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ヨコレイは17年9月期3Q累計が営業微減益だが通期は2桁営業増益予想
- 2017/8/29 08:05
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は冷蔵倉庫の大手である。低温物流サービスの戦略的ネットワーク構築に向けて積極投資を継続し、食品販売事業はノルウェーHI社と資本業務提携して業容拡大戦略を推進している。17年9月期第3四半期累計は営業微減益だったが、通期は2桁営業増益予想である。株価は調整一巡して戻りを試す展開が期待される。9月末の株主優待も注目点だ。
■冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開
冷蔵倉庫事業および食品販売事業を展開している。16年9月期セグメント別売上高構成比は冷蔵倉庫事業17%、食品販売事業83%、営業利益(連結調整前)構成比は冷蔵倉庫事業78%、食品販売事業22%だった。
収益面では、冷蔵倉庫事業は倉庫稼働率、食品販売事業は水産品・畜産品・農産品の市況や季節要因の影響を受ける特性がある。
■冷蔵倉庫事業は低温物流サービスの戦略的ネットワーク構築に積極投資
冷蔵倉庫事業では、低温物流サービスの戦略的ネットワーク展開に向けて積極投資を継続し、新物流センターが順次稼働して収益拡大に貢献している。17年6月には埼玉県・幸手物流センターが竣工した。
今後の新設予定として国内では、京浜島物流センター(仮称)が18年2月竣工予定である。また福岡市アイランドシティ港湾関連用地4工区E区画を取得(18年3月引き渡し予定)している。海外はASEAN地域へ積極展開し、タイヨコレイ全体の保管収容能力はタイ国内トップシェアである。
■食品販売事業はノルウェーのHI社と提携して業容拡大戦略推進
食品販売事業では15年8月、ノルウェーの大手水産加工会社ホフセスインターナショナル(HI社)と包括的業務提携し、アトランティックサーモン等の加工製造販売など業容拡大を推進している。
16年3月にはアトランティックサーモン等加工製造のSyvde社を子会社化、16年7月にはトラウト養殖事業のFA社を子会社化した。また17年7月にはグループの水産会社アライアンスシーフーズが、マレーシアの海老養殖事業会社AGROBEST社と包括業務提携契約を締結した。海老養殖事業に参入する。
■中期経営計画で17年9月期純利益32億円目標
第5次中期経営計画「Flap The Wings 2017」に基づいて、冷蔵倉庫事業では「クールネットワークのリーディングカンパニー」を目指し、食品販売事業では「安定的な利益追求を基本としながらも、強みのある商材を全社的に展開する」ことを命題としている。
目標数値には17年9月期の売上高1650億円、営業利益57億円(連結調整前の冷蔵倉庫事業56億65百万円、食品販売事業20億67百万円)、経常利益57億円、純利益32億円、ROE5.1%、配当性向40%、EBITDA100億円、自己資本比率52.0%を掲げている。
配当政策の基本方針は安定的な配当を継続して行うとしている。そして企業価値向上に必要な設備・IT投資等を勘案しつつ、配当性向40%以上を維持していくことを目標としている。
■17年9月期第3四半期累計は営業微減益
今期(17年9月期)第3四半期累計(10~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.8%増の1176億99百万円、営業利益が0.5%減の41億96百万円、経常利益が2.0%増の45億80百万円、純利益が3.0%減の27億95百万円だった。
物流センター新設に伴う減価償却費の増加や立ち上がり時の一時的経費の発生、さらに事業税など一般管理費の増加で営業微減益だった。ただし売上面は順調に推移している。売上総利益は17.1%増加し、売上総利益率は9.5%で1.0ポイント上昇した。販管費は30.9%増加し、販管費比率は6.0%で1.2ポイント上昇した。営業外収益では為替差益3億98百万円を計上した。
冷蔵倉庫事業は売上高が1.1%増の189億06百万円で、営業利益(連結調整前)が3.0%減の44億58百万円だった。入庫取扱量は4.1%増加、出庫取扱量は2.5%増加、平均保管在庫量は4.8%減少した。閉鎖を決定した子安物流センターの収入剥落も影響した。
食品販売事業は売上高が5.5%増の987億47百万円、営業利益が31.9%増の16億55百万円だった。農産品は昨年の北海道を襲った台風被害の影響を受けたが、水産品はノルウェーにおける共同事業の進展に伴う鮭鱒類の輸出増加、畜産品はチキンの利益率改善などが寄与した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期422億46百万円、第2四半期369億21百万円、第3四半期385億32百万円、営業利益は20億09百万円、11億51百万円、10億36百万円だった。
■17年9月期通期は2桁営業増益予想
今期(17年9月期)通期の連結業績予想(11月14日公表)は、売上高が前期(16年9月期)比11.0%増の1650億円、営業利益が10.3%増の57億円、経常利益が6.7%増の57億円、純利益が9.1%増の32億円としている。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で、予想配当性向は32.3%となる。
第5次中期経営計画の最終年度となり、冷蔵倉庫事業では重点地域への設備増強を図り、食品販売事業ではノルウェー事業の早期の体制安定化、国内事業における産地と消費地の事業連携強化を推進する方針だ。
セグメント別の計画は、冷蔵倉庫事業の売上高が1.9%増の252億26百万円で営業利益が9.2%減の52億24百万円、食品販売事業の売上高が12.9%増の1397億06百万円で営業利益が55.8%増の25億21百万円としている。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が71.3%、営業利益が73.6%、経常利益が80.4%、純利益が87.3%と順調である。食品販売事業の利益率改善が進展して通期ベースでは好業績が期待される。
■株主優待は毎年9月末に実施
株主優待制度は、毎年9月30日現在の1000株以上保有株主に対して実施している。優待内容は1000株以上~3000株未満保有株主に対して鮭切身詰め合わせ、3000株以上保有株主に対して北海道産ホタテ・いくらセットを贈呈する。
■株価は調整一巡して戻り試す
株価は第3四半期累計業績を嫌気する形で戻り高値圏1120円近辺から反落したが、8月14日の直近安値1035円から切り返す動きだ。目先的な売りが一巡したようだ。
8月28日の終値1058円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS61円83銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1198円56銭で算出)は0.9倍近辺である。なお時価総額は約565億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、1050円近辺が下値支持線の形だ。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)