野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。

 利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。

■18年3月期1Qは減益

 今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%増の181億63百万円、営業利益が15.4%減の9億66百万円、経常利益が14.7%減の9億92百万円、純利益が14.6%減の6億74百万円だった。

 売上面ではサラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類とも伸長して増収だが、利益面では野菜類調達コストの上昇や生産効率の低下の影響で減益だった。売上総利益は0.9%減少し、売上総利益率は25.8%で0.9ポイント低下した。販管費は3.7%増加し、販管費比率は20.4%で0.2ポイント上昇した。

 調味料・加工食品事業は売上高が2.9%増の151億18百万円で経常利益(連結調整前)が14.3%減の7億54百万円、総菜関連事業等は売上高が1.4%増の27億26百万円で経常利益が24.2%減の2億25百万円、その他は売上高が6.0%増の3億18百万円で経常利益が11百万円の赤字(前年同期は13百万円の赤字)だった。

■18年3月期通期は増益予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比5.9%増の750億円、営業利益が2.3%増の40億80百万円、経常利益が2.1%増の41億円、純利益が0.1%増の28億70百万円としている。配当予想は前期と同額の年間37円(第2四半期末18円、期末19円)としている。予想配当性向は21.2%となる。

 セグメント別売上高計画は、調味料・加工食品事業が同5.1%増の614億77百万円(サラダ・総菜類が同5.3%増の207億29百万円、マヨネーズ・ドレッシング類が同4.1%増の182億98百万円、タマゴ加工品が同6.1%増の210億75百万円、その他が同1.1%減の13億75百万円)で、総菜関連事業等が同10.4%増の122億10百万円、その他が同6.1%増の13億13百万円としている。

 経常利益増減分析予想は、増益要因が増収効果3億75百万円、生産効率向上90百万円、物流費削減58百万円、減益要因が原材料価格変動影響80百万円、固定経費等増加3億60百万円としている。第1四半期は減益だったが、中食市場の拡大も背景としてサラダ・総菜類やタマゴ加工品の採用が拡大基調であり、高付加価値商品の拡販や生産効率の改善も寄与して通期ベースで好業績が期待される。

■株主優待制度は毎年3月末に実施

 株主優待制度は毎年3月末日現在で1単元(100株)以上~10単元(1000株)未満所有株主に対して当社商品1000円相当、10単元以上所有株主に対して当社商品2500円相当を贈呈する。

■株価は調整一巡して戻り試す

 株価は6月~7月の戻り高値圏3300円近辺から反落し、第1四半期業績も嫌気する形で水準を切り下げた。8月24日には2853円まで調整した。ただし売られ過ぎ感も強めている。

 8月25日の終値2888円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS174円20銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間37円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1727円17銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約476億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、2700円~2800円近辺が下値支持線となりそうだ。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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