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第一実業は18年3月期減益予想の織り込み完了して反発期待
- 2017/8/29 07:56
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
第一実業<8059>(東1)は産業機械を主力とする機械の総合商社で、海外展開や新規分野を強化している。18年3月期第1四半期が大口案件の減少で大幅減収減益となり、通期も減益予想である。ただし保守的な印象も強い。株価は18年3月期減益予想の織り込みが完了して反発が期待される。なお17年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更するとともに、5株を1株に併合する。
■産業機械を主力とする機械の総合商社
各種産業機械を主力とする機械の総合商社である。17年3月期のセグメント別売上高構成比はプラント・エネルギー事業31%、産業機械事業29%、エレクトロニクス事業31%、ファーマ事業6%、航空事業2%、その他0%で、海外売上比率は49%だった。
収益面では案件ごとの採算性の影響を受けることに加えて、大型案件の売上計上時期によって四半期収益が変動しやすい。そして設備投資関連のため第2四半期(7月~9月)および第4四半期(1月~3月)の構成比が高い特性がある。
地熱、温泉熱、焼却廃熱、一般工場廃熱など、未利用熱エネルギーを有効活用して発電するバイナリー発電装置ビジネスに関しては、14年4月米アクセスエナジー社の小型バイナリー発電装置の日本国内での独占的製造権を取得、14年5月独占販売代理店契約を締結、16年5月三菱重工業<7011>グループのターボデン(イタリア)社製バイナリー発電装置の国内販売総代理店契約を締結した。ラインナップ充実して事業拡大を図る。
新規分野としては、植物工場システムに関するプロジェクト(埼玉県入間市にパイロットプラントを建設)や、茨城県笠間市と長野県飯田市におけるメガソーラー運営も推進している。また市場が拡大している車載向け二次電池製造装置分野や有機ELディスプレイ製造装置分野も強化する方針だ。
■18年3月期1Qは大幅減収減益
今期(18年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比14.8%減の321億33百万円、営業利益が31.9%減の6億74百万円、経常利益が32.4%減の7億59百万円、純利益が61.1%減の2億92百万円だった。なお受注高は15.0%増の430億60百万円で、受注残高は6.2%減の1029億58百万円だった。
プラント・エネルギー事業などで大口案件が減少して大幅減収減益だった。売上総利益は2.8%減少したが、売上総利益率は13.9%で1.7ポイント上昇した。販管費は5.2%増加し、販管費比率は11.8%で2.3ポイント上昇した。営業外費用では為替差損74百万円、特別利益では関係会社株式売却益2億39百万円を計上した。
プラント・エネルギー事業は売上高が41.5%減の69億21百万円で営業利益(連結調整前)が12百万円の赤字(前年同期は53百万円の黒字)だった。大口案件が減少した。受注高は40.9%減の63億78百万円、受注残高は17.2%減の557億44百万円だった。
産業機械事業は売上高が7.4%増の95億41百万円で営業利益が85.8%増の2億14百万円だった。自動車関連業界向けの自動組立ライン、自動加工機、塗装ライン、家電・自動車部品製造の射出成型機などが増加した。受注高は62.7%増の164億64百万円、受注残高は21.5%増の253億59百万円だった。
エレクトロニクス事業は売上高が0.3%増の139億42百万円で、営業利益が11.5%減の5億27百万円だった。IT・デジタル関連機器製造会社向けの電子部品実装機が増加したが、粗利益が減少した。受注高は20.0%増の169億48百万円、受注残高は5.5%増の147億85百万円だった。
ファーマ事業は売上高が41.4%減の14億08百万円で営業利益が71.4%減の36百万円だった。錠剤外観検査装置やパッケージング用機器・装置が大幅減少した。受注高は6.7%減の17億90百万円、受注残高は1.0%増の40億99百万円だった。
航空事業は売上高が50.4%減の3億28百万円で、営業利益が3百万円の赤字(同42百万円の黒字)だった。航空機地上支援機材や空港施設関連機器が大幅減少した。受注高は3.2倍の14億67百万円、受注残高は3.4%増の27億42百万円だった。
■18年3月期通期も減益予想だが保守的な印象
今期(18年3月期)連結業績予想(5月11日公表)は売上高が前期(17年3月期)比14.8%増の1770億円、営業利益が19.6%減の47億円、経常利益が18.9%減の50億円、純利益が7.2%減の31億円としている。受注高の計画は12.9%増の1540億円である。
配当予想は17年10月1日付で5株を1株に併合することに伴って6月27日に修正し、第2四半期末9円、期末45円とした。株式併合を考慮して換算すると前期は年間95円、今期は年間90円となり、実質的に5円減配となる。予想配当性向は30.9%となる。
通期も減益予想だが保守的な印象が強い。設備投資需要が高水準であり、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。
■中期経営計画で19年3月期純利益33億円目標
16年5月策定の中期経営計画「DASH2018」では、基本方針を「グローバルに事業軸体制を進め、一層の業績拡大を実現する」「経営体質の向上を図り、強力なガバナンス体制を構築する」とした。経営目標数値には最終年度19年3月期の売上高1330億円、営業利益50億円、経常利益53億円、純利益33億円を掲げている。
■株価は18年3月期減益予想の織り込み完了して反発期待
なお17年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更するとともに、5株を1株に併合する。
株価は水準を切り下げて8月14日に年初来安値となる585円まで調整したが、その後は下げ渋る動きとなり調整一巡感を強めている。
8月28日の終値600円を指標面(1株当たり数値は17年10月1日付株式併合前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS58円23銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は3.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS726円61銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約333億円である。
週足チャートで見ると600円近辺が下値支持線となって13週移動平均線突破の動きを強めている。18年3月期減益予想の織り込みが完了して反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)