【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ミロク情報サービスは高値更新の展開、中期成長力を評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

財務・会計ソフトのミロク情報サービス<9928>(東1)の株価は14年10月644円を突破して高値更新の展開となった。1月27日には710円まで上値を伸ばした。その後は上げ一服の形だが自律調整の範囲だろう。今期(15年3月期)好業績見通しや中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。

会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。

会計事務所が抱えている課題を解決することで中堅・中小企業支援にも繫がるトータルソリューションが強みで、システム導入契約売上とサービス収入が収益柱である。全国約8400の会計事務所ユーザーおよび約1万7000社の中堅・中小企業ユーザーを有し、サービス収入などのストック型収益構造を特徴としている。13年10月には連結会計システム開発のプライマルと資本・業務提携し、連結会計や連結納税までグループ経営支援ソリューションの提供を強化した。

14年5月に発表した第3次中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では目標数値として17年3月期売上高260億円、経常利益40億円、純利益24億50百万円、売上高経常利益率15%、ROE15%を掲げている。

重点戦略として、顧客基盤拡大に向けた販売戦力増強と販路拡大(市場ポテンシャルに合わせた人的リソース配分適正化、販社M&Aも活用したエリア拡大、顧客サポート体制と経営情報サービスの充実など)、新規顧客を創造する新製品・サービス開発(マルチデバイス対応のクラウドサービスなど)、新規事業による新たな収益基盤確立(利益率向上に向けた事業ポートフォリオ再設計、中小企業の事業再生支援サービスへの参入など)を推進している。

新規事業では、登録会員数約130万人の中小・ベンチャー企業支援ビジネス情報サイト「bizocean(ビズオーシャン)」のクラウド拡充とネットビジネスへの展開、マルチデバイス対応お金管理アプリ「マネトラ」による消費者間取引(CtoC)市場への参入、経済団体・FC企業への会計クラウドサービスの提供などを推進している。

14年5月に全国商工会連合会の会員事業者向け「会計・税務のクラウド型アプリケーションソフト」を開発し、8月にはソフトテックス社から完全Web対応クラウド販売管理システム「商い哲人EX」を譲り受けた。9月には中小企業の事業承継や事業再生を支援する子会社MJS・M&Aパートナーズを設立した。

10月にはCtoC向けクラウド型会計アプリ「フリビズbyマネトラ」の提供を開始した。また韓国の電子金融専門企業Webcash(ウェブキャッシュ)社と資本業務提携した。韓国Webcash社と日本法人(11月MWIに社名変更)の株式を取得し、新たなクラウドサービスを共同開発して日本国内で事業展開する。12月にはクラウド型POSシステムのオフィス24グループと業務提携した。

さらに15年1月には次世代サービス共同開発を目的として、次世代Web標準言語HTML5を活用したWebソリューション開発に強みを持つニューフォリアに出資して資本提携した。

なお1月30日には、Jリーグ「東京ヴェルディ」および女子チーム「日テレ・ベレーザ」と2015シーズンもメインパートナーシップ(スポンサー)契約を継続すると発表した。クラブ全体を支援するとともに、スポーツ界の発展に貢献することも目的の一つとしている。

2月3日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.8%増の167億40百万円、営業利益が同15.1%増の17億58百万円、経常利益が同16.5%増の18億20百万円、純利益が同37.5%増の12億43百万円だった。

品目別売上状況は、システム導入契約売上高がユースウェアの好調などで同2.1%増収、サービス収入がソフト使用料収入や運用支援サービスの好調などで同8.4%増収だった。サービス収入の好調が牽引して差引売上総利益率は0.9ポイント上昇し、純利益は投資有価証券売却益の計上も寄与した。

なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)56億22百万円、第2四半期(7月~9月)56億41百万円、第3四半期(10月~12月)54億77百万円、営業利益は第1四半期5億96百万円、第2四半期7億06百万円、第3四半期4億56百万円だった。

通期の連結業績見通しについては2月3日、投資有価証券売却益2億25百万円の計上に伴い、前回予想(5月9日公表)に対して純利益を2億30百万円増額修正した。修正後の通期連結業績見通しは売上高が前期比2.3%増の225億90百万円、営業利益が同5.4%増の25億20百万円、経常利益が同4.8%増の25億40百万円、純利益が同25.3%増の17億40百万円としている。配当予想は前回予想(5月9日公表)を据え置いて前期と同額の年間15円(期末一括)としている。4期連続で最高益更新の見込みだ。

通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.1%、営業利益が69.8%、経常利益が71.7%、純利益が71.4%と概ね順調な水準である。会計事務所向けシステムや中堅・中小企業向けERPシステムの拡販、新規顧客の開拓、ソフト保守サービス契約率の上昇などでシステム導入契約売上、サービス収入とも好調な推移が予想される。ストック型収益構造であり中期的にも収益拡大基調だろう。

株価の動きを見ると、600円近辺でのモミ合いから上放れ、14年10月644円を突破して高値更新の展開となった。1月27日には710円まで上値を伸ばした。その後は上げ一服の形だが自律調整の範囲だろう。

2月18日の終値665円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS55円57銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS402円29銭で算出)は1.7倍近辺である。

週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。日足チャートで見るとサポートラインの25日移動平均線が接近して切り返しのタイミングのようだ。今期好業績見通しや中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。

>>ミロク情報サービスのMedia-IR企業情報

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る